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5-B らんと晴日の密談
放課後になった。
この日、らんは晴日と2人だけで下校した。ちょっとした用があったからだ。
2人は校門を出て、駅までの近道になる、上野公園に入った。
「今週の金曜、式神退治やな」
歩きながららんが、晴日に話しかけた。
「狙われたのは、外務省の事務次官さんだったかしら?」
晴日が尋ねる。
「そう。責任重大やで」
「影郎くんはどうするの?」
「そのことねん」
らんが晴日の意見を聞こうと思っていたのが、まさにこの点だった。すなわち、次の戦闘に、彼を連れていくべきか否かだ。
「私は、まだ早いと思うな」
「ウチもや。〈帰神法〉が成功するか不確定なんやったら、連れてったって、意味もなく危険に巻きこむようなモンや。ケガでもされたら、かなわん」
「じゃ、決まりね」
相談は、5分と要せずに終了した。
2人は公園内で別れた。晴日はまっすぐ上野駅に向かい、らんは来た道を引き返す。
らんのアパートは、日暮里駅の近く。つまり、上野公園や成鸞館高校を挟んで、上野駅とは反対方向なのだ。




