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解けない



次の日の朝、美帆乃は僕にこう言った。


「悠太、私ゴーレムと結婚する!」

「…………はぁ?」

朝からこの冗談はキツイよ。朝だと全然声が出ないよ!


ゴーレム?ゴーレムって…………あのゴーレムですよね?え?ちょっと待って?あれ、人じゃないよね?人ですらないよね?


「えーと、MJじゃないの……?」


きっと何かの間違いだ。僕の聞き間違いだ。うん、きっとそうだ。落ち着け。一旦落ち着こう。


「MJ?別に好きじゃないよ?何だかね、急にゴーレムが好きになって…………ゴーレムって格好いいよね!」

良くねー!全然格好良くない!ゴーレムってアレだろ?石の塊だろ?砂の集合体?どこが?どこが格好いい?


なんだろう…………嫉妬できるくらいがちょうどいい。…………MJの方が1億倍マシだよ!!


「どうしたんだよ美帆乃?」

「どうしたって?どうしたの悠太?」

え…………おかしいのはこっち?こっちなの?

「悠太、好きな物があるって…………幸せだね。」

美帆乃は満面の笑みでそう言った。

「そうだね……。」

それってゴーレムの事?たかがゴーレムなくらいで幸せとか語っちゃってんの?ヤバい……!ヤバいよ!!………なんて言葉はとりあえず飲み込んだ。


美帆乃の幸せは僕の幸せだと思う。…………幸せ…………だと思う。


幸せは…………何だか辛い。


美帆乃は、ゴーレムで話す事そんなにある?ってくらいゴーレムの話をした。うんざりだった。MJよりはるかにうんざりだった。

「ゴーレムと相合い傘したら、肩の所雨で溶けちゃったりしないかな?」

何の話だよ!

「防水加工なんてできないよね~?」

だから何の話だよ!!


どうにかしないと…………!どうにか…………美帆乃の催眠術を解かなくては!!


僕は一刻も早く美帆乃の催眠術を解く為に、放課後僕の家に呼んで、本の通りにやってみた。


でも……本の通りにやってみても全然で……それから仕方なく、目薬を打ってみたり、頭から冷水をかけてみたり…………それでも、何をしても戻らなかった。


戻るどころか…………


「悠太、これ、何の意味があるの?もう帰っていい?私これからゴーレムとデートなの。」

ひぃいいいいいい!!全然効果がない!!むしろ何!?ゴーレムとデートって何!?何なの!?


「じゃ、またね~!」

そう言って美帆乃は帰ってしまった。


僕は…………何て事をしてしまったんだろう……。あの、美帆乃が真顔でゴーレムと結婚するとか言ってる……。地獄だ!!


もうあの頃の美帆乃は帰って来ないのか…………!?この先ずっとアホなのか!?変人!?嗚呼っ!!どうしたらいいんだ!?


僕は途方に暮れて、1人部屋で悩んでいると、机の下に1枚の紙が落ちている事に気が付いた。その紙には、スクールカウンセラーのお知らせが書いてあった。


スクールカウンセラー!


プロに相談してみよう!美帆乃も連れて行こう!!相談して、それでもダメなら精神科だ!!


そうだ、京都へ行こう。


みたいなノリで思った。


そうだ、精神科へ行こう。



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