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第19話「異世界からの刺客 赤竜丸」【Bパート 借金の額】

 【2】


「いち、じゅう、ひゃく、せん…………やっぱり億あるよなぁ……」


 ホームルームが始まる前の賑やかな教室の中で、裕太は憂鬱を表に出したような声を出しながら机に突っ伏した。

 額の下にある借金額が刻まれた手帳がその憂鬱の原因であることは、彼が借金を背負ったことを知る人物なら容易に想像ができる。


 母の仇討ちを果たすために払った、約5億円という大きすぎる代償。

 それがジェイカイザーのパワーアップ費用と今後の修理・補給費用であり、事情故に利子がつかないのは幸いだった。


『すまない裕太。今度出る「メチャシコ学園ポロリ満点」を買うのは我慢するから……』

「タイトルを読み上げんでよろしい。……というか、そうやってお前が俺に断りなくエロゲとエロ同人を買い漁るから余計に生活費がかかるんだよ。ジュンナにコールタール飲むのも控えさせないと……」


 つけ慣れない家計簿をアプリで入力しつつ、頭を抱える裕太。

 せめて支出をはっきりさせ、節制につとめなければという焼き付け刃の方法であるが、こうでもしなければ借金の重圧で頭がどうにかなりそうだった。


「せめて、事件を立て続けに解決できたら良いのにねぇ」


 裕太の後ろの席から、家計簿を覗き込むように身を乗り出すエリィ。

 事件が起こってくれと願うなんて不謹慎だとは思いつつも、「それもそうだよな」と彼女の考えを支持する返答が自然と出てしまう。


 民間防衛の報酬は事件の質にもよるが、一回につき数万円から数十万円までと、結構な額となる。

 そこから機体の運用費、解決の過程で壊してしまった道路や家屋の弁償費、それから諸々の税金を抜いて残った額が手元に入る。

 もしも2日に一度のペースで愛国社のテロ並の事件が起き、それをすべて解決すれば一ヶ月で500万円。

 それが一年で6000万。5億円の返済に8年ちょっと……。


 さすがに8年も借金生活は嫌だな、と裕太は都合が良すぎる割に長期的な机上論を頭から投げ捨てた。

 これなら一攫千金を狙って宝探しにでも出た方が幾分かマシである。


 幸い、太陽系内の調査は隅々まで行き渡っているわけではなく、宇宙は未だに未探索地帯が多い。

 その中から希少鉱石──ダイヤモンドあるいはそれを上回る価値を持つ宇宙物質──の鉱床こうしょうとなっている小惑星のひとつでも発見すれば、たちまち何百億、何千億という資産を持つ大金持ちの誕生となる。


 事件の解決は今まで通りしながら、そのうち宝探しに出かけよう。

 と裕太が口元に笑みを浮かべてひとりで頷くと、こちらの考えをわかっているのかいないのか定かではないが、エリィが釣られるようにニコッと笑顔を見せた。



    ───Cパートへ続く

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