第24話「新世代」【Eパート 救出作戦】
【7】
裕太の乗るジェイカイザー、グレイの乗る〈ハクローベル〉が並び立つ。
目の前の〈エルフィスGD〉の赤いカメラアイが、沸き立つように輝いた。
「ジェイカイザーは……うちが倒さなアカンのやぁぁっ!!」
内宮の叫びとともに〈エルフィスGD〉が前方へとスラスターを噴射。
後方へと飛び退くと同時にガンドローンが数機、裕太たちへと放たれた。
ビームを発射すべくその銃口が光り輝く前に、裕太はジェイカイザーにショックライフルを引き抜かせ、早打ちが如く引き金を引く。
ジェイカイザーも気合が入っているのか、寸分の狂いなく吸い込まれるように光弾がガンドローンにぶつかり、弾けた。
「うちが、倒すんやぁぁぁっ!!」
悲痛な叫びを連れ、抜き身のビームセイバーを片手に急接近する〈エルフィスGD〉。
裕太も咄嗟にビームセイバーを握らせ、振り下ろされる光の刃を受け止める。
押されつつ後方へ流されていると、再び〈エルフィスGD〉からガンドローンが放たれるのが見えた。
剣戟を演じながらガンドローンに狙われては、流石の裕太も回避は難しい。
しかし、今の裕太には心強い味方がいる。
次々と〈ハクローベル〉から放たれる光弾が的確にガンドローンを撃ち抜き、ひとつずつその機能を停止させていく。
「笠本裕太、ガンドローンは俺が対処する! 貴様はそいつを抑えるのに集中しろ!」
「わかった! だが……どうすれば内宮を救えるんだ!?」
「知らん! 精神制御を受けているのはわかっているが解決策までは聞いていない!」
「ええっ!? ぐっ!?」
鍔迫り合いの中で〈エルフィスGD〉に蹴りを放たれ、ジェイカイザーの姿勢が崩される。
その一瞬の隙を突くべく横薙ぎの刃が裕太の乗るコックピットを的確に捉えるが、前方へとスラスターを噴射し後方へと飛び退くことで難を逃れる。
「こんなこと続けてちゃキリが無いぞ!」
『裕太! 私に妙案があるぞ!』
「何だジェイカイザー!」
『いやなに、ウェポンブースターに使っているフォトン結晶があるだろう。あれはエネルギーを増幅し伝える物質だ!』
「で!? それが何だよ!?」
『言葉や想いというのも一種のエネルギーではないか? 直接内宮どのにぶつければ精神制御とやらを脱せられるやもしれぬ!』
「んな適当な!? っと!!」
〈エルフィスGD〉の手に持つビームライフルから放たれた光を、ビームセイバーの刃で反射的に打ち返す。
再びビームセイバーで斬りかかろうとする〈エルフィスGD〉だが、横合いから〈ハクローベル〉のタックルを受け、よろめきつつも空中でバーニアを細かく吹かして踏みとどまった。
『なにも思い付きやハッタリでは無いぞ! エリィどのが言っていたではないか! ガンドローンは精神波とやらをエネルギーにすると!』
「ダメで元々……やってみるしかねえってか!」
裕太は〈ハクローベル〉と一進一退の攻防をする〈エルフィスGD〉を真っ直ぐに見据える。
半ば自棄っぱちな方法だが、手段を選んでいる余裕はない。
手元のコンソールを操作し、ウェポンブースターを起動させる。
「グレイ、そいつの動きを一瞬封じてくれ!」
「貴様に指示されるのは癪だが、これでどうだ!」
ビームセイバーで切り裂こうと踏み込んだ〈エルフィスGD〉に、回避と同時に足払いを掛ける〈ハクローベル〉。
崩れたバランスを直そうと〈エルフィスGD〉が空中で一瞬動きを止めたその刹那、上から押さえつけるように〈ハクローベル〉が頭部を掴み体重をかけることで膝をつかせた。
「何の策かは知らないが……やれ、笠本裕太!!」
「恩に着るぜグレイ! 行くぞ、ウェポンブースター!!」
ジェイカイザーの腕から輝く緑の結晶を溢れさせながら、〈エルフィスGD〉へと突進する。
身動きを封じられた〈エルフィスGD〉のコックピットを包むように、ジェイカイザーの腕がハッチを掴んだ。
「頼む……これで止まってくれ! 内宮!」
光り輝くフォトン結晶が伸び、〈エルフィスGD〉へと入り込む。
裕太は心の中で内宮へと必死に呼びかけた。
止まってくれ、もうやめてくれ、と。
「かさもと、はん……」
内宮に想いが通じた──と思ったその瞬間。
「笠本はんは、うちが倒すんやぁぁぁっ!!」
結晶が砕け、〈エルフィスGD〉がジェイカイザーと〈ハクローベル〉を跳ね除け立ち上がった。
「すごい執念だな……。おい、笠本裕太。お前あいつに何かしたのか?」
「何もしてねぇよ!」
裕太たちは一度距離を取り、体勢を立て直した。
────Fパートへ続く