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魔界=魔王だっ! Next World  作者: リーマンズ・ハイ
4/13

 4話 新魔王!就任式?

 

 私が剣の訓練を終えた頃、魔王城が完成した。

スゴイお城ーーって感じじゃなく、

5階建てぐらいのビルみたいな大きさだった。


 一応、魔王城にも城下みたいなのがあって、

魔王城の前は大きな広場のような感じになっている。


魔界の街並みは、他の街を知らないけど、

普通だと思う。歩いている人々は人間みたいな感じ。


ちょっと角が生えていたり、体が大きかったり、

背中に翼があったり。あ、尻尾がある人もいた。



明日は、新魔王のお披露目ということで

なんかみんなバタバタしていた。


部屋に、明日の打ち合わせでレイグリッドが来た。


「ねぇ、レイグリッド。

 明日は私、何をしたらいいの?」


「そうですな、まずは民衆に新魔王としての

 挨拶みたいなのを軽くしていただければ、

 あとはこちらの方で進めて参ります」


「え?それだけなの?」


「一通りのセレモニーが終われば、

 最後にセリーヌ様に魔鍾を叩いて頂きます」


「魔鍾??なんですか?それ」


「ま、魔界のカネですね。

 これを魔王となられる方が鳴らせば、

 魔王様の魔力がこの世界に噴霧されます」


「へーー。なんかパパが言ってた

 収穫に向けての行事なのね?」


「さすが、ご理解が早い。その通りで

 ございます」


「魔鍾ってそれ一回だけ鳴らすの?」


「いえ、魔力は一回では浸透いたしません。

 一回目の鐘は、まぁセレモニーですね。

 1日に一度、魔王様が鳴らす事となっております」


「それが私の主な仕事?」


「そうですね。あとは状況を見ながら、

 エリアを分けて、そこに向けて鳴らします」


「エリア?」


「例えば、あまり動植物のいない荒野に

 魔力を噴霧しても意味はございませんから、

 重要な所に向けて鳴らします」


「エリアごとに?」


「はい。そのエリアをイメージして

 鳴らして頂きます。

 この世界の地図がございますから、

 色んな情報を集め、有効な所はどこかを、

 我々、魔将と合議の上、翌日の

 対象エリアを決める・・という感じですね。

 例えば、これからの5日間はAエリアを

 重点的に噴霧する・・

 といったような形でございますね」


「なんか・・難しいのね?」


「はい。このやり方は先代のシュベル様が

 お考えになられたやり方です。

 マーケティングと仰っておられました」


「へぇ・・パパってすごかったのねぇ・・」


「はい!それはもう、シュベル様ほど

 この魔界に変革を持たされた方はおられません」


「でも私、いきなりマーケティングなんて

 言われてもわかんないわよ?」


「大丈夫でございます。我々はシュベル様から

 今までしっかりとマーケティングのご教授を

 頂いておりますので、取り立てて問題が

 無いようでしたら、私共で運営はできます。

 セリーヌ様は

 まず、この魔界に慣れて頂く事を優先して

 いただければと考えております」


「それなんだけど、意外と魔物っぽい人って

 見かけないわねぇ?ほとんど人間みたい」


「みな、人型で生活しておりますゆえ・・」


「なんでなの?」


「うーーん・・そうですなぁ・・分かり易く

 申し上げますと、例えばアカ殿のような竜族が

 人型にならずそのままの姿であれば、

 街を形成できません。それぞれ形、

 大きさなどが違いますから」


「あぁ・・一応、姿形は合わせているって

 感じなのね?」


「その通りでございます」


「じゃあ、どんな時に元の姿に戻るの?」


「それぞれが持っている魔力を解放した

 ときですね」


「じゃぁ・・私も・・なの?」


「はい」


「えーーーっ!どんなのになるんだろーー・・」


「それは・・その時にならないと・・

 シュベル様も、魔力を全開放したのは、

 ガルドとの戦いの時だけでしたから・・」

 

「どんなのだったの?」


「まぁ、ミリアが遠くから見たようですが、

 それはそれは・・とてつもなく恐ろしい

 お姿だったようです」


「えーーー・・なんかヤダなぁ・・私・・」


「まぁ滅多にそのような事態は起こりません。

 ご安心ください」 


「ねぇ、私、魔界の街を出歩いてもいいの?」


「大いに結構でございます。

 外の世界へ出歩くのは、今しばらく

 お待ちください」


「どうして?」


「魔力を噴霧して、どのような変化があるのか、

 それを見極めてからでないと、何が起こるか

 わかりません。

 ある程度落ち着きましたら、伴を連れてなら、

 お出かけになられても構いません」


「誰がついてきてくれるの?」


「セリーヌ様におかれましては、

 ミリアが御伴いたします」


「わかったー!竜に乗れるのね?」


「はい」


「やった!夢だったんだー!竜に乗るの!」


「それはよかった。ぜひミリアを

 可愛がってくださいませ」


「うん!!」


 翌日、私のお披露目とこの世界での

新たな魔力噴霧のセレモニーが執り行われた。

 

 魔王城の屋上に上がると、眼下には広場があり、

そこから長い距離で大通りがある。

 

 スゴイ数の魔界人たちがいた。

 

「うわぁーすごいっ!どれだけいるの?」


「そうですね、ごく一部の者たちしか来て

 おりませんが、ざっと4万って

 ところでしょうか」


 アカが言った。


 私はアメリカ大統領の就任式を連想した


 しかし、マイクもないのにどうするんだろ?

声が届くと思えないけど・・

周囲を見てもそれらしき拡声装置が見当たらない。


不安になって、レイグリッドに尋ねた。


「ねぇ、レイグリッド、挨拶って言っても・・

 私の声、届かないんじゃないの?」


「セリーヌ様、皆に届けと念じて話すのです。

 これは、これから訓練に入る、魔法にも

 通じることですよ」

 

「念じるって言われても・・」


「では、早速、私が御見せいたします」


 レイグリッドが前に出た


 そしてスゥーーッと息を吸い込み

静かに、しかし、重く響く声で話だした。

それは空気を通した振動ではなく、私の頭の中に

直接語り掛けるようだった。



「魔界の民よ。

 先代の大魔王、シュベル様が消滅されてから

 10を三つ数える日が過ぎた。

 そして今日!新たなこの世界に

 収穫の鐘を鳴らす時が来た!」


 すると、魔界の民たちが

 

 ウォー----ッ!!と雄叫びを上げた。

 

 すごい!!みんなに聞こえているんだ!!


「我等は恵まれている。

 此度の降臨された新魔王様は

 先代、大魔王シュベル様のご息女である!!」


  ウォオォーーーーーッ!!!


 スゴイ!さらにヒートアップしている!!

わぁ~プレッシャーだぁ・・・・


「我らが新魔王、セリーヌ様に、

 魔界の全てを捧げ、共に忠誠を誓うのだ!!」


  ウォオオォオオオ!!!!


 地鳴りとも思えるような雄叫びだ。


 レイグリッドは言い終わると、私を振り向き


「さぁ、今の要領でございますよ。

 セリーヌ様ご挨拶をお願いいたします」


 そういうと、レイグリッドは私の手を取り

何か少し念じた。

そして前へとエスコートしてくれた。


「え・・えぇーーー!!今の要領ってなに?!」


「先ほど、申し上げた要領でございます。

 皆の頭に届くよう念じてください。

 大丈夫です。必ず伝わります」

 

 ホントにぃ???えーー緊張するしぃ・・

そんな、4万もの人の前で喋ったことなんて

ないしぃ。。


 私は不安にかられながら、

オズオズと前に行った。


 一番前にいると、改めてスゴイ数の人たち

が目に入った。



 一瞬の静けさの後、


  ワァアァーーーーーーー!!!!


 という歓声が上がった。


わっ!!スゴイ!圧力ハンパない!

 

 私は目を閉じ、レイグリッドがしたように、

スゥーッと息を吸い込み

皆の心に届くよう願って、目を開け皆を見た。


 あれだけの歓声が、水を打ったように

静かになった。


「私は・・・セリーヌです。

 先ほど、レイグリッドからあったように、

 シュベルの娘です。

 私の父が・・シュベルが、

 偉大な魔王であったことを

 こちらに来てから教えられました。


 私は・・私は父とは違います。

 どれほどの事を皆さんにできるのか、

 どこまで父に近づけるのか、

 まだわかりません・・・。

 でも!!偉大なる父の名に恥じぬよう!

 全身全霊で取り組みます!

 この魔界を守るためにっ!!!」



 言った・・言ってしまった。

聞こえたのだろうか・・届いたのだろうか・・


 静まり返ったままだ・・失敗かぁ・?


 次の瞬間


  ワァーーーーッ!!!!ウォオオオッ!!!


 という歓声が上がった。


と・・届いたんだ・・

よ・・良かった。


私は力が抜けてしまった。

ミリアが支えてくれた。


「ミ・・ミリア・・」


 ミリアは涙を浮かべていた。


「セリーヌ様!素晴らしい・・

 とても素晴らしかった!!

 感動しちゃいました!」


「あ・・ありがとう・・」


 レイグリッドが二コリと微笑んで言った。


「心に響くスピーチでした。これで魔界のモノは

 心からセリーヌ様を支えてくれますでしょう」

 

「よ・・良かったぁ・・」


 その後、鐘を鳴らすセレモニーを終え、

部屋に戻り。

着替えを終えたあと、大広間に入った。


 魔将が全員と魔界竜。

それとそれぞれの部門の責任者らしき

人達が揃っていた。


 私が入ると大きな拍手で迎えてくれた。


 その後、各自に

レイグリッドから今後の手筈や指示が出され

私は椅子に座っているだけだった。


全てが終わり、やっと解放された。


ミリアと一緒に部屋に戻った。


「はぁ~~・・もうクタクタだぁ・・」


「お疲れ様でございました。

 お茶でもいれましょうか?」

 

「うん、おねがぁい」


 ミリアはウフっと笑ってお茶の用意をしだした。


「ねぇミリア。私ね、ミリアとなら

 出かけてもいいってレイグリッドに

 聞いたの。知ってた?」


「はい。レイグリッド様より承っております。

 喜んで御伴をさせて頂きます」

 

「私ねぇ、竜の背中に乗って飛ぶの

 夢だったんだー!」


「シュベル様もお好きでしたねぇ。

 瞬間移動で行ける所でも私達に

 乗ってくださいました」


「瞬間移動?魔法なの?」


「はい。行ったところとか、

 見えている所に瞬間で移動できるスキルですね」


「私もできるかなぁ?できたらスゴイな」


「もちろんでございます。

 明日から魔法の訓練ですよね?

 そこでスキルも教えて頂けると思います」


「誰が教えてくるの?」


「リベラ様です」


「そっかぁ!リベラさんとも

 ゆっくりお話ししたかったんだぁ、

 ちょうど良かったぁ!」


「あらまぁ、そのお言葉。

 リベラ様が聞かれましたら

 とっても、お喜びになりますよ?」


「でもさ、パパってすごい人気あったんだねえ・・

 プレッシャーだわぁ~・・」

 

「それはもう!魔界の女性達の

 憧れの的でしたから」


「え~~・・そんなカッコよくない

 けどなぁー・・」


「まぁ・・そのような・・

 シュベル様のかつての御姿をご覧に

 なりますか?」


「えーーっ!!写真か画像かあるの!?」


「しゃ・・しゃ・・とかいうのでは

 ございませんけど、

 水晶版に記録できましてですよ?」


「見せて見せてー!!」


「はい。ではこちらをどうぞ」


 ミリアは胸元から一枚のガラスのような

モノを出してきた。

ちょうど、スマホぐらいの大きさだ。

それをテーブルの上に置いて、ミリアが

手をかざした。

ぼんやりとした絵が次第にハッキリしてきた。


「こ・・これって動画じゃん!!

 動いてる!!」


「そうでございます。あまり長くは記録

 できませんが

 短時間でしたら、

 このように見ることができますよ」

 

 そこには在りし日のパパが映っていた。


若いっ!!!いくつぐらいだろ?

17~18ぐらいかな。

今の私とあまり変わらないぐらいだ。


「いかがです?素敵でございますでしょう?」


「うーーん・・まぁ、カッコ悪くはない・・かな」


 ふと私は気づいた。


「しかし、なんでミリアさん、こんなの大事

 に持ってるの?」


「あ・・アハハハ・・そ・・それは・・その・・」


「あれーー??ひょっとしてー・・

 パパの事が好きだったとかぁ??

 ん~??フッフ~~ン・・」


「そ・・そんな、恐れ多い!

 た・・ただの憧れでございます!」


「へぇ~~モテたんだねぇ~ウチのパパ」



それからミリアは、ひとしきり、

パパに乗って貰ったときは幸せだったとかぁ、

名前を貰ったときは気絶しそうだったとかぁ、

そんなことばかり夢中で話てた。


なーんだ、やっぱパパに惚れてたんじゃん。

とか思ってしまった。


 ミリアは年を取ったパパの事を、

すごく聞きたがった。

まぁ、差し支えない程度には話してあげた。


いつもママとイチャイチャしている事以外は。



翌日、リベラが部屋まで迎えに来てくれた。


「セリーヌ様ぁ、おはようございまぁす。

 ご機嫌、如何でございましょうか?」

 

「あっ、リベラさん!わざわざ来てくれたの?」


「リベラでいいですわよ~、セリーヌ様」


「今日から魔法を訓練してくれるんだよね?

 すごーく楽しみなんですけどぉ!」

 

「はぁい!私にお任せを」


「で、これからどうするの?」


「そうですねぇ、魔界をちょっと出て、

 すぐ近くの森にいきましょうか~」

 

「え?いいのかな。レイグリッドに怒られない?」


「私がご一緒しますから、大丈夫ですわよ?

 ミリアも連れて参りましょう」

 

「わかった!じゃぁ行こう!」


 私達3人は、魔界から出てすぐの

 森に入った。


「セリーヌ様、魔法というのは、

 自分の回りにある

 マナを取り込んで、形にするのです。

 まずはマナを感じ取りましょう」

 

「え・・ど・・どうやって?」


「大地に寝そべってみてください」


「え・・え?ね・・寝ころべばいいのね?」


「はい、そこで大地の鼓動、森の息吹、

 そして光の声を感じ取ってください。

 この自然に身を任せるようにです」


「わかった。無我の境地みたいなものね?」


「自然と一体になるような気持ですね」


 私は目を閉じた。


 頭の中を空っぽにして、自然に溶け込む

ような意識を持った。


 聞こえる・・・森の声・・光の音・・

そして大地の鼓動が聞こえる。


 体が浮かぶような、魂が抜けていくような

不思議な感覚に入った。

眠ってはいない。それは確かだ。


こういうのをトランス状態っていうのかな。

なんかで読んだ事がある。


 ゆるやかに空気に乗っているような、

でも、木の葉から露のしずくが落ちる音さえ

聞こえる、そして見える。



「はい!セリーヌ様、結構でございますよぉ」


 目を開けると・・


 辺りが若干暗かった。


「えーーー!!陽が沈みかけてるぅ!!」


「はぁい、そうですねぇ。6つの刻が過ぎました」


 6つの刻って・・6時間!!!?


 わずか一瞬だったようなのに!


「一瞬の感じでしたかぁ?」


「え・・え?そそ・・そう!!」


「はい、ここからがスタートです。

 6つの刻で感じ取れた感覚を

 一瞬でつかみ取れるようになれば、

 どのような魔法でもお使いになれるように

 なりましてよ?」

 

 こ・・これは、或る意味、剣よりムズイかも!


「よろしいですか?

 最初はこのように寝そべって

 次は座って、そして最終的には

 立って感じ取れるようにしてください」

 


「結構・・時間がかかりそうな・・・」


「大丈夫ですよ。

 セリーヌ様の魔力は、シュベル様から

 受け継いでおります。

 7日もあればできますよ。

 それから、実技の方をご教授いたします」



 はぁ~~~・・・先は長そうだなぁ・・・      

  


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