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第42話「宇宙要塞攻略戦」【Hパート 崩された命令】

 【8】


 ジュンナがガトリングの腕を自身の腕へと向け、発射した。

 ちぎれ飛んだ片腕とともに床に落ちる裕太。

 首が開放され、裕太は慌てて深呼吸をしながらジュンナの方へと目をやる。

 彼女の目はもとに戻ってはいたが、腕がちぎれた断面が小さな火花をしきりに放っていた。


「ほう……命令を破ったか」

「ジュンナ、お前……!」

「ご主人様、お許しください。優先順位プロトコル書き換えのために時間を要してしまいました。ああ、言っておきますがご主人様の涙が奇跡を起こしたとかいう訳じゃありませんよ? タイミングが良かっただけです」


 片腕を失いながらも表情を崩さず、それでも彼女なりの精一杯の笑みを裕太へと送るジュンナ。

 そして、背中から無数のケーブルを鬼気迫る勢いで部屋中に伸ばし、壁という壁へと乱雑に突き刺していった。


「始めからこうするべきでした。そうすればご主人様を危険に晒すこともありませんでした」


 メキメキと音を立てて、壁が歪んでいく。

 どういう原理かはわからないが、どうやらジュンナはケーブルで壁を引っ剥がそうとしているようだった。

 壁が崩れ、次々と壁面が剥がれ落ちる。

 そうしているうちに、ちょうどバリアーが発生している辺りの壁の中から、何かの装置が露出した。


「ご主人様、あれを!」

「わかった! くらえ!!」


 裕太は落ち着いて拳銃を構え、装置へと向けて引き金を引いた。

 一発目は外してしまったが、続けて何度も引き金を引く。

 薬莢が床に落ちる金属音が響く中、弾切れになるまで裕太は引き金を引き続けた。


 バァン、という音とともに装置が煙を吹き始めた。

 それに伴い、部屋中央のバリアーが消えていく。


「ネオノア・グー。覚悟……!」

「フハハハ、お前たちは本当に楽しませてくれる! 跳躍!!」


 ジュンナがガトリングを向けると同時に、一瞬のうちに文字通り姿を消すネオノア。

 口ぶりからすると、ドアトゥ粒子を使ってワープをしたようだ。


 一段落してため息をつこうとした裕太に、涙目のエリィが抱きついた。


「どわぁっ!?」

「裕太、裕太!! 本当に無事で良かった……!」

「ああ、心配かけちまったな。けれど、もう大丈夫だ。エリィこそ、無事で良かった」


 二人で抱きしめ合い、互いの無事を確認する。

 しばらくそうしていると、片腕のままのジュンナがコホンとわざとらしい咳払いをした。


「ご主人様、マスターの救出は目的の一つに過ぎません。コロニー・ブラスターの制御を握らないことには作戦は終わりではありませんよ」

「あ、ああ。そうだったな……ジュンナでもコロニー・ブラスターの制御は掌握できないのか?」

「残念ながら、ネオノアのみがアクセスできるみたいです。なのでどうにかして彼を捕まえなければ」

「って言ったってぇ、ワープされちゃったら追えないわよぉ?」

「とにかく要塞は制圧した。内宮とレーナの支援に向かったほうが良いだろう」

「了解です、ご主人様。あ、私の腕を忘れないでくださいね。家に帰ったらくっつけてもらいますので」

「わ、わかったよ……」


 裕太は自身の首を締め上げていた腕を拾い、そのままエリィ達と共に部屋を飛び出した。



 ※ ※ ※



「クッククク……クハハハハ!」

「ネオノア様! お姫様は取られちゃったですか!?」


 コックピットに乗り込みながら、高笑いをするネオノアへと妖精のフリアが問いかける。

 ネオノアは、ただ自分の予想以上の働きをする裕太たちを称賛し、その予想外さを楽しんでいた。


「心配は無用だ、フリア。連中は面白い、実に面白い連中だ!」

「でも、コレを使う事態ってかなりヤバいじゃないです?」

「兵器というものは使わずに置いておくものではないのだよ。それに、活躍の場があったほうが“彼”も喜ぶさ」

「……そうですね! ふぁいとです!」


 ネオノアがスイッチをひねると、コックピット内に明かりが灯っていく。

 そして頭上の隔壁が開き、砂嵐を伴った火星の赤茶けた空が顔を覗かせる。


「光の勇者、笠本裕太……! この〈ブラッド・ノワール〉相手にどれだけ楽しませてくれるかな? フハハハハハッ!!」


 高笑いとともに、ネオノアはペダルを踏み込んだ。

 機体の黒い翼が、空を叩き飛び上がる。


 火星の空に、黒い巨体が昇った。



───────────────────────────────────────


登場マシン紹介No.42

(デルタ)・ヘルヴァ】

全高:18.2メートル

重量:26.5トン


 JIO社製の新型オーバーフレーム。

 ベージュ色の分厚い装甲が特徴であり、脚にあたる部分が存在しないことからわかるように宇宙戦用の機体である。

 元々は宇宙要塞防衛用として開発された「(デルタ)・ジール」という機体だったが、ネオ・ヘルヴァニアにてナンバーズが搭乗するための改造が施された。

 その際にヘルヴァニアから文字を取り、「(デルタ)・ヘルヴァ」へと改名。

 主武装は背部の大型キャリアーから放出される全60機ものガンドローンと、両手の指全てに装備された高出力ビーム砲。

 防衛兵装として両肩から放出され、半自動的に敵の攻撃を防ぐディフェンスドローンが搭載されている。

 大型でかつ、高火力の射撃兵装がメインのためキャリーフレームとの至近戦闘は不得意であるものの、ガンドローンの存在がその弱点を補っている。

 難点としては運用コストの重さもあるが、なによりもこれだけ大量のドローンを制御できるだけの高いExG能力が操縦に不可欠というところである。

 キャリーフレームと比較すると巨大ではあるものの、全身に無数のスラスターと姿勢制御スタビライザーを備え付けられているため、宇宙空間を自由自在に飛び回ることが可能。






 【次回予告】


 エリィを取り返したのもつかの間、姿を眩ませるネオノア。

 彼は秘密兵器、ブラッド・ノワールを起動しレーナや内宮へと襲いかかった。

 圧倒的な力に為す術もない彼女たちの元へ、意外な助っ人が姿を表す。

 それでも、ネオノアは高らかにあざ笑っていた。


 次回、ロボもの世界の人々第43話「血塗られし漆黒」


 ────光が照らすか、闇が覆うか。

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