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勇者系ロボットが目覚めたら、敵はとっくに滅んでた ~ロボもの世界の人々~  作者: コーキー
第一章「覚醒! その名はジェイカイザー!」
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第2話「教習! クロドーベル!」【Eパート ふたりの初陣】

 【5】


 大田原に案内され、裕太とエリィ警察署の裏手にやってきた裕太とエリィ。

 大型ショッピングモールの駐車場のような広大な空き地の端に格納庫のような倉庫がいくつか建っており、その中には数機の〈クロドーベル〉が直立していた。


『裕太、あそこを見ろ!』

「あそこって、どこだよ……あっ」


 あたりを見回し、裕太はジェイカイザーが言いたいことを理解する。

 空き地の一角に、なんとジェイカイザーの本体が立っていたのだ。


「な、なんでジェイカイザーがここに!?」

「こいつはチトかさばる大きさだからな。ここで調査をさせていた」

「調査?」


 エリィが首をかしげていると、ジェイカイザーの本体の方から作業着を着た太めの男が大田原に向かって走ってき、書類を手渡した。


「隊長、これが報告書です」

「おお、トマス。ご苦労」


 トマスと呼ばれた男は大田原に軽く敬礼をし、クロドーベルの立っている倉庫の一角へと走り去る。


「調査って、てっきりバラバラにでもしてたのかと思ったけど……」


 そう呟くエリィの横で、手渡された報告書をペラペラとめくる大田原。


「報告書によれば、こいつは1万馬力のパワーと分厚く頑強な装甲、頭部のバルカン砲を始めとした各種特殊兵装。並びに飛行可能なバーニアと反重力装置。そしてアストロ並の器用なマニュピレーターを持っているようだな」

「へぇ、1万か」


 書類に書かれている内容を横で聞き、ジェイカイザーの馬力に裕太は軽く関心をした。


『どうだ、すごいだろう!』

「ヒーローみたいな見かけして1万馬力ねぇ……」


 胸を張ったかのような声を上げるジェイカイザーに冷や水をかけるかのように、裕太とは真反対の反応をしながらエリィが言う。


『すごいのではないのか!?』

「今や民間で使われてる建設用キャリーフレーム、例えばJIO(ジェイアイオー)社製の〈ハイアーム〉だって1万2000馬力はあるのよ。軍用どころか建設用と比べても型落ちよぉ」

『な、なんだってー!? この私が型落ち……だと……っ!?』

「こいつにはよくわからん動力もあるし、パワー不足の原因の大半はパーツの古さだ。まあそう気落ちするな。ゴホゴホッ……」


 姿が見えていれば、がっくりを肩を落としていたであろうことが容易に想像できるほど声のトーンが落ちたジェイカイザーの声を聞いて、大田原は軽く笑いながらフォローを入れた。



 ※ ※ ※



 裕太達は大田原についていく形でジェイカイザーの本体の足元まで歩み寄った。

 携帯電話の中のジェイカイザーが近づいたからか、空っぽのジェイカイザーの本体が自動的にかがみ込み、コックピットハッチを開く。


「それでぇ、試験って何をするのぉ?」

「まあそう急くな。ボウズ、そのジェイカイザーってのに乗りな。操縦はできるだろう?」


 大田原にそう聞かれ、黙って頷く裕太。

 そのままジェイカイザーのもとへと歩み寄り、コックピットへと乗り込む。

 暗いままの操縦席の正面のモニターの横に携帯電話を置くと、ピロピロというチープな機械音を鳴らしながら携帯電話の画面からジェイカイザーの顔アイコンが消えた。

 そして操作盤コンソールを操作すると、コックピットハッチが持ち上がるように閉じていく。

 と同時にコックピット内のモニターが次々と点灯し、動力炉が動き始めたのか機体が小刻みに震えだした。


『よし、起動完了だ!』

「ったく、便利なシステムだな。大田原さん、乗りましたよ!」


 裕太がジェイカイザーを直立状態にしてモニター越しに報告すると、大田原はにやりと口端を上げ、右手を上にあげ、下へ倒した。


「よし、じゃあ試験開始だ。富永! かかれ!」

「はいであります!」


 富永の声が聞こえたかと思うと、ジェイカイザーの左前方から突然〈クロドーベル〉が走り寄り、タックルを仕掛けてきた。


「かかれって……うごっ!?」


 半ば不意打ちのようなタックル攻撃をジェイカイザーはまともに喰らい、大きくバランスを崩す。

 しかし、自動的にジェイカイザーの片足が踏ん張るように後ろへと曲がり、なんとか転倒することはまぬがれた。


「っと……優秀なオートバランサーだこと……」


 裕太はジェイカイザーの姿勢を立て直し、富永の操縦する〈クロドーベル〉へと向き直る。

 拡声器越しに、大田原の声が聞こえてきた。


「ボウズ、試験の内容は格闘戦のみで富永と照瀬に勝つことだ! ちなみにバーニアの燃料は抜いてるから飛行は禁止な!」

「ちょっとぉ! 笠本くんはちょっと操縦は出来てもただの高校生なのよぉ! プロのパイロットと戦うなんて無理よぉ!」

「無理なんかじゃないさ、あいつの腕ならな」

「え?」


 薄笑いを浮かべながら自信たっぷりに言い放つ大田原に、エリィは不思議そうな表情をして、裕太の戦いを見届け始めた。



    ───Fパートへ続く

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