第16話「ライバル登場 鮮血の埠頭!」【Gパート 母への誓い】
【7】
その後、傷が痛みだした裕太は再びパトカーに乗せられ病院へととんぼ返りした。
待合室で待っていたエリィの肩を借り、病室に戻るために廊下を進む裕太。
「ジェイカイザー、どうだったの?」
「修理してもらえることになった。何週間もかかるらしいけど」
「そう、よかった。じゃあ笠本くんもジェイカイザーが直るまでにケガを治さないとね!」
「そうだな、あっ……」
通りがかった廊下の風景に見覚えがあった裕太は、咄嗟に壁にかかっているネームプレートに目を向けた。
そこに刻まれている「笠本由美江」の文字を見て、裕太はこの病院が、母親が入院している病院であることを思い出した。
エリィを呼び止め、裕太はそっとその部屋の扉を開けた。
ピッピッピ、と心電図を刻む音だけが響き渡る静かな部屋で、生命維持装置に繋がれたままベッドに横たわり母の姿。
「この人が、笠本くんのお母さん……」
「5年前、母さんは大田原さんと共に〈クロドーベル〉で〈ナイトメア〉を取り押さえに行ったんだ。その戦いで、母さんの乗っていた〈クロドーベル〉は〈ナイトメア〉と刺し違えるようにコックピットに直撃を受けてしまった。〈ナイトメア〉は大田原さんが取り押さえたんだが、母さんはその時の傷が原因なのか、ずっと目を覚まさないままなんだ」
眠り続ける母の顔を見て、裕太は拳をギュッと握りしめる。
去り際に、〈ナイトメア〉のパイロット・グレイは決着を着けると言っていた。
それは、向こうが再戦を望んでいるということ、こちらにもチャンスが有るということ。
「俺は必ず、あの〈ナイトメア〉にリベンジをする。照瀬さんとジェイカイザー、そして母さんの仇を絶対に取る。これ以上、俺の大切なものを奪われないために……!」
静かに、低い声で裕太がそう言うと、エリィはそっと寄り添い優しく言葉をかけた。
「あたしは笠本くんを止めないわ。あたしだって笠本くんがコレ以上、悲しい思いをするのは耐えられないから……。だから、そのときに備えてケガを治しましょ。ね?」
「ああ、そうだな……!」
エリィの言葉に裕太は微笑みを返し、ふたりで母の病室を後にした。
……続く
─────────────────────────────────────────────────
登場マシン紹介No.16
【ウィングネオ】
全高:8.8メートル
重量:7.1トン
七菱製の可変軍用キャリーフレーム。
ウィングの軍務利用の多さを受けて作られた、戦闘用に再設計されたウィングの改良型。
高機動戦闘に耐えうる高性能の火器管制と無重力下でも問題なく飛行可能な重力制御装置を搭載している。
緑がかった黄色の装甲色が特徴。
基本武装は単発式のレールライフルとビームセイバー。
オプション装備としてビームライフルも存在する。
【次回予告】
ジェイカイザーの改造中、しばし機体無しで過ごす裕太。
そんな彼らの前に現れた犯罪者のキャリーフレームを、一人のアメリカ人が討ち倒す。
彼は味方か、はたまた赤の他人か。
次回、ロボもの世界の人々第17話「アメリカから来た男」
「さあてもう抵抗できねえぞ強盗野郎! ……おっ、ちょうど警察の連中も来たみたいだな」
「容疑者発見! よし、確保ーっ!」
「「「おおーっ!」」」
「ちょ、待て! なんで俺に来るんだ! ぐわーっ!」