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第26話「出発! 伝説の宝島へ!」【Bパート 墜落】

「それで、どうしてついてきたんだよ」


 密航者3人+1匹に正座させ、腕組みしながら問い詰める裕太。

 そう彼らに聞きながらも、その答えはある程度予想していた。


「水臭いじゃないか、僕らを置いて行くなんてさ」

「ニュイ~」

「進次郎さんの行くところ、私はどこへでもお供します!」

「ニュイ~」

「銀川はんと二人きりなんて放置しとったら、笠本はんに何するかわかったもんやないしな!」

「ニュニュイ~」

「ええい、そこの動物を黙らせろ」

「ニュがふっ」


 口をふさがれジタバタするネコドルフィンを尻目に、頭を抱える裕太。

 隠れて話を進めていたつもりであったが、詰めが甘かったか。

 その後の聞き取りで、計画がバレた経緯としては内宮の持つ人工ExG能力によってエリィの考えがダダ漏れ状態で受信されていたという。


 戦い以外の部分でExG能力の厄介さに気づいきながら、何度めかの大きなため息をつく。


「おいてめぇら、痴話喧嘩は後でしろい! 今はこの謎重量がどっから来てるか探すのが先だろうが!」

「謎重量? 何のことや?」

「てめえらの誰かが重すぎるせいでこの機体が落ちかけてんだよ!! そこの金属幼女、てめえ体重はいくつだ!」


 怒声混じりの声でカーティスに問いかけられたサツキが、頬をぷくっと膨らます。


「女の子に体重を聞くのは失礼って、進次郎さんが言ってましたよ! それに幼女じゃありません、たしかにまだ生まれて4年ですけど心は少女です!」

「バカなこと言ってる場合か! 死ぬか生きるかの瀬戸際なんだよ!!」

「サツキちゃん、切羽詰まってるみたいだから言ってあげてよ」

「むぅ、進次郎さんが言うなら仕方がないですね。45キロと189グラムです」

「ニュイは4キロにゅい!」


 ネコドルフィンはともかく、意外と普通なサツキの体重。

 それを聞いて同時に首をかしげる裕太とカーティス。

 念の為、進次郎と内宮にも聞いてみる。


「しゃーないなぁ、うちは58キロやで」

『身長から計測した標準体重よりやや重めですね。間食を控えてはどうでしょう?』

「やかましいわ! ほな岸辺はんは何キロや?」

「僕は49キロだが」

『ふむ、内宮どのよりも軽いのだな』

『標準体重よりやや細めですね、ちゃんと食べていますか?』


 ひとり体重を聞くたびに一言コメントを携帯電話から挟むジェイカイザーとジュンナ。

 普段はバラバラなのに、こういうときだけは息があっていることに苦笑いする裕太。


「……笠本はん、このアホAIども、どうにかならへんか?」

「諦めてくれ。それにしても、みんな普通の体重だとしたら……いったい何が重いんだ?」


 確かにカーティスの考えどおり、予想外の荷物──もとい密航者がいたのは事実であった。

 しかし、彼らの体重も荷物の重量も常識の範囲内であり、急激な燃料消費の原因にするにはあまりにも軽すぎた。

 考えを巡らせるうちに操縦席の方から警報が響き始め、魔法騎士マジックナイトエルフィスが声を張り上げる。


「カーティスどの、燃料がもはやわずかしか無い! 高度が下がり始めたぞ!」

「くそっ! 一体何が原因だってんだ!?」

『つかぬことをお聞きさますが、魔法騎士マジックナイトエルフィス様。あなたの総重量はいかほどですか?』


 ジュンナの質問に、この場にいる全員の目線が一斉にエルフィスを捉える


「私か? 私は88クバイキルだが」

「クバイキル?」

「ああ。タズム界の単位だ。たしか1クバイキルがこの世界における9キログラムとかいうのになるらしいな」




「800キロ近くもあんのかよ!! お前が原因じゃねえかぁぁぁぁぁ!!」


 カーティスのツッコミと同時に、ガクンと機体が落ち始めた。

 むしろ今までよく合計1トン近くもある重量を支えていたものだ。


「ぎゃあああ!! 落ちるぅぅぅ!!」

「いやぁぁぁぁ! まだあたしお嫁さんになってないのにぃぃ!!」

「サツキちゃん! なんとかできないのかぁぁ!?」

「安心してください! 皆さんの代わりは私の仲間たちで務めますから!」

「それ安心って言わないよな!?」

「ナンマンダブナンマンダブ……」

「あかん! カーティスはんが白目向いて念仏唱えはじめよった! 仏教徒だったんや!!」

「言ってる場合かぁぁぁぁ!」

「にゅいいいい!!」


 落下する〈ヘリオン〉の中で阿鼻叫喚に包まれる一行。

 近づく海面に叩きつけられる、そう思った瞬間に裕太は反射的に目を閉じた。



 ※ ※ ※



「……あれ?」

「止まってる?」


 誰もが助からないと覚悟していた中、いつまでも着水しないことにそれぞれが我に返り始める。

 裕太が目を開けると窓の外、目の前で赤く光るモノアイが覗き込んでいた。


「進次郎さま~~! あなたの危機を感じて助けに来ましたよ~~!!」


 水面スレスレを飛び、〈ヘリオン〉の機体を両手で抱える〈ブランクエルフィス〉の中から響く声。

 開いたコックピットハッチの中から顔を出したのは、赤く艷やかな髪をツインテールでまとめた少女。

 かつての修学旅行の帰りで世話になった宇宙海賊の一員、レーナだった。



 ……Cパートへ続く

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