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魔界=魔王だっ! Next World  作者: リーマンズ・ハイ
6/13

 6話 初実戦!!

挿絵(By みてみん)


 

 私がデミヒューマンエリアに行くと

決まってから数日後、いよいよ旅立つ時が来た。

 

 魔界の出口に、皆、見送りに来ていた。

 

「もうーそんなに大げさにしなくても・・」


「セリーヌ様、初出立です。

 旅のご無事を祈願すると同時に、お見送りを

 するのが、我等の務めでございます」


「レイグリッド、もう、私子供じゃないんだから」


「はい。承知しております。

 それとこれをお持ちくださいませ」


 レイグリッドは小さい呼び鈴みたいなのを

出してきた。


「あぁ、これが昨日、言ってた、

 その・・携帯用の魔鍾なのね?」


 昨夜、魔鍾はどうするの?って聞いたら

レイグリッドは、ちゃんと手は打ってございます。

って言ってた、あれか。


「はい。いつでも結構でございますので、

 出先で1日に一度、御鳴らしください。

 緊急時には激しく鳴らして頂くと、

 我々が即時、駆けつけます」


「まぁ、そんなことないわよ。

 リベラもミリアもいるんだし」


「セリーヌ様、この世界の現状は、

 昨日、ご説明させて頂いた通りでございます。

 くれぐれもお気をつけくださいますように」

 アカが念を押すように言う。


「分かったわ。アカ。

 まずは、リーワース共和国に向かえばいいのね?」


「さようでございます。そこは、人・獣人・亜人が

 共存している国で、今の戦争には関わっておらない

 唯一の国です。

 そこから、デミヒューマンエリアの

 内陸を目指してください」


「わかったわ。

 で、到着したら魔石屋に行けばいいんでしょ?」


「はい。我が魔王国が内密で出店しておりますゆえ、

 そこで全ての宿の手配や道案内などの手配が

 できるようにしてございます」


「うん。着いたら取りあえず行ってみる」


「お気をつけて」


「じゃぁ、レイグリッド。行ってきます!」


「はい。いってらっしゃいませ」


 全員、恭しく頭を下げた。


 私とリベラは、ミリアに乗った。


「すごーい!これが竜の背中なのね!

 意外と広い!」


「落ちないようにしてくださいよ?セリーヌ様。

 まぁ、落ちましても私がすぐ、 

 フォローできますが」

 ミリアが心配そうに言う

 

「うん。ミリア、お願いね!

 じゃぁ、みんな行ってくる!」

 

「行ってらっしゃいませーーー!!」


 みんなの見送りを背に受け私達は飛び立った。

  



「レイグリッド様・・・」


「どうしました?アカ殿」


「大丈夫ですかねぇ~・・お嬢・・」

 アカが心配そうに聞く。


「これこれ、セリーヌ様の前で

 『お嬢』は禁句ですぞ?

 まぁ、可愛い子には旅させろと言うじゃ

 ありませんか。

 セリーヌ様なら何倍も大きくなって

 お戻りになられるでしょう。

 我々の魔王様なのですから」


「まぁ、まだ勇者が召還されて

 おりませんからね。

 我々も余裕がありますから、何かあれば

 すぐに対応できるよう、各地には

 手を打っておりますが・・」

 

「ふむ。まぁ、シュベル様の初出立の

 時に比べれば、まだ安心ですよ。

 ハッハハハ」


「ま・・まぁ、あの方は別の心配が

 ありましたからねぇ・・ハハハ」


 白銀の光を湛えながら飛んでいく竜を、

レイグリッド達は、いつまでも見ていた。


  


「うっわぁーーーー!!!最高!!

 飛んでるー!!」

 

 なんとも言えない、解放感だ。

これはパパもやめられないのがわかるわぁっ!


「セリーヌ様、落ちないでくださいね?」


 ミリアが念話で話しかけてきた。


「大丈夫!私これでもサーフィンは得意だったから

 バランス感覚は結構いいのよ!」


「サ・・サーフィン??」


「ま・・まぁ、また今度説明してあげるわね」


 波乗りなんて言ってもピンとこないだろうなぁ・・


「アカ殿が仰ってた、戦闘地域の手前までって、

 どのくらいなのぉ?ミリア?」


「リベラ様、ほんの1~2刻で到着します」


「では、そこからは馬車ねぇ~」


「リベラ、馬車なんかどうするの?現地調達?」


「あらぁ・・私がいつでも出せましてですよ?

 エリアボックスから」

 

「エリアボックスって・・・なに?」


「大空間の収納スペースですよ。

 最上級の魔法士でしたら、持っておりますのよぉ」


「へぇ~そんな便利なもんがあるんだぁ~」


「セリーヌ様も、アイテムボックスぐらいなら

 スキル設定をできましてですよ。

 あとで、伝授いたしますわ」

 

「うん、お願い。着替えとかいるもんね」


「セリーヌ様のお着換えは、全て私がお持ちして

 おりますから、ご心配には及びませんよ?」


「え?ミリア、持ってきてくれたの?

 私、リーワースで買うのかと思った」

 

「もちろん、リーワースにも売っておりますけど・・

 セリーヌ様ご愛用のミニスタイルは、ないかと・・」


「あーーーそうだよねぇ~・・

 魔界ではもう当たり前になっているけど・・」


「そうそう、最近、魔界の女性達はキレイに

 なりましたですよ?

 これもセリーヌ様のお陰ですね」

 ミリアが言った。


「そうよねぇ~、私も初めて着た時は、

 衝撃的だったわぁ~」

 リベラが思い出すように言う。


「リベラも、似合ってるわ!すごく」


「ありがとうございまぁす。ウフッ」


 私達はほとんど女子会のノリで、

 到着地点に向かった。



 アカが言っていた、戦闘地域の手前で

私達は着地した。

 

 森の入り口という感じの所だった。

道は馬車2台分の広さ。

あんまり広くはなかった。


「アカが、この道を使えば、戦闘地域を

 迂回できるって言ってたわ。

 ビーストエリア側に入るって」


昨夜、何回もしつこく言われたんだぁ~

この道を使えって。


「魔獣や魔物で出会う可能性は高いですけど、

 人間と出会うより、面倒が無くていいですわよぉ」

 リベラが言った。


「そうね。変に詮索されるよりいいかも」


「では、行きましょうかぁ」


 リベラはそう言うと、指をパチンと鳴らした。

すると目の前に2頭立ての馬車が出現した。


「うわぁ~すごい!本物だぁ」


「乗り心地もわるくございませんですわよぉ?

 ウフフ」


 ミリアが御者をし、出発した。


 のんびりの旅だぁ・・気分いいわぁ!

森の中ってあんまり行ったことがないから、新鮮。


「今日は、どこかに泊まるの?」

 素朴な疑問をぶつけた。


「まぁ、村とかがあればいいですけど、

 恐らく野営になりますねぇ」

 ミリアが応えた。


「え?ミリア、野営って森の中で大丈夫なの?」


「眠るときには、結界を張りますから大丈夫ですよ?

 魔獣や魔物が近づいても、気づかないですから」

 

「へ~便利なもんだねぇ」


しばらく行くと、ミリアが馬車を止めた。


「リベラ様、気づきました?」


「えぇ、何かが来ますねぇ・・」


「え?何かって・・何?」


 ちょっとお待ちください・・

とミリアが前方を凝視した。


「ワーウルフみたいですね。5体います。

 片づけますか?」

 ミリアが確認したみたいだった。

私にはまだ見えない。

 

「あらぁ・・そうねぇ・・

 セリーヌ様、実戦をやってみますか?」

 リベラが軽く言う。

そんな簡単に・・。


「え??いきなり?こ・・心の準備が・・」


 私はちょっとビビった。


「大丈夫ですわよぉ。ウフフ。

 セリーヌ様なら一撃です。

 いつかは実戦を経験しないと

 いけませんでしょう?」

 

 い・・イタイ所を突かれたぁ・・

まぁ、確かにそうだわ。


「う・・うん・・。

 まぁ・・それはそうなんだけど・・」


 私達は馬車を降りた。


 ワーウルフってなに?オオカミなの?

えーー5体も相手できるかなぁ・・・


「いざとなったら、私達がいましてよぉ?

 ご安心ください。何事も経験ですわよ。フフフ」

 

 リベラが軽く言うけど・・き・・緊張するなぁ・・。

私はクラウ・ソラスを抜いた。

ワーウルフの姿はまだ見えない。


「セリーヌ様、ワーウルフの姿が視認できましたら、

 まずは、瞬間移動で群れの中に入り、

 その後は、光速剣で仕留めれば

 大丈夫ですわよぉ?」

 リベラが段取りを教えてくれた。


「う・・・うん」


 私は体中に力が入った。

ガチガチになっている。


 リベラは私の後ろから、耳元で囁いた。

「セリーヌ様。肩の力を抜いてくださいまし・・」


 そう言い終わるとリベラは、私の左の耳たぶを軽く

『アムッ』と噛んだ。


「ヒ・・ヒィイイイッ!!!」


 私はゾクッとして、リベラを見た。


「ななな・・・何するのぉ!!

 ビックリするじゃない!」


「オホホホホッ!力が抜けましたですかぁ??

 あまりにもガチガチになられてたもので・・」


 そ・・そう言えば・・確かに力みは無くなったわ・・


  

「うん!なんか行ける気がしてきたっ!」


「結構でございます。

 では、先ほど申し上げた要領で・・・ウフフ」

 マジ、安心しきってるなぁ。

 楽勝ってこと?


 私は前方に目を凝らした。音を感じる。


来たっ!!


 瞬間、私は移動して群れの中に飛び込んだ。

ここで光速っ!!


 あれ??なに?このワーウルフ止まってるの?

え??あ・・少しづつは動いているみたい。

なにこれ?まるで超スローモーションじゃない。

こんなの目を閉じてても斬れるわ。

遅いわねぇ・・・動き。


とても俊敏なオオカミの一種とは思えない。

では、やりますか。


私は簡単に5体を始末した。いとも簡単に。


「お見事ですわぁ!

 剣の閃光しか見えませんでしたわぁ。

 これが超光速百斬剣ですのねぇ・・

 素晴らしいわぁ!!」


 リベラもミリアも初めて見たようで、

感動しきりだった。


「いやぁ・・私もビックリ!

 藁柱しか相手にしてなかったから

 わからなかった!」

 動く相手は初めてだしねぇ~

まぁ、動いていないに等しかったけど。


「この剣があれば敵なしですわよ?

 魔法の出番ないかもですわぁ。ウフフフ」


 持ち上げるわねぇ・・リベラ。

私の扱いがウマいわ。


「ちょっと自信ついたかもぉ・・ヘヘヘ」


「これからドンドン立ち向かってください。

 それがスキルの向上につながります」

 

「うん。やってみる。ミリア」


私達は再び馬車乗り、森の奥へと進んでいった。 



 森の奥に進むにつれ、ワーウルフやクマ。

大物ではサーベルタイガーも出た。

全て難なく、私が片づけることができた。


やっていくうちに、段々要領がわかってきた。

瞬間移動で、相手の後ろ側に回り込めば、楽なこと。

そして、あまり早く動きすぎるとタイミングが

取りにくいことなど、実戦でしかわからない事に、

たくさん気づいた。


 倒した魔物や魔獣は全て消えていった。

魔力の影響を受けていなかったクマなんかは

そのまま残った。


 これが『収穫』ってことなのねぇ・・

なるほどぉ・・消えて魔界に行くんだぁ。

少しは貢献したかも。アハハ


 森が暗くなってきた。

私達は適当な場所を見つけ、野営することにした。

料理はミリアが作ってくれた。

ホントにミリアってなんでもできるんだ。

でも、この二人、いったいいくつなんだろ?


「ねぇ、リベラ。リベラっていくつなの?」


「あらまぁ・・私の年齢でございますかぁ?

 殿方にはナイショですわよ?

 320歳でございますわ。ウフフ」

 ナイショってみんな知ってるでしょー? 

 

「えーー!!そ・・そうなんだ・・

 見た目は二十歳ぐらいにしか見えない・・」

 じゃ・・じゃぁミリアは?

 

「ミ・・ミリアは?」


「私は・・あの・・225歳です」


「や・・やっぱり・・そうなのね・・」


「私は、こちらの世界は2度目でございましてよぉ。

 ウフフ。丁度、1周回った感じですわねぇ」

 リベラが言った。

 そっかぁ、300年ぐらいで一周するって

言ってたものなぁ。パパ。


「へー・・前に来たときは、どんな感じだったの?」」


「以前は、人間はほとんど居なかったですわ。

 今みたいに銃火器なんかも、ございませんでしたわ」

 

「へー人間はやっぱり進歩するんだなぁ・・」


「アカ殿から聞きましたけど、今は、相当人間に 

 やられているみたいですわねぇ・・獣人の方たち・・」

気の毒そうに、リベラが言う。


「あ、それは私も聞きました。

 以前は今のヒューマンエリアも、

 全て獣人エリアだったらしいですよ?」

 ミリアも同じく。


「へぇ。そうなんだぁ」


「まぁ、私たち魔界のモノは、その世界の

 イザコザには首を突っ込まない事になって

 おりますから、立場は中立で

 ございますけどねぇ」

 リベラが教えてくれた。


「これから向かうリーワース共和国は、

 昔からあった国だったそうです。

 言い換えれば私達と同じ、中立国ですねぇ」

 と、ミリアが言った。



「そう言えばミリア?海岸まではあ

 とどのくらいなのぉ?」

リベラがミリアに聞いた。


「そうですねぇ・・順調に行けばあと2日

 ぐらいかと思います。

 海岸に着けば海峡を一気に飛びますから

 2日でリーワースには到着できますよ?」


「そう・・結構かかるのねぇ・・

 まぁ、明日もボチボチいきましょうか。

 焦る旅でもありませんし。ウフフ」

 

そして、リベラは馬車の回りに結界を張った。

静かな森の夜に私達は包まれていった。



 不穏な気配が近づいてきた。


「ぬ?・・何者かがここらに結界をはっておるな・・

 明日でも確かめてやるか・・

 魔の者ならば、喰らってやるわ・・

 グフフフ・・・・」

 

 不気味な気配は、結界の回りを徘徊し、やがて

森の闇に消えていった。      


 

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