地獄の選択
27
好きな人の好きな人をかけて、勝負する事になった。
「勝負って…………何で?」
「バスケで勝負しよう!」
現役バスケ部に勝負を挑むとか…………俺、ナメられてる?
でも…………
もしこの勝負に勝ったとして、俺が小崎を得たとしても、芦原さんの誤解を解くどころか、余計誤解されるだけ。頑張れば頑張るほど誤解から確証になる。
負ければ……芦原さんが小崎を得る。それでハッピーエンド。でも、それだと俺が親友と幼なじみの間に割って入った意味がなくなる。俺は確実に失恋だ。いや、既に失恋してる気もするけど……。
何だそれ……これ地獄の選択だな。
「わざと負けたら承知しないからね!」
わざと負けられない…………!?そんな!!殺生な!!
「バスケ対決ってワンオーワン?」
「せっかくだから、人数集めようよ!悠太もやるよね!どっちのチームに入る?」
「好きにして。」
芦原さんは悩んでいた。
「一緒にやりたいけど……同じチームだと…………でも悠太と対決するなんて……。でも勝たないと……。」
小崎のポンコツぶりを見ている芦原さんは、一緒にやりたいという欲求を取るか、勝利を取るか迷っているようだ。おそらく、小崎のいるチームは確実負ける。それほどポンコツだ。
「ちょっと、ちょっと待っててね!今日金曜日?茂木先生に相談してくる!」
いやいや!これスクールカウンセラーに相談すること?
「あ、とりあえず、日曜暇な人集めて、集まった人数で何人で対決するか決めよう!」
そう言って芦原さんはスクールカウンセラーのいる教室へ走って行った。その後、小崎も資料室を出て行った。一言言い残して。
「手、抜くなよ。」
え?えぇええええ!!小崎、お前やる気なの!?
そもそも…………芦原さんはバスケやれるのか?勝負するくらいだ。きっと上手いんだろう。
地獄の対決だけど…………少し楽しみだった。