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第25話「奇跡のハイパー合体!」【Fパート 唸る究極のパワー】

 【7】


「ハイパージェイカイザーだとっ……!?」


 余裕綽々(しゃくしゃく)だと思っていた光の勇者たちの突然の合体に、戸惑うゴーワン。

 今まで彼が作戦を失敗したとき、いつも予想外の横槍が入っていた。


 今回ばかりは敗北は許されない。

 血走った目でゴーワンは操縦桿である水晶玉に魔力を流し込んだ。


 機械魔獣ラノザールT09の目が怪しく光り輝く。

 下手な家屋なら丸呑みできるほどの大きな口を開き、ゴーワンの流し込んだ魔力が黒い渦を描きながら、鋭い牙の間で内部で激しくスパークする。


「グハハハ!! 死ねい、絶滅魔獣砲デッドリーブラスト!」


 機械魔獣の口から放たれた赤黒い光線が一瞬でハイパージェイカイザーを飲み込んだ。

 余波を受けた周囲のビルですら表面のコンクリートを融解させ、窓枠などの脆い物質に至っては蒸発するエネルギー波。

 熱で巻き上げられた粉塵があたりを包み込み、モヤで視界が奪われる。


「ハァ……ハァ……この至近距離で絶滅魔獣砲デッドリーブラストを浴びれば、さしもの勇者もひとたまりも……なにっ!?」


 ゴーワンが驚愕の声を漏らしたのは、モヤの中から放たれた緑色に輝く光の拳が、機械魔獣の顎を貫くのと同時だった。



 ※ ※ ※



「い、今のは……!?」


 とっさに出した技があの大怪獣をふっ飛ばし、仰向けに倒れる光景を見ながら裕太は目を見開いた。


『ご主人様とマスターに一応解説します。2機の連結されたフォトンドライブで増幅されたフォトンエネルギーを拳に蒸着。形状を維持したまま打ち出す技でございます』

『あえて名付けるなら、フォトンナックルといったところだな!』


 ジュンナが冷静な声で解説する中、画面上でドヤ顔を晒すジェイカイザー。

 この一瞬で起こった出来事を鑑みると、彼がここまで得意気なのも納得できてしまう。


 怪獣の口から光線が吐き出される刹那、ハイパージェイカイザーが胸部のコックピット部を守るように腕をクロス。

 すると腕が交差した部分からフォトンエネルギーによるバリアーのような障壁が形成され、完全に光線を防ぎきったのだ。


 ジェイカイザー曰く『フォトンフィールド』である。


「笠本くん、怪獣が起き上がるわよぉ!」

「させるか! ウェポンブースター、起動!」


 手慣れた手付きでコンソールを叩く裕太。

 ハイパージェイカイザーの両腕が展開し、フォトンの水晶が溢れんばかりに広がってゆく。


 操縦レバーを握りしめ、両手で一本づつジェイブレードを抜く。

 二本の剣の柄を重ね合わせ、接続。

 薙刀めいた形状となった武器の上下から、フォトンで形作られた巨大な刃が出現した。


 見たことのないエネルギーの量に感嘆しながら、裕太はペダルをこれでもかと踏み抜く。

 跳躍するハイパージェイカイザー。

 振り下ろされる巨大な剣。


「必!」

「殺!」


「ダブルジェイブレード!!」

「ハイパーフォトン斬りよぉ!」

『二刀両斬剣!!』

『どっこいしょ』


 気が抜けるジュンナの掛け声を最後にしながら、輝く刀身が怪獣を頭から両断する。

 断面を激しくスパークさせながら左右に切り分けられた巨体が離れ、全身を包み込む大爆発の中にその姿が消えた。


「よっしゃ、決まったぜ!!」

「やったぁー!」

『まだだ、裕太! 何かが出たぞ!』


 ジェイカイザーの声を聞き、爆煙の中に目を凝らす。

 怪獣の残骸から飛び立つ一回り小さな巨体。

 それは紛れもなく、かつてあのゴーワンが乗っていた魔術巨神マギデウスだった。


 これまでのこと、そしてこれほどの破壊をもたらした奴を、裕太は逃がすわけにはいかなかった。


「ジェイブレード、ランチャーモード起動!!」


 力いっぱい叫び、レバーを倒す裕太。

 ハイパージェイカイザーの手に持った双剣が分離し、形を変えて二丁拳銃のごとく両手に握られる。


「笠本くん! 照準補正はあたしが!」

「頼むぞ銀川! エネルギーチャージ……来たっ!」


 ふたつの発射口が輝く中、空を飛び戦場を離れていくゴーワンの機体へとその銃身が向けられる。

 裕太は目の前のコンソールに映し出された数字が溜まっていくのに目を凝らし、そしてフルパワーの表示が現れたと同時に。


「ダブルフォトンキャノン、発射!!」


 溢れんばかりの眩い閃光が、空に向かって放たれた。

 的確に捉えた照準のとおりに走る極太のエネルギー塊。

 しかしその光線は、目標に当たる前にその軌道が逸れ、目標の右側の羽と腕を消し飛ばすのみとなってしまった。

 落下するゴーワンを見据えながら、ぐらりと傾くハイパージェイカイザー。


『ぐおおおっ!?』

「どうした、ジェイカイザー!?」

『ご主人様、両腕の肘関節部が許容量オーバーです。発射の反動を支えられません』

「笠本くん、ストップ! ストップ!!」


 エリィの声で反射的にエネルギー供給を強制停止させる裕太。

 後方に倒れかかった巨体が、オートバランサーの働きで足が勝手に動き、踏みとどまる。

 しかし、関節部から火花を放ちながら、糸の切れた人形のようにだらりと腕が垂れた。


「合体の初陣は、辛勝ってところか」

「ううん、圧勝よぉ!」


 後ろからエリィに抱きつかれながら、上空を飛ぶ自衛隊の哨戒機を見上げ、安堵のため息をゆっくりと吐く裕太だった。



  …………Gパートへ続く

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