ライバル
17
「おまたせ。」
「携帯……あった?」
「携帯……?あ、うん。あったよ!ほら!」
小崎の家に携帯を探しに行っていたミホが帰って来た。
「あれ?加島君は?」
「帰った。」
あの後、加島はこう言っていた。
「まぁ、小崎にバレた時点で俺の負けだ。」
何が負けだよ。ばっかみたい。真面目に恋愛してるのがそんなに偉いの?友達の好きな女奪おうとしてるクセに。開き直りかよ。なんか…………ムカついた。
「ちーちゃんどうしたの?」
「何でもない。ミホこそどうした?何かあった?」
「そうなの~!どうしよう!!どうしよう!!どうしよう!!」
ミホはどうしようを連呼しながら私に迫って来た。
「落ち着いて。何があったかちゃんと説明して。」
「悠太が……悠太が……加島君に……キ、キス……してた!!」
「え?…………えーーーー!?」
嘘でしょ!?小崎、そっち?
「加島君は冗談だって言ってたけど…………男子って冗談でキスするの?わかんないよ……。」
「それは…………わからないけど、冗談って言うなら冗談なんじゃ……。」
まぁ、普通見られたら冗談って言い訳するわな。
「それでショックで泣いて、加島に抱きしめられてたのね。」
「そうなの~。加島君好い人だよね。」
「はぁ?いい人?」
私には全然いい人には思えなかった。
「透明人間の彼氏がいるからって言ったら、透明じゃないけど彼氏になってもいいって言ってくれたんだよ~?」
それ…………告白じゃないの?
「あ、でも、いい人だろうが、もうライバルだよね!」
あ、スルー?そこスルーなんだ。
そっか。ミホは……小崎バカだから、小崎以外目に入らないんだ……。
「加島君てさ、モテるから手強い可能性あるよね。」
「女にモテるのと男にモテるのは別じゃない?」
「あ、そっか!じゃあ勝算あるかな?」
だから、それ勝ち負けなの?
小崎が男が好きな時点で…………ミホには勝算なんかない。そう……言えなかった。