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第15話「裕太のいない日」【Gパート 内宮とグレイ】

 【9】


 メビウス電子の隠れドックに〈ウィングネオ〉を着陸させた内宮は、そこで待っていたキーザから叱責を受けていた。


「ジェイカイザーといかいうマシーンの戦闘データを収集しろと言ったのに、手助けをするとはどういうことだ!」

「せやから何度も言うてるように、今日はパイロットが笠本はんやなかったんや。そのまま、どこの馬の骨ともしれん悪党にジェイカイザーがやられても訓馬はんが怒るやろ」

「それはそうかもしれないが、だからといってだな……」


「フン、くだらん」


 壁に寄りかかっていたグレイが低い声で吐き捨てた。

 内宮は見下すようなグレイの態度が気に入らず、グレイに食って掛かる。


「なんやグレイはん。うちに文句あるんか!」

「勘違いするな、お前じゃない。病気で寝込んだ挙句、女に代役を任せる笠本裕太に呆れているだけだ」

「そら、人間やから風邪くらいひくやろうし、銀川はんに代役させとるんはちごて、あいつが勝手に乗り込んだだけやろ」

「……やけに笠本裕太の肩を持つのだな、内宮千秋」

「なっ……!」


 自分でも気にしていることをグレイに指摘され、内宮は言葉を失った。

 裕太を庇いたいわけではない。

 ただ内宮は、友人でもあり何度も戦った裕太を悪く言われることに、なぜか抵抗を覚えているだけ。

 そう自分に言い聞かせていた。

 いつか必ず裕太とジェイカイザーにリベンジするから、と。


 グレイは黙り込む内宮を一瞥し、顔をキーザの方に向けた。


「次は俺が出る。必ずや〈ナイトメア〉の力で笠本裕太を血祭りにあげて見せよう」

「あ、ああ……三輪社長も期待していたぞ」

「あの男のためではない、俺の為だ。母の死も父の死も、俺が空腹を強いられるのもポストが赤いのもすべて……すべて、笠本裕太の存在の為だ!! だから、俺は奴を倒し、その息の根を止めてやる!」


「いや、ポストはどうでもええやろ……」


 静かにツッコミを入れる内宮の耳に、グゥ~という腹の虫が響き渡る。

 内宮はこぶしを震わせ、今までずっと言いたいことを率直に言った。


「あのなグレイはん! いつもいつもグーグー腹がうるさいんじゃボケェ! 予め食うとくとかせんかこのダボ!」

「わかってないな。この空腹こそ笠本裕太への恨みを忘れんための俺のかせだ。この音が鳴るたびに俺は奴への怒りを……!」

「……重症やな、こいつは」


 再び鳴り響く腹の虫には、さすがの内宮もこれ以上ツッコむ気は起きなかった。


─────────────────────────────────────────────────

登場マシン紹介No.15

【エレファン】

全高:8.8メートル

重量:10.2トン


 七菱製の土木作業用キャリーフレーム。

 キャリーフレームの中ではトップクラスの大型機であり、油圧シリンダーで動くパワフルな腕パーツが特徴。

 人で言う「手」にあたる部分は用途により付け替えることが可能で、ショベルカーのような掘削パーツやドリル、破砕用の鉄球などバリエーションは豊か。

 搭乗者を守るため、ボディは重装甲で覆われているが、メインセンサーが頭部のモノアイのみなので視界は悪い。

 【次回予告】


 グレイなる人物から果たし状を受け取った裕太。

 指定した場所に向かうと、そこに待っていたのは因縁の機体だった。

 互いに互いを仇とみなす二人がいま、埠頭でぶつかり合う。


 次回、ロボもの世界の人々第16話「ライバル登場 鮮血の埠頭!」


「ほんっっっっとに(グゥ~)待ったんだからな!! 34時間と16分と23秒も(グゥ~)ずっとここで(グゥ~)待っていたんだぞ!」

「すぐ行かなかったのは謝るが、一日たった時点で帰れよ!! っていうか秒単位で数えんな!」

「やはり貴様は(グゥ~)生かしておけん! 勝負だ、笠本裕太!」

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