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第9話「コロニーに鳴く虫の音:後編」【Gパート 宇宙怪虫の恐怖】

 【8】


 裕太とエリィがこの場を去った後、サツキを守るように背中合わせで宇宙怪虫を迎撃するヨハンの〈ザンク〉と内宮の〈エルフィス〉。

 丸腰だった〈エルフィス〉はヨハン機から渡された対CF(キャリーフレーム)ライフルを構え、〈ザンク〉は手に持ったビームセイバーを光らせる。


「内宮さん、後方に2匹!」

「見えとる見えとる! 落ちとれカトンボが!」


 上空から接近してくる宇宙怪虫を、内宮の〈エルフィス〉が正確な狙いでライフルを斉射し、近づく前に地へと落とした。

 今度はヨハンの前方から別の宇宙怪虫が飛来し、ヨハン機へと攻撃を仕掛けようとするが細かくバーニアを吹かせたサイドステップからのビームセイバーによる一撃でその宇宙怪虫を両断した。


「ヨハン、やるやないか」

「君もな、内宮さん。……性懲りもなく来たぞ、今度は1匹だ」

「こっちのレーダーにも映っとるけど、なーんかでかないか?」

「……気のせいじゃないぞ、本当にデカい!」


 反応の来る方へと向きを変えて武器を構えると、先程までの宇宙怪虫とは違う、巨大なカマキリのようなシルエットの巨大怪虫がコロニーの床に足を食い込ませながら降り立った。


「なんやさっきまでのザコとは雰囲気がちゃうけど、先手必勝や!」


 そう叫びながら内宮は〈エルフィス〉の手に持つライフルを巨大怪虫に向けて発射した。

 しかし、放たれた弾丸は巨大怪虫に届く前に何かにぶつかるように跳ね、博物館の壁に巨大な弾痕を描いた。

 負けじとヨハンが〈ザンク〉を踏み込ませ、縦一文字にビームセイバーを振り下ろそうとするが、やはり何か壁のようなものに阻まれて光の刃は目標には届かなかった。


「まさかこいつ……」

「バリアーみたいなもん持っとるんか……!?」

「お二人さん! ツクダニが何か教えようとしています! えーと……あのカマキリさんは、どうやら敵の親玉。女王虫みたいです!」



 ※ ※ ※



「よし、意外とあっさり着いたな」

「そりゃあ、みんな避難しちゃってるでしょうから……」


 エリィの操縦する2脚バイクで宇宙港へとたどり着いた裕太は、避難が終わって人気ひとけのない格納庫の中を記憶を頼りにジェイカイザーの本体のもとへと走り出す。

 開きっぱなしになっていた扉を数枚抜けると、携帯電話からチープな電子音がピピピと鳴り響き、暗闇の中でジェイカイザーの目がキラリと光を灯らせた。


「行くぞ、ジェイカイザー! 発進だ!」

『おう!!』


 その場で屈みコックピットハッチを開いたジェイカイザーに駆け寄り、タラップとなったハッチを駆け上って裕太はパイロットシートに腰掛けた。

 そして左右の操縦レバーに両手を乗せ、ビリっと来る神経接続の感触に身を震わせる。

 と同時に、エリィもコックピットに上がり、シート脇の空洞に細い体を入り込ませた。


「おい、降りろよ!」

「あーら、あたしをこんなところで一人置いて行くつもりかしらぁ?」

「……しょうがねーなぁ。操縦の邪魔だけはするなよ!」

「はーい!」

『行くぞ、裕太!』


 ジェイカイザーの声に応えるように、正面にあるメインコンソールの画面上に指を滑らせ、コックピットハッチを静かに閉じさせてから、裕太は力いっぱいペダルを踏み込んだ。

 勢い良くジェイカイザーの背部バーニアが青い炎を噴射し、その炎に押されるようにしてジェイカイザーは宇宙港を飛び出した。



    ───Hパートへ続く

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