1話 私はセリーヌ!
私はセリーヌ。
フィジーに住む、From6の16歳。
日本で言う、高校2年生。
もうすぐ17歳になる。
パパとママと弟のレイとの4人家族
あ・・あと、もう一人の家族、
愛犬、レトリバーのアカ。
変な名前だけどパパが名付けた。
弟の親友ね。
パパの名前はヨースケ
ママは、リリアーヌ
なんでも20年前、大恋愛をして駆け落ち
みたいな感じで世界中を旅したらしい。
それで、二人がここフィジーを気に入って。
ここに住み着き
私が生まれたって言ってた。
小さいころから、パパとママから
色んな大冒険の話を聞かされ育った。
お伽噺みたいな話なんだけど
妙にリアルだった。
なんでも、パパは魔王で、ママは勇者とか
だったらしい。
なぜか二人は手を組んで、悪を倒しに
いったという。
弟のレイもそのお話しは大好き。
飽きずに何回も聞いてる。
弟のレイは6歳。とっても可愛い。大好き。
きっと、ママの遺伝子なんだろうなぁ。
可愛すぎる。。
私、将来、ブラコンになるかも・・
いや・・既になっている。
ママはすごく美人。自慢のママ。
今は、ファッション雑誌の
カメラマンをしている。
パパは、あんまりカッコいいとは
思わないけど
大好き。
私が昔のママに似ているとかで、私には大甘。
メロメロなの・・。
今は、貿易会社をやっていて、
色んな国のモノを輸入している。
パパとママは、すっごく仲がいい。
私やレイが居ても、平気で
イチャイチャしている。
私も結婚したら、こんな風になれるのかな・・?
結婚するならパパみたいな人がいいな。
私は世間で言われる、お年頃なんだけど
あんまり男の子には興味ない。
私が夢中になっているのは、サーフィン!
あと、自転車も好き!!
それと、パパにムリを言って習わせて貰っている
ケンドーも大好き。
これでも強いのよ。
とにかく、体を動かすのが大好き。
年中、外でなにかスポーツをしているので
あんまり女の子らしくないかもしれない。
ママには、パパみたいな性格だってよく言われる。
そうかな・・?そうは思わないんだけどな・・。
「セリーーヌ―――!遊んでーーっ!!」
部屋にいると、レイが走ってきた。
普段、あんまり家に居ないから、
私が家に居る時には
飛んでくる。可愛い~~~!
「いいわよぉ!晩御飯までね。
今日は何をする?」
「んっとね・・・魔王ごっこ!」
「え~~またぁ~~・・・またレイが
魔王役なのぉ?」
「ねーーいいでしょう~~?」
ぬっ!!こやつ!すでに私の弱点を
知っている!!
その上目遣いは、ママ由来かっ!!
「もぅ~~・・しょうがないわね。
じゃ、いくわよぉ?」
私は声色を変えて、両手を振りかざし、
レイを襲うような素振りをした。
「フッフフ―!シュベルよ!くたばるがいい・・!」
「なにを!これでもくらえ!」
とレイが飛び蹴りをしてきた。
私は、サッとよけた。
ズデンッ!!
「セリーヌ!ズルイ!よけた!!」
「フッフ――、今日のガルドは一味違うぞぉ~っ!
こうだっ!!」
私はレイを捕まえ、体中をくすぐってやった。
「キャハッ!キャハハハハハッ!おねーちゃん!
やめ・・て!キャハハハ」
あ~~~ん!可愛い!!チューしてやろっ!
「セリーヌー!レイー!降りてきなさーい!
食事よ~!」
ママの声がした。
「レイ、ご飯だって。いこっ!」
「うんっ!」
下に降りるとパパもママもいた。
パパはどんなに忙しくても、晩御飯には
絶対帰ってくる。
パパによると、それは取っても
大事な事らしい。
「おっ!セリーヌ。相変わらず美人だな。ハハハ」
「パパ、もういいって、わかったから」
パパは私の顔見ると、必ず、そうやって言う。
「じゃぁ、頂こうか。『いただきます!』」
日本の風習らしいけど、これも小さいころから
教えられた。
食べ終ったら『ごちそうさま』って
日本語で言う。
私の家では、フランス語と日本語が、
飛び交っている。
知らないうちに私はどっちも
理解できるようになっていた。
レイが5歳の誕生日の時、家族で日本に
行ったことがある。
日本は、すっごく刺激的な所だった。
パパの生まれた育った所って言ってた。
魅力的な国だなぁとは思った。
私は言葉もわかるし。
でも、住みたいとは思わなかった。
やっぱり、私はこのフィジーが大好きだから。
「ママ、今日のデザートは何?」
レイがママに聞いた。
「今日は、ラズベリーのケーキよ?」
「え・・またぁ~?ママ、そのケーキが出てくるの
多くない?」
私は、はぁーーー・・・っとため息をついた。
美味しいけど、しょっちゅう出てくる。
何故か、パパとママには思い入れがある
ケーキらしいのだが・・
「セリーヌ、僕好きだよ?そのケーキ!」
まぁ、愛しい弟が好きなのなら・・仕方ない。
文句はやめよう。
食事が終わり、リビングに行く。
何故かウチにはテレビがない。
パパもママもテレビにトラウマがあるらしい。
まぁ、ほとんどの事はスマホで済むので
私はさして不自由を感じない。
そして、いつもこの時間は、パパとママ
とのお話しだ。
実際、パパとママの物語は、
全て再現できるほど、私は頭の中に入って
いるけど。
レイが喜んで聞くので、一緒に聞いている。
相変わらず、パパとママはベッタリだ。
今日はママが私に向かってニコッと笑い
話をしだした。
「セリーヌ、明日は17歳の誕生日ね。
今日はその前に
大事なモノをアナタにあげるわ」
「え?何を??」
ママは指輪のケースを取り出した。
そして私に渡した。
「これを・・・ 」
「え?何々??指輪?」
「開けてみなさい」
パパが言った。
開けてみると、エメラルドの凝った造りの
指輪があった。
「こ・・・これは・・・?」
「ステータスリングよ」
ママが言った。
「え?・・え??・・
あのいつもお話しに出てくる?
あの指輪なの??本当にあったの?」
「あぁそうだ!ハハハ。
まぁ魔力は無いかもしれないがな」
とパパが言った。
「パパが、ママにその指輪をプレゼントしたのは
ちょうど、ママがお前ぐらいの年だった。
ま、向うの世界で・・だけどな」
パパはママをみてニコッと笑った。
「え?・・お伽噺じゃないの?」
「ん~~・・まぁ、或る意味、お伽噺かもねぇ~
ンフフフ・・」
とママが言った。
私は指輪をジッと見た。
き・・キレイだ・・なんか引き込まれそう・・
私はそっと、指輪を右手の中指にはめた。
そう、ママがしていたように。
ピッタリだった。
ちょ・・調整もしていないのに
吸いついてくるみたい!
なんか・・右手がポワッと温かい気が・・。
「あ・・・ありがとう!!!大事にするっ!
パパ、ママ!ありがとう!!」
私はこの指輪がすごく気に入った。
「いいなぁ~セリーヌ。それ魔法の指輪だよ?
いいなぁ~~」
レイが羨ましそうに言った。
私は部屋に戻った。
指輪を眺めていた。
本当に吸い込まれそう・・・。
キレイだ・・・ いつまでも見ていて飽きない。
私は指輪をしたまま、眠りについた。
「おぉーーーー!!!新魔王が召還された!!」
「美しい女性だわぁ~っ!!」
「だ・・誰かに・・似ておらぬか?」
なんだか、周りが騒々しい・・
なんなの?もう朝なの?
「う・・・うーーーん・・・」
私は目を開けた。
なにか身なれない景色がそこにあった。
「ど・・どこなの??ここは・・」
私は、ハッと飛び起きた。
え?・・周囲に人がいる!?誰?
ここは家じゃない!!
どこ・・どこなのっ!!
すぐそばに白髪の老紳士がいた。
「魔王様・・・あなた様が召還されました
新魔王様でございます」
「え??え??えーーーーーっ!!」
何?夢~~?
もぅーービックリするじゃない。
いつもママ達からお話しを聞いているから?
ついに夢にまで出てきたんだぁー!
周囲には5~6人の人がいる
「だ・・・誰?あああ・・あなた達は誰なのっ!?」
「私は魔界の魔将、レイグリッドと申します。
あなた様の執事を務めさせていただきます」
レイグリッド??聞いたことがある・・
そ・・そうだ!!パパのお話しの中で出てきたー!!
弟の・・レイの名前はそこから取ったって
パパが言ってたぁーーーっ!!
これって・・パパのいた魔界の夢???
マジっ??
「私は、リベラと申します。
魔将の一人でございます。
新魔王様、心よりお仕えいたす事を
御誓い申し上げます」
ここ・・・この人が、リベラ!
なんていうか・・危なそうな・・
でも美人!!!
何?あの胸!!私の数倍ありそう!!
「私はザリアスと申します。同じように
魔将の一人でございます。
魔王軍の将軍を預からせて頂いております」
ここ・・この人の名前も聞いたことある!!
いかにも軍人って感じなのねー
「私はアカと申します。
この度、新たに魔将となり
竜軍を率いておりまする」
へ??アカって、あのアカ―ーー???
レトリバーの!!ブッ!!
「あ・・ハハハ・・アッハハハハ!!
アーハハハ!!」
私は思わず、爆笑してしまった。
周りの人たちは、あっけにとられ、
不可思議な顔してお互いの顔を見合ってた
しっかし、夢にしてはリアルねー!
こんな楽しい夢、久々かも!
「な・・なにが可笑しいのでございましょうか?
魔王様?」
レイグリッドと言う人が怪訝そうに
聞いてきた。
「アッハハハ・・い・・いやぁ、夢にしては
すごく良くできてると思って・・ハハハ」
「ゆ・・・夢??」
そこにいる人達が、顔を見合わせて
なにやら話している。
「あ・・あのぉ~・・魔王様?」
リベラという人が話してきた。
「ハハハ・・な・・なぁに?」
「その、これは夢じゃございません
ですが・・?」
「そうなんだーーー!アッハハハ」
するとリベラっていう人が
困ったような顔して、レイグリッドていう人に
小声でなんか話した。
そして
「ま・・魔王様、ちょっと失礼します。
お叱りは後で受けますので・・・」
といい、なにやら左手を私に向けた。
突然、頭から冷たい水がザバーっとかかった。
「ヒィイイイイッ!!
つ・・冷たいっ!!」
すると
「御目が覚めましたですかな?」
とレイグリッドがどこからかポンッと
タオルを出して私に差し出した。
「魔王様、これは現実でございますよ?」
え??・・冷たいし、水の感覚もある!
浴びせられた水を舐めると、
ちゃんと水の味がするっ!!
こ・・これは現実ーーーっ!?
ま・・まさか、パパのいた世界に
ホントに来てしまったんだ!!!!
パパとママの話って、本当だったんだ!!!
これは本当に夢じゃないわよね?まさか・・
私は両手で、自分のホッペを思い切り、
気合いをいれるように叩いてみた。
バッチーーーンッ!
叩く音が部屋中に響いた。
周囲の人たちは、シーーンとなり、
私を見ていた。
い・・・イタイ・・・・
や・・ヤッパリ、夢じゃない。
私は・・・・私は異世界に来たんだ!!!
しかも、魔王として!!!
私は茫然とした。
ここにいる人たちは、たぶん、
パパとママから聞かされている人たち
なのだろう。
知らないけど、知ってる。
なんで、ここに来たのだろう?
指輪か?指輪のせいなんだろうか・・
私は右手の指輪を見てみた。
「そ・・・その指輪は!!!!」
アカって人が突然、大きな声を出した。
「ま・・魔王様、その指輪、どこで
手にいれられたのですか??」
「どうしたのだ?アカ?」
レイグリッドさんがアカさんに聞いた。
「そ・・それは、その指輪は、
先代のシュベル様が、リリア殿に
渡された指輪と思います!!」
あーーやっぱり、ステータスリングの話は
本当だったんだぁー。。
私は皆に向けていった。
「そうだよ。これは夕べ、パパとママから貰ったの」
「は?そ・・それは・・どういう事ですかな?」
レイグリッドさんが、怪訝そうに私に聞いた。
あぁ、まだ私の事、知らないのよねぇ・・
この人たち。
これが現実なら、ちゃんと自己紹介しよ。
私はベッドから立ち上がって、
皆の前に一歩出て言った。
「私の名前はセリーヌ。
母はリリアーヌ=ヴィルドー
そして父は、ヨースケ・コタニ。
皆さんが言う、シュベルよ」
一瞬、シーン・・・・となった。あと。
「え・・エーーーーーーーーーーーッ!!!」
魔界中に轟き、鳴り響く全員の驚愕の声で
私の魔王人生がスタートした。