表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

『三題噺』シリーズ

『三題噺』 その二

作者: ふみわ

女の子の男喋りが難しいです。

お題『門/ベーグルパン/残業』


 ここは地獄へ通じる門。

 私はそこで双子の弟と門番を勤める鬼──なのだが・・・・・・。


「あのバカはどこいったんだ? 大切なお勤めを放り出して」


 弟は私と違い、仕事に誇りや責任感を持ち合わせていないようで、いつもフラフラしている。

 今は恐らく、下界にいるのだろう。

 ここ数十年で地上の食べ物が格段に美味しくなったと言っていたから。


「ねぇちゃーん。ただいま」


 そうこうしてると、弟が帰ってきた。

 鬼の角は上手く隠しているが、出で立ちは着流しに草履。

 下界に行く時はもうそれじゃ目立つと行ってるのに。この弟は現代風の服は肌に合わないと、頑なに自分の服装を変えようとしない。


「こら! お前はまたサボって! いい加減門番としての自覚を──むぐっ!」


 説教を使用としたら、急に口に柔らかくて、なんかモチモチしたものを突っ込まれた。

 甘くてほんのり苦味のあるそれは、輪の形をしている。

 一瞬、弟が以前買ってきたドーナツというものかと思ったが、それよりは太くて、食感も違う。


「もぐもぐ」

「美味しい?」

「美味しいけど、これ何?」


 気になって訊ねると、弟はコンビニ袋からもうひとつ同じものを出した。


「ベーグルパンっていうんだって。コンビニで見つけて、美味しそうだから、買っちゃった。チーズとかレーズンとか色々あるけど、このチョコのが一番美味しいんだ」

「へぇー。って、そうじゃなくて! あのねぇ、別に下界に行くのはいいんだ! 今時誰でもいってるからね! 問題は勤務時間に行くことなんだよ!」

「いいじゃん。本能のままに生きてこその鬼じゃーん!」


 どこまでも我が道を行く弟だった。


「良くない! おかげで私一人でこの門回さなきゃならないんだぞ! 地獄行きの魂なんて、割りと多いんだから!」

「じゃあ、今日も残業だねぇ。やだなぁ」

「お前が言うな────!!!」


 ここは地獄の門。

 双子の姉弟鬼が番人をしている。

 仕事が遅いことで定評のあるここは、今日もかしましい。

門で思わず鬼門を思い浮かべた結果、鬼の話になりました。でも、需要ない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ