表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/11

紅魔館奪還作戦【前】

お久しぶりでございます。

ネタが沸いて出たので書きました。ハイ。


それではお楽しみください。

「ぎにゃああああああああああああ!!」


響き渡る悲鳴。


「ちょ、こっちくんなレミリアーーー!!」


「おおおお嬢様、一瞬!一瞬でいいですから止まってくれませんでしょうか!?」


「知るかああああああ!!てか咲夜、あんたは時止めればいいでしょうがあああ!!」


「はっそうでしたわ!」


「「忘れてんじゃねぇ!!」」


轟き渡る怒声。


「・・・というか、いい加減後ろのあいつどうにかしない・・・?」


そして。


――バビョオオオオオオ


吐き出される、けたたましい鳴き声。

逃げる自分らに向かって走ってくる、毛むくじゃらの塊。


「んんんなこと言ったって!抵抗しようにもしている暇がってか咲夜いい加減どうにかしろー!!」


「は、はいぃ!」




こんな騒がしい状況に追いやられて。

動かない魔女、パチュリー・ノーレッジは虚ろな目のまま、どうしてこうなったのかを思い出していた。




******


「あら?これは何かしら」


唐突に、紅魔館の地下に存在する大図書館に、可愛らしい声が響き渡った。

その声の主かつ紅魔館の主、レミリア・スカーレットは、一冊の本を手に取っていた。

レミリアが手に取ったその本は、別段他の本と変わったところなどはないのだが、レミリアはなぜかその本に違和感のようなものを感じたようで、本の表紙をじっと見つめる。

しかし特に変わった部分が見つかるでもないので、早々にじろじろ見るのをやめる。


「でもなーんか違和感というかなんというか・・・とりあえずパチェに見せましょうか」


そう言って、この図書館に住んでいる(に等しい)魔女の友人のもとにその本を持っていったのだった。



「うーん・・・」


友人の吸血鬼に渡された本をしげしげと見て、パチュリーは大いに唸っていた。

というのも。


「私、こんな無名の本持ってる記憶ないわよ」


「え」


「てか、こんな本読んだことない」


眉間にしわを寄せながらパチュリーがそう言った。


「あらま。この図書館に存在するありとあらゆる本を読んだあなたが読んだことがない、ねぇ」


そんなパチュリーに皮肉を言うレミリアだが、パチュリーはそれを無視して本を凝視しつける。

パチュリーとしても、あらかた本を読みつくしたはずの図書館から今まで一度も目にしたことがない本が、しかも本をあまり読まず、今日だって暇潰しに適当に本を漁りに来ただけの友人の手によって発見されたことは悔しいので内心穏やかではないのだが。

だがそれ以上に、パチュリーの心を支配しているのは。


「・・・どんな本かしら」


今まで表紙を撫でていた手を、本を開くために動かす。

そう、今彼女を支配しているのは、未知の本に対する知識欲。

読んだことのない本を読みたいという、読書家、そして魔女として必要不可欠の欲求。

それに突き動かされ、表紙のふちに手をかけ―――


「おっすパチュリー!遊びに来たぜー!!」


空気を読まずにやってきた知り合いに対して、魔法を撃ち放った。




「いきなりあれは酷いぜ」


「呼んでもいない、勝手に本を盗っていく、その上読書を邪魔されてロイヤルフレア一発で済んだことに感謝しなさい」


「横暴だぜ」


そう言って、突如やってきた呼んでいない来客、霧雨魔理沙は魔女帽についた埃を手で払った。

その埃はもわもわとレミリアの方へ流れていき、レミリアはそれを手で払う。


「こっちまで埃飛んできてるわよ、やめなさいな・・・それでパチェ、その本は読まないの?」


視線をパチュリーの手にある本に向けて言う。

そんなレミリアに釣られて魔理沙もその本を見た。


「・・・何なんだ?その本」


「さぁ。さっきレミィが見つけてきたの。まだ読んだことのない本で」


魔理沙にそう説明しながら、パチュリーは今度こそ本を開く。

レミリアは興味津々に本を凝視する。


そして。


本が怪しい光を放ち始めた。




「・・・ウェ!?」


思わず変な声が出てしまったレミリアを他所に、パチュリーと魔理沙はいち早く本から距離をとり、臨戦態勢に入る。

あわててレミリアも二人のところに駆け寄った。


「まずいな、トラップのようだぜ」


帽子を被りながら、魔理沙が毒づく。


「判ってるわよ。あぁもう、この私としたことが・・・」


イライラした様子でパチュリーが言い返すが、それ以上言葉を紡げなかった。

何故ならば。


光の次に、大量のモンスターが本から現れたからだ。


次々と、どんどんと、果てしなく。

ちっこいのからおっきいの、毛むくじゃら、不定形、甲殻種など様々なのが。


一瞬呆然としていた三人だが、すさまじい速度で現れるモンスターの山を前に意識を取り戻す。

そして。


「「「一時退散!!!」」」


超特急で図書館から脱出した。




「・・・それでうちに来たんですねぇ」


お茶を飲みながら、魔理沙達の話を聞いていたメガネの少女――小鈴庵店主、本居小鈴がそう答える。


「あぁ、酷い目にあったぜ」


魔理沙も出されたお茶を飲み、それから視線をパチュリー達に向ける。

もとより体力の無いパチュリーは、人里にあるここまで飛んでくるので体力を使い果たし、今はグロッキー状態である。

そしてレミリアは、いつの間にか連れてきたメイド長十六夜咲夜と門番紅美鈴にいろいろと説明していた。

というか本当いつの間に連れてきた、とツッコミたい。

が、それをとりあえず我慢して、魔理沙は再び小鈴に向き直る。


「それで、ここに来たのはちょいとその本を見てもらいたいからでさ」


「・・・別に構いませんけど、本置いてきたのでは?」


「え、誰もそんなこと言ってないぜ」


すると魔理沙は、被っていた魔女帽の中から件の本を取り出した。

それを見て小鈴は目を丸くしている。


「・・・よく持ってこれましたね」


「あぁ、あの後紅魔館を脱出する前にパチュリーとレミリアとでどうにか本だけは持ってきたんだ。何か対応策が書いてあるかもしれないからな」


言いながら、ペラペラとページを進める。


「つっても、ページの八割は白紙、残り二割に書いてある文字も私には読めない。というわけでお前に頼りに来たんだ」


「なるほど、あいわかりました」


納得の言った様子で小鈴はうなずく。

小鈴は「どんな本でも読むことができる」という特殊な能力を持っている。

それは本来、小鈴がただの本ではなく、昔の妖怪が書いたとされる「妖魔本」を好んで読んでいたことが原因であると推測される。

実際ある日突然この能力を手に入れたので原因もくそも無いのだが。

ただ、この能力を使えば、「本」であれば小鈴はどんな文字も読むことができる。

今現在、読むことができそうなパチュリーがダウンしているので読むことが出来るのは小鈴だけだろう。アリスが読めるかもしれないが、小鈴の方が本に対する知識は多いので今回はこちらを優先したそうな。

とりあえず小鈴は魔理沙から本を受け取り、パラパラと目を通す。

しばらく読み進め、時折顔に変な表情を浮かべながらも情報を得ていく。

そして。


「・・・読み終わりました」


本を閉じ、ふぅと一息つく小鈴に、魔理沙は詰め寄る。


「どうだった?」


「とりあえず途中のページなんかに書いてあるのは、モンスターの簡単な説明っぽいものとかばっかりでした。

で、最後のおくづけ、そこに『もし本から魔物が解き放たれた場合、本に戻すためには魔物を倒すべし。消してしまっては戻らない』と書いてありました」


「・・・つまり?」


「つまりですね」


一呼吸おいて。


「もし本を元の状態に戻したいのなら、本から出てきたモンスターは『倒す』ことで元に戻る、ということですよ」


どや顔を決めながら結論を告げる。

魔理沙はその結論を聞いてにやりと笑いながら


「よっし、そういうことなら霊夢を無理やり連れて」


「いえ駄目ですよ!!」


「何でだよ!?」


やろうとしたことを一瞬で否定されて魔理沙は思わず脱力しかけた。

そんな魔理沙に対して、小鈴は再び告げる。


「だから、『倒す』必要があるんです。霊夢さんの場合は『退治』でしょう?退治したらだめなんですよ」


「それはどうしてなんですか?」


今まで小鈴と魔理沙の話を黙って聞いていた咲夜が初めて口を開く。

確かにたいした違いがあるわけでもなさそうだし、霊夢が居ればそれだけで百人、いや万人力である。

しかし。


「・・・『倒す』のは、そのままぶっ倒すってこと。でも『退治』は、本来ならその対象を消滅させるってこと。あのモンスター達はいわゆる本の概念対みたいなものになっちゃってるから、退治すると完全に消えちゃうのよ」


今までずっとダウンしていたパチュリーが、咲夜に対して説明をした。

もっと判りやすく説明するならば、『倒す』は半殺し、『退治』は全殺しかつ遺体を焼却処分といえばいいだろうか。

その説明で理解した咲夜はそのまま黙りこくる。

魔理沙も若干不満そうではあるが納得したようで口を閉じた。


「まぁ本を元に戻すんじゃなくて、ただそのモンスターをどうにかしたいだけなら霊夢さんに助力を請うのも悪くないとは思いますが・・・」


小鈴がそう提案する。

だが、その提案に二人分のストップがかかった。


「まだその本を全く読んでいないのよ。それなのに完全体で読めなくなるなんて真っ平ごめんだわ」


パチュリーの、魔女としての欲求からくるストップと。


「ここで霊夢や他のに助力を請いたら、今後私達は足元見られるわ。それはこちらとしては絶対に避けたいところ。これは私達だけで解決するのよ」


レミリアの、己のプライドからくるストップ。

二人の、全く違うベクトルの欲求からくるストップに、最初は反対の意見も(主に魔理沙から)あがったが、二人は折れることが無かった。




「えっと、それじゃ、がんばってくださいね!」


小鈴が手を振りながら見送ってくれた。

魔理沙は手を振りながら、咲夜と美鈴は丁寧に礼をしてから鈴奈庵を後にした。

そしてしばし空を飛んで。

紅魔館の門前に到着である。


「・・・特に変化はないようだな」


外から見ただけでは、特に紅魔館に変化は無い。

変な奇声が聞こえるでもなく、静かなものである。

それでも、いやだからこそ、彼女達は柄にもなく緊張していた。


「・・・これでフランと小悪魔が居ればよかったんだけどね」


レミリアがぼやく。

実はフラン――レミリアの妹、フランドール・スカーレットと、パチュリーの使い魔である小悪魔は今、ちょっとしたお届け物の配達に地霊殿まで行っているのだ。

ちなみにフランドールはただ古明地こいしと遊びたいがためについていっただけなのだが。

しかし理由はなんであれ、今この場にフランドールと小悪魔が居ないことに変わりは無い。

減った戦力の量に若干辟易するレミリアだが、魔理沙は気にもせず笑う。


「まあ何とかなるぜ!何せこの魔理沙様が手伝うんだからな!!」


「不安要素でしかないんだけど」


「おい」


パチュリーの突っ込みに反応する魔理沙を見て、レミリア達は落ち着くことが出来た。

別に気取る必要は無いのだ、いつも通り堂々としていればそれでよい。

頬を何度かパシパシたたいて、レミリアは自分に喝を入れる。


そして。


「それじゃ、紅魔館を取り戻しに行くわよ!!」


レミリアの号令の元、紅魔館奪還作戦が開始された。


後編へ...

お久しぶりです。

ようやっとネタが沸かない状況を打開し、新作のupにこぎつけました。

ただ、本来なら一話で収める予定だったのですが、なんか長くなってしまい前後編に・・・

いえ、別に睡眠時間が無くなるのがいやだからとかそんな理由ではないですよ、ええ、本当ですってばだからその振り上げたグングニルを下げてくださいお願いしま(ピチューン


前編は割りと落ち着いた感じになりましたが、冒頭部分で判るとおり、後編はバトル・・・というよりギャグ展開MAXでお送りする予定でございます。

バトル要素は大分薄いとおもいますのであまりその辺は期待しないでくださいw

出来るだけ早く更新しようと思っています。思うだけ(殴

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ