喧嘩
23
悠太が…………悠太が…………バスケ?
あの、運動神経ないポンコツ悠太が…………バスケ?
どうしよう…………笑っちゃいけないのに…………笑っちゃうよ~!
私は体育館の端の方で、悠太が必死でボールに遊ばれている姿を見ていた。口を押さえていないと…………笑い声がバレちゃう!
あ!今バウンドしたボールが顎に当たってひっくり返った!凄い!色々ミラクルが起こりまくってる!!
バスケ部って…………そんなに加島君と一緒にいたいんだ……。苦手な運動をやるほど……。なんだか、負けそう……。
負けない!!負けないんだから!!
「小崎さ、真面目にやってる?」
加島君が呆れて悠太にそう言っているのが見えて、私は急いで二人の近くに行った。
「真面目に決まってるでしょ?!誰の為に悠太は頑張ってると思うの?!」
「誰の為…………?」
私は加島君を見た。
「えぇ?俺?そんな訳ないだろ?」
二人で悠太の方を見ると、ボールを眺めて黙っていた。
「…………。」
「小崎!黙るな!!黙るな小崎!!」
加島君の声に我に帰った悠太はとりあえず声を出していた。
「バッチ来~い!」
「それバスケじゃないから。」
私はボールを眺めて休憩してる悠太に言った。
「ねぇ、悠太、加島君といたい気持ちはわかるけど、今からイケメンバスケ部員はちょっと無理じゃない?」
「いつ?いつ僕がイケメンバスケ部員になるって言った?」
「イケメンも今さら無理だし、バスケも悠太は…………」
私は何とかバスケは諦めさせようと必死だった。
「あからさまにディスるのやめてくれないか?」
「それほど諦めさせたいんだろ。バスケも俺の事も。」
「え?誤解といてないの?」
何の話~?!二人でいちゃつかないで!!
どうしよう…………!!どうしよう!!悠太が離れて行っちゃう!!加島君の所に行っちゃう!!
「ダメーーーー!!悠太に近づかないでーーーー!!」
「ちょ、芦原さん誤解だって。」
「…………うるさい!!」
悠太が…………悠太が…………大きな声で怒った!!
「美帆乃、もうここに来るな。もう僕に構うなよ!!」
「おい、小崎!それはないだろ?」
「そうだよ!加島は黙ってて!!」
これは私と悠太の問題なの!加島は関係無い!!
「いや、美帆乃が黙れ。」
「加島!」
「美帆乃だ!」
ムカつく……ムカつく……ムカつく~!!
「もう……もう、加島なんか大嫌い!!」
「え……その流れでなんで俺?」
私は悠太と喧嘩して、体育館から飛び出した。