プロローグ
※どもども~
ポンタローです~
新作行きます~
もう完結しているので週3で更新していきます~
ちなみにこの作品は、ピクシブさんの方にも載せさせていただいております~
よろしくです~
ではでは~
プロローグ
「お迎えにあがりました」
「はい?」
五月の半ば、学校の帰り道、校門を出たところで、僕はいきなり見知らぬ女性に声をかけられた。
パリッとしたビジネススーツにお洒落な眼鏡をかけた、秘書を思わせるその女性は、かけていた眼鏡をツイと持ち上げる。
「お迎えにあがりました」
僕は辺りをキョロキョロと見回した。しかし、周囲には誰もいない。
「えと、僕ですか?」
「はい」
女性は短く即答する。
「あの、人違いじゃないですか? 僕達、初対面ですよね?」
「そうですね」
女性はやはり短く即答する。
「確かに私達は初対面です。ですが、私はあなたのことをよく存じ上げております。その男には見えない華奢な体躯と、どう見ても美少女にしか見えない童顔。あなたが富持スケベ様ですね?」
「助平です! 助平! 名字はいいけど名前が違う!」
僕は思わず叫んでいた。小さい頃から、この名前のせいでさんざんからかわれてきた思い出が蘇る。
女性は、またツイと眼鏡を持ち上げた。
「……失礼。渡された書類のフリガナがスケベだったので、つい間違えてしまいました」
どこのどいつでしょう? そんな失礼なフリガナふった奴は。
と聞きたかったが、これ以上関わりたくないので言葉を飲み込む。
「じゃ、僕はこれで……」
とりあえず、そう言って帰ろうとする僕の前に、女性が壁となって立ち塞がった。
「お待ちください。文脈がおかしいです。この話の流れから、『じゃ、僕はこれで……』ということにはなりません」
チェ、勢いに任せてとんずらしようと思ったのに。
「……分かりましたよ。で、僕に何の御用ですか?」
「ですから、お迎えにあがりました。スケベ様」
「しれっと名前間違えるのやめてもらえませんかね。でも、お迎えって……。何でまた?」
「ある方が、あなたにお会いしたいそうです」
「誰ですか? そのある方って?」
女性が、艶やかな唇に人差し指を当てる。
「秘密です」
「じゃ、嫌です」
そう言って、僕は、強引に女性の横を抜けて帰ろうとする。
しかし、女性は瞬間移動でもしたかのように、あっという間に僕の前方に回りこんだ。
「お待ちください。大人しく付いてきていただかないと、私が困ります」
「そんなの僕の知ったことじゃないですよ。大体、会いたいのに名前も名乗らないなんて失礼じゃないですか」
「……確かに。しかし、それにはちゃんとした理由があります」
「理由?」
「はい。そのある方というのは、私の雇い主なのですが、彼が言うには、名前を明かせば、あなたは絶対に自分には会いたがらないと思っているようです」
「じゃ、やっぱり嫌です」
「どうしてもですか?」
「どうしてもです」
女性がこれ見よがしにため息を吐いた。
「……仕方ありません。では、実力行使ということで」
そう言って、女性が一本の注射器を取り出す。
そして次の瞬間、僕の意識は闇に呑まれた。