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最終話 「大地に還る」【Gパート 決着の時】

 【7】


 地響きとともに、〈グレートエビルカイザー〉の正面に着地するハイパージェイカイザー。

 大きさもパワーも、これで互角となったはずである。


「エリィ、来てくれてありがとうな!」

「裕太ったら、いつもあたしに心配かけてばかりだもの。放っておけなくって!」

『別に、ジェイカイザーが心配で来たわけではありませんからね』

『それはツンデレと取って良いのか? ジュンナちゃん!?』

「とにかく、だ。訓馬さんの弔い合戦だ!!」


「ええい、勝手に殺すでない。私は生きているぞ! 孫娘の花嫁姿を見るまでは死なん!」

「あれ?」


 通信で入ってきた訓馬の声に、裕太はシリアスモードを崩された。


「いやだって今さっき、コックピットごと爆散……」

「ドアトゥ粒子で脱出したから安心したまえ。それよりも、合体したとしてもあやつの装甲にダメージが入らないのは変わらぬが、何か策はあるのか?」

「訓馬さんのお陰で策ができました。この方法なら、行けるはずです」

「そうか……では健闘を祈る。時代をつくるのは老人ではなく若者であると、あの亡霊に叩き込んでやれ!」

「はいっ!!」


 訓馬との通信が切れた辺りで、ショックライフルで麻痺していた〈グレートエビルカイザー〉が動き出した。

 乱雑に背部へと刺さっていた電磁警棒を引き抜き、そのまま握りつぶす。


「地球人ごときが、ヘルヴァニア人と手を組みワシに歯向かうかァッ!」


 手に再びグレート・ブレードを握った〈グレートエビルカイザー〉が、ハイパージェイカイザーへと巨大な刃を振り下ろす。

 裕太は素早くジェイブレードを構え、フォトンの刃をまとわせてその一撃を受け止めた。


「さっきから地球人だ、ヘルヴァニア人だと言って……お前はカテゴライズだけでしか、人間を見ていないな!」

「若造が生意気を言うかぁっ!!」


 乱雑に振られた横薙ぎの一閃を、屈んで回避する。

 直後に〈グレートエビルカイザー〉の頭部から発射される無数のフォトン結晶弾。

 しかしハイパージェイカイザーは軽快に後方へと飛び退き、その攻撃をすべてかわし切る。


「あたし達は一緒に生きているの! 人種とか生まれとか、そういうの関係なしに!」

「ヘルヴァニア人の小娘が何を言うかぁっ!!」

「人間だけじゃない! 俺たちはジェイカイザーとも、ジュンナとも出会った! そして今、この機体の中で一緒に戦っているんだ!」

『裕太とエリィどの、それに私とジュンナちゃん! そのどれもが欠かすことのできない仲間なんだ!!』

『それは地球という惑星に住まう人々も同じです。すでに、ヘルヴァニア人は地球に欠かすことのできない人々となっています』


「だが、それは歪みでしか無いぃぃ!! 地球が不要な不純物で汚され、社会が歪んでゆくのがわからぬかぁぁぁっ!!」


 〈グレートエビルカイザー〉が、剣の結晶を弾けさせ展開させる。

 それは、ジェイブレードの射撃機構を強化して放つ前動作。

 裕太たちも、ハイパージェイカイザーをダブルフォトンランチャー発射体制へと移行させる。

 

「もう一度言ってやる! お前は地球をニワカ知識で語っているだけだ! 上辺だけのカテゴライズで満足し、個々人を見られないようなやつが地球を理解しただとふざけている!」

「小僧おおぉぉっ!!」


「あたし達は見てきた、感じてきた!」

『人間の強さを、社会の逞しさを!』

『そして、地球という懐の大きい共同体で、私達は生きてきました!』

「お前なんかの手を借りなくても、世の中は良くなっていこうとしているんだ! そこにを挟むな! 見下すなぁぁぁっっ!!!」


「死ねぇぇぃ!! グレート・フォトン・キャノン!!」

『「『「ダブルフォトンランチャー、発射!!!!」』」』


 同時に、3本のフォトンエネルギーの塊が放出され、ぶつかった。

 凄まじい閃光が一帯を包み込み、周囲の木々が衝撃波でなぎ倒され大地が削れていく。

 強大なエネルギー同士のぶつかり合いの果てに、不毛となった大地に立つ巨人がふたつ。

 その片方の胸部が、三度みたび緑色の光を放ち始める。


「とどめだぁっ!! ブレスト・フォトン・ガイザァァァァッ!!!」

「その瞬間を……待っていたんだァァァっ!!」


 背部のバーニアを全開に、エネルギーチャージをする〈グレートエビルカイザー〉へと突進するハイパージェイカイザー。

 そしてその手には、ジェイカイザーが初めてこの世界でキャリーフレームと戦ったときから握っていた武器。


『ジェイ・警・棒!!』


 突進の勢いそのままに、〈グレートエビルカイザー〉の胸部宝石へと、電磁警棒を突き刺す。

 刺さりとしては、警棒自体の長さが短すぎるゆえに浅すぎる刺さり。

 しかし、裕太のやろうとしていることには、十分すぎる深さだった。


「何をする、地球人んんんんっ!?」

「このままウェポンブースターをねじ込んで、エネルギーを暴走させてやる! いくらお前でも、あの破壊力を倍増して内部から放ったら耐えられまい!!」

『このままバーニアを全開。射角を問題ない角度へと無理やり引き上げます』

「裕太! ウェポンブースターに回すエネルギーはバッチリよ!」

「よし! ふんばれジェイカイザー! もう少しだ!」


『ああ……! ……だが、それは私一人でやる!!』

「「ええっ!?」」


 突然のジェイカイザーの発言に驚いていると、気がつけばコックピット内にキラキラと光る粒子が浮遊していた。

 それは、ジェイカイザーの転送や、先の訓馬の脱出に使われたイェンス星の物質・ドアトゥ粒子。


『ご主人さま。実は……この機体のクロノス・フィールド発生装置は、地上でのメタモスとの戦いより始まった度重なる戦闘で故障していたのです』

『この男と共に消えるのは私一人で十分だ。裕太たちが犠牲になる必要は無い!』

「待てよ、待ってくれよ!! 自己犠牲をやるってのか!?」

「そうよ! みんなで帰って、ハッピーエンドをするのよぉ!」

『そのエンドに、私はふさわしくないのだ。地球を危機に陥れた、デフラグ・ストレイジその人である、このは私はな……』

「ジェイカイザー……お前、気づいていたのか!?」


『私という存在は、この世界にとって歪みなのだ。フォトン結晶も、ウェポンブースターも、この世界に混乱をもたらすだけなのだ』

「そんなことはない! 俺たちはお前の力にいっぱい救われてきた!」

「そうよぉ! あなたの力で、何人助けられたと思っているのよぉ!」

『けれども、やはりこの世界にあってはならない存在なのだ! 地球という、その星の力だけで強い文明を築いたこの大地に、外部からのテクノロジーは相応しくない!』

「そんな屁理屈、俺は納得しねえぞ!!」

「ジュンナも、ジェイカイザーに何か言ってよぉ!! 友達を犠牲にしての決着なんて、あたしは嫌ぁ!!」

『……ジェイカイザー。ご主人さまとマスターは、必ずや私がお守りします。あなたの分まで』

『頼んだぞ、ジュンナちゃん』

『跳躍地点、東目芽高校校庭。跳躍……!』

「待てよ、ジェイカ─────!!!」


 裕太の叫びが出切る前に、その姿はコックピットから消えていた。




    ───Hパートへ続く

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