発見
「やっと着いた……」
タンカーほどの大きな船でその船よりも一回り小さい島に着いた、というよりは乗り上げた、という表現が正しいのだが、そんな事は気にせずに船首から一人のフードを被った人物がその島に降り立った。
「あまり期待しないでおこうかな、あったらいいんだけど。」
その人物は淡い期待を抱いて、島の草原を歩いていく――――。
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「揺れてる?……揺れてるな地震だ。珍しいな。」
揺れを素早く察知した彼は、中腰になり本棚を倒れないように支える。
しかし、彼がそう考えるのも仕方なく、確かにこの世界では地震なんて滅多に起きたことがなかった。
「大分前に凄い揺れはあったけど…あれは確か魔王と勇者がうんたらかんたらしたんだよね、うん」
少し酔ったかも、等と言いながら彼は外に出る。外の空気を吸えば少しはましになると思ったからか、その足取りはいつもより速かった。
そのままドアを押して開こうとすると、そのドアは何かに引っかかり途中で開くのをやめてしまった。
開くのを前提として考えていた彼は頬を軽く打ってしまう。
「なんだよ!!また壊れたの?木とか取りに行くの面倒臭いんだよね〜人沢山いるし。」
びっくりして声が大きくなったものの、そのままぶつくさと文句を言いながら体を半身にしてドアに体を擦りながら外に出る。
「んんぅ!!あ"ぁ!!……スッキリした〜。」
家から数歩あるき、体を後ろに反らしながら目一杯伸ばし、体を再起動させる。目のふちに少し涙が溜まり、それを指で擦りながら辺りを見回す。
珍しく地震が起きたので、気分的にそれをしないと落ち着かないのだろう。
一回り遠くを見て満足そうに頷く。
「異常なぁぁし。さて、もう少し寝ようか?……な?」
振り返った所でフードを被った人物が、自分の家のドアにつっかえている所を見つけ、彼は首を傾げてしまった―――。