ダメ出し
22
「それは…………ダメだよ。ドア無理やりこじ開けるとか……そこは黙って帰って日を改めないと……。」
「えぇっ!!だって……だって……」
ちーちゃんにダメ出しされた。
ドアをこじ開けるとかダメなんだ……。だって、顔見て話したかったし……悠太がホモとか信じられないし……。日を改めるとか無理だよぉ~!
「そんな……首根っこ掴んで引きずり出すみたいな……可哀想に小崎……。」
可哀想……?
「だって、キスしてる所見られたんだよ?キスだよ?しかも男と!そこは触れないであげてよ!」
「だからって逆ギレはないと思う。私、男になるって言ったら、そうしろって言ったんだよ?」
「はぁ?」
「私…………男になる!ちーちゃん付き合って!」
私は冗談のつもりでそう言った。
「あ、ちーちゃんには彼氏がいるか。」
「いいよ。」
「え?えぇっ?」
そんな快諾されると思わなかった。
「私、彼氏と別れたんだよね~」
「え…………えぇえええええ~!!またぁ!?」
「あはははははは!!また!!」
ちょ、笑い事じゃないよ!
こうゆう時…………なんて言っていいかわからない。ちーちゃんはいつも明るくて、本気じゃなかった~なんて笑ってるから……。
「彼氏がさ、駅のホームで知らない女とキスしててさ」
「キ…………キスぅ?!ちょっとそれ浮気!!」
「まぁ、そうなんだけど、それより、なんかのドラマのギャグシーンの、悔しいです!ってセリフ思い出して1人で笑ってたの!ウケるでしょ!」
頭の中に、ちーちゃんが駅のホームで爆笑してる姿が思い描いた。ちーちゃんなら、その状況で笑いそう。笑えない状況で…………笑いそう。
私には笑えないよ…………。
だって、その悔しいです!ってシーン…………ギャグシーンじゃないよ?それが、ちーちゃんの本心なら、それはギャグじゃない。
本当は悔しかったんだね……。
私は…………悠太に彼女……彼氏ができて、そんなふうに笑っていられるのかな……?
でも、今はちーちゃんを元気にすることを考えよう。
「よし、今日はやけ食いに付き合ってあげる!!ケーキバイキング行こう!」
「それ、自分が食べたいだけだよね?」
「バレた?」
ちーちゃんは少し笑った。
「仕方ない。ミホのやけ食いに付き合ってあげる!」
そう言って私達はお腹を満たして心を満たした。