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勇者系ロボットが目覚めたら、敵はとっくに滅んでた ~ロボもの世界の人々~  作者: コーキー
第一章「覚醒! その名はジェイカイザー!」
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第2話「教習! クロドーベル!」【Aパート 白昼の取り調べ】

  【1】


 まだ日も高い時間。

 外の明るさと対象的な、薄暗い取調室に野太い怒声が響き渡る。


「だから、あのキャリーフレームをどこで手に入れたかと聞いているんだ!」


 つばを飛ばして叫びながら、裕太ゆうたの取り調べを行っている警察官・照瀬てるせ三太郎さんたろう巡査部長は机を強く殴りつけた。

 そして、その衝撃でグラついた卓上ライトの電球で、照瀬は裕太の顔を照らし出す。


「うっ!」


 顔面に電球の光と熱を浴び、思わず手で目を覆う裕太。


「カツ丼であります」


 そんなふたりのやり取りを全く気にしてない様子で、メガネを掛けた女性警官・富永とみなが永美えいみ巡査が机の上にドンブリを乗せた。


「だから、何度も東目芽ひがしめが高校のグラウンドに急に現れたって言っているでしょう!」

「カツ丼であります」

「そんなマンガみたいな展開があるかよ! さっさと祖父とか知り合いの博士が作ったとか言ってみたらどうだ!」

「それこそアニメの見すぎでしょう!」

「カツ丼であります」

「富永ぁ! お前は何杯カツ丼を注文したんだ!?」


 机の上に次々と増えていくドンブリに、ついにキレた照瀬が机に拳を打ち付けた。

 ビクリと富永の全身が飛び上がり、彼女の眼鏡越しに見える目を泳がせながら、オドオドとした様子でゆっくりと振り返る。


「は、8杯であります!」

「どう見ても多すぎるだろうが!!」

「で、ですが! あちらのお嬢さんは3杯目に入ったであります!」


 と、富永は取調室の角の方を指差した。

 指差された先にある机の前で、ひとりガツガツとカツ丼を堪能するエリィ。

 ガツガツとドンブリの中身を口にかきいれ、湯呑みのお茶をごくごくと飲んで、部屋中に響き渡るほどの「ぷはぁ」という息継ぎの音を響かせる。


「美味しいわぁ! このカツ丼! 何杯でも食べれちゃうわぁ!」


 箸を持ちながら手を頬に当て、うっとりした表情を浮かべ、空のドンブリを重ねるエリィ。

 そんなエリィの姿を見て、裕太は「よく食えるな……」と呆れることしかできなかった。

 照瀬てるせは出前の箱に貼り付けられていた領収書を富永に突き出して。


「富永、余計に頼んだ分はお前が払うんだぞ」

「はうっ! ひどいであります!」


 涙目で自分の財布を取り出し、中を覗き込む富永。

 そもそもこの手のカツ丼って被疑者側が支払うものだと聞いたことがある。

 注文の過失があったとはいえ、どうして富永巡査が払わなければならないのだろうか。

 いや、そもそもなぜ自分が取り調べを受ける羽目になっているのか、裕太は朝から今までの経緯を思い返した。




    ───Bパートへ続く

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