魔法を解く方法
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思いがけず…………告白してしまった。答えはもらってない。我ながら…………何を焦ったんだろう…………。
小崎はいい奴だ。だけど…………俺は、小崎の好きな人を……好きになった。多分、小崎は俺の気持ちに気づいてない。
「加島、頼みがあるんだ。」
小崎の家でゲームをしていたら、小崎が突然、正座をして言った。
「何だよ?改まって。」
まさか、芦原さんに告ったのがバレた?もしかして…………あきらめてくれとか言うのか?
「頼む!!キスの練習をさせて欲しい!」
「はぁ?!」
おいおい!!バカ真面目もここまで来れば、ただの非常識だ!!
「茂木先生が言ってたんだ。シンデレラも眠れる森の美女も、魔法を解くには、キスだって。キスが魔法を解く方法だって!」
いや、シンデレラはキスで魔法解けてねーよ!
ほぉ……あのスクールカウンセラー、芦原さんの意図に気づいたのか。でも、悪いが俺は小崎に協力できるほど人間ができていない。
「それさ、催眠術を解くためにキスしたって言ったら、確実に嫌われると思うけど?」
「そうだよな…………。でも、これ以上思い付く方法がもうない!!僕は美帆乃に嫌われてもいい。嫌われても催眠術を解きたい!!」
本当に小崎、お前…………バカだろ?
ちゃんと芦原さんを見れば、催眠術なんかかかってないってわかる。ちゃんと芦原さんの言葉を聞けば、芦原さんの心がわかる。
小崎は…………芦原さんの事が好きじゃないのか?そんな、自分の都合のいい事を考えるようになってしまった。
そんな訳がない……。小崎がこれだけ悩むのは…………芦原さんのためだ。芦原さんの作戦通り、小崎の頭の中は芦原さんでいっぱいだ。それは、惚れてるとは違う気がするけど……。芦原さんは、この小崎のどこを好きになったんだろう?
え…………
小崎は俺の肩を掴んだ。
いやいや、だからっていいって言ってねぇよ!!
「キスの練習って小崎、お前と?勘弁してくれよ!本当にしたらマジでぶん殴るぞ?」
「ぶん殴られる覚悟だ。」
「いやいや、待て待て!!」
小崎はどんどん近づいて来る。それは違う!!そこはバカ真面目を発揮しなくていい!!これじゃ完全にBLじゃねーか!バカか!気色悪っ!!
「バカ!マジで止めろよな!!」