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はじまり


「あー眠い。」


少年はベッドに寝転がりながら言った。

眠いとはいうが、これは口癖みたいなもので、本当に眠いわけじゃない。

どちらかと言えば気怠いという方が適切だ。

今日は特に何をしたという事もないのだが。

おっと、ここも訂正。

ずっと、特に何をしたという事もない。

春休みに入ってからというもの、殆ど外へ出ていないし。

別に友達がいないわけじゃない。

ただ、遊ぶ約束が来ないだけだ。

みんな、部活で忙しいのだろう。


「はぁ、もうすぐ新学期か。」


あと数日経てば、再び高校生活が始まる。

実に嫌だ。

何故、集団生活などしなければならない。

単独で行動しているだけで、何故避けられなければならない。

何故……いや、考えたらきりがない。

やめよう。


「ああ、もう1時?親はもう寝たかな。」


一階からは何も聞こえてこない。

十中八九、親は就寝しただろう。

共働きだから、疲れていてすぐ二人とも寝てしまう。

一時まで起きている方が本当はおかしいのかもしれないが。


「いや、でも何か音がするな。誰か起きてんのか?」


妹だろうか。

だが、奴はまだ小六。

今年からは中一だが、まだまだ子どもである。

夜遅くまで起きてはいないだろう。


「ん?……」


何となく、窓の外を覗いてみただけだった。

だが、そこに音の根源がいた。

コツコツと可愛らしくガラスを叩いている。


「スズメ…だな。」


そう、恐らくスズメ。

窓の外の縁に乗って、キツツキの様に音を立てていた。

どうして、こんなところにいるのだろう。

翼が濡れてしまったのだろうか。

けれど、今日は雨じゃない。


「ふぅ。」


考えてて仕方ないので、俺は窓を開ける。

外の新鮮な空気が室内に流れ込む。

そして、俺は手をスズメに差し出す。

すると、コイツ手乗りなんじゃないかというほど、スムーズに言うことを聞いた。

見たところ、翼は濡れていないし目立った外傷もない。

スズメの事はよくわからないが、特別痩せている様にも見えない。

健康そのものなのではないだろうか。


「まじでスズメだな。鳥だけにツウィッターに投稿しようかな…」


「お前、どうしたんだ?親とでもはぐれたか?」


寒いので、俺は窓を閉める。

ひとまず、この子には何をすればよいだろうか。

餌でもあげればよいのだろうか。

だが、鳥の餌なんて当然持っていない。


「ところで、お前、何食べんの?」


適当にスズメに声をかけてみるが、当然返事はない。

何か鳥って乾燥している物食べるイメージがあるし、胡麻でもあげてみようか。

少し勇気がいる作業だが。


「はぁ…じゃあ俺なんかタオルとか持ってくるから、ちょっとまってて。」


少年はスズメを机の上に移動させる。

それから、一階の洗面場まで行きタオルをとる。

ついでに胡麻とか食べれそうな物も。

一階は物静かで、誰もいない様だった。

少し怖いが、昔からの事なので、今では耐性がついてきている。

それにしても、あのスズメは何のためにここまで来たのだろうか。

本当にそれが謎だ。

何だか、急にスズメの安否が気になって来たので急いで部屋まで戻る。

机の上の物で怪我されたら厄介だ。


「よーし、戻ったぞ。スズ…


少年は唐突過ぎる出来事に、思わず言葉を奪われる。


「久しぶりです。大輝くん。」


「は?」




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