めんどくさい
16
恋愛はシンプルな方がいい。
取った取られたなんて、めんどくさい。よく、他人から肉食系女子とか言われるけど、私はただめんどくさいだけ。告って、好きな時に一緒にいて、やることやって、それだけ。
なんで?どうして小崎の家の近くで…………ミホと加島が抱き合ってんの?これ、どうゆう状況?
私がなかなか声をかけられずにいると、ミホがこっちに気がついた。
「ちーちゃん!!」
ミホはすぐに私の所にやって来た。
「携帯に何度もかけたんだけど……。」
「え?あれ?」
ミホは鞄の中を探すと、申し訳なさそうな顔をして言った。
「携帯、悠太ん家落として来ちゃったかも!ごめん、ちょっと戻って探して来る!」
ミホが小崎の家に戻ると、私は加島とその場に取り残された。
「じゃ、俺はこれで。」
「待って。加島はさ、小崎と仲いいよね?」
「だから……?」
それ以上、どう、聞いていいかわからない。そう思っていたら、加島が言った。
「友達の幼なじみは好きになっちゃいけないって言いたい?」
「普通は、好きにならないようにしたり、譲ったりするんじゃないの?」
私の言葉に加島は少し不機嫌になった。
「じゃあ……俺が諦めるのが正解って訳?」
「そうは言ってないよ。ただ……」
「ただ?」
「そうゆうのってめんどくさくない?」
どうしてわざわざ他人のものを取ろうとするかな?
「めんどくさい?いや?むしろ楽しんでるけど?」
加島って…………性格悪い奴なんだ。知らなかった。
「そもそもめんどくさいとか言ってたら人を好きになったりしないでしょ?諦めるくらいなら最初から止めてる。」
「まぁ、それもそうだけど……。」
「悪いけど、俺の中ではめんどくさいから諦めるなんてあり得ないんだわ。」
まぁ、勝手にしてよ。
「別にいいけど、ミホの事、泣かせないでよ?」
「それは小崎に言えよ。」
え…………?小崎?
意外だった。話を聞いている限り、小崎はミホを悩ませてはいても、泣かせたという事は聞いた事がない。