―回帰茸騒乱―
どうも初めまして。
なんかノリと勢いで小説投稿した阿呆です。
まぁとりあえず、作品をお楽しみくださいませ。
霧雨魔理沙。
幻想郷に住む、いたって普通の魔法使いをやっている人間。
彼女と言えば、と質問をすると、色々な答えが返ってくる。
魔砲少女、本泥棒、タラシなどなど。
そしてその中には、「キノコハンター」なんていうのもあるのだが。
今回はその、キノコ好きという一面が、ある意味大事件を起こしてしまうのである。
******
「・・・なにかもうしひらきはある?」
幼い少女の声。あまりにも可愛らしいその声で、しかし言い放った言葉は、本気の怒りが籠もった糾弾。
だからだろうか、普段同じように言われるのよりも、圧倒的に恐怖心を感じるのは。
そして同じく、普段ならばこの恐怖に動じることなく応対できるはずの、元凶も―――
「ぐすっ、えぐっ、うぅぅ〜、ごめん、なさい、えぅぅぅ〜」
普段よりも幼く可愛い声で、泣きながら謝るしか出来なかった。
そんな光景を、はたから見ている人形遣い―アリス・マーガトロイドは、頭を抱えため息をつく。そしてポツリと一言。
「どーしてこーなったのかしら・・・」
そう言って、もう一度ちらりと目の前の光景を見る。
何度見ても、「5歳くらいまで縮んだ」博麗霊夢に、同じく「5歳くらいまで縮んだ」霧雨魔理沙が怒られている状況は、変わらなかった。
果たして彼女たちに何があったのか。
時を遡ること、2時間前。
今日も暇そうに、神社の縁側で足をぶらぶらさせて居た巫女、霊夢のもとに、魔理沙とアリスが訪れた。
ただ訪れただけなら良かったのだ。霊夢も口では色々言うが、そこまで邪険には扱わない。
それでも、明らかに見た目がヤヴァイキノコを持って、
「今からコイツを焼いて喰おうぜ!」
なんて言われれば、本気で追い出そうとするのももっともだ。
案の定霊夢もお払い棒片手に魔理沙を追い払おうとしたが、結局失敗し、見事「変なキノコのステーキ」が完成してしまったのである。
余談だがこの時、アリスは魔理沙のキノコ採集5時間コースに引っ張り回されたせいでグロッキーだったとか。
そして。
変キノコステーキを食べた(霊夢は無理矢理、アリスは吐きそうな顔してたので逃げられた)。
食べて10分。霊夢と魔理沙の体が、縮んで縮んで、ついでに精神年齢も少し幼くなって、今に至る。
「えぅ〜、ありす〜」
再び頭を抱えていると、魔理沙がベソをかきながらアリスに飛びついてきた。
「れいむがいじめる〜!」
「だれのせいよ!?」
「うわーん!れいむが怒ったー!」
「あんたがへんなきのこたべさせるからでしょー!?」
と、大声で叫びあう幼女2人。
子供の叫び声はとにかくうるさいのに、それが2人分だ。アリスは耳を押さえているのに鼓膜が破けるのではないかと本気で危惧した。
「2人とも、おちつ」
「だれがわるいのかわかってんの!?」
「だからってそんなにおこらないでよ〜!!」
「こんなんにされておこらないわけあるか!」
「うええぇぇぇん!」
「あーもー五月蝿い!五月大熊猫い(ウザイ)!」
ついにはアリスまでキレてしまった。唯一の良心が居なくなってしまった今、この惨事を止められる者は―
「なんか騒々しいと思ったら、どういうことなのかしら、これは・・・」
「な、なんか霊夢さんと魔理沙さんがちっちゃくなってる!?」
救世主(?)到着。
現れたのは、紅魔館のメイド長、十六夜咲夜と、冥界は白玉楼の庭師、魂魄妖夢。
何故この場に居るのかは判らないが、今のアリスにはそんなこと関係ない。藁にも縋る思いで助けを求める。
「お願い・・・助けて・・・」
2人は暫し顔を見合わせて居たが、アリスの死にかけた顔を見て、流石に放っておけなかったのであった。
「すぅ・・・すぅ・・・」
「むにゃむにゃ・・・」
「な、なんとか寝てくれましたね・・・」
ぶはぁ、などと大層に息を吐いてへたり込む3人。
あれから2時間、激昂する霊夢と泣き喚く魔理沙をなんとか宥め、寝かしつけることに成功した。抵抗が激しかったため、めちゃくちゃ疲れたが。
「それにしても・・・なんで2人、小さくなってるの?」
咲夜がアリスに訪ねてくるので、とりあえず原因なんかを話しておいた。
「・・・なにやってるのかしら」
「そんなのあるんですねぇ」
事情を聞いて呆れかえる咲夜と、何故か関心する妖夢。
説明を終えたアリスは、勝手に淹れたお茶を飲みながら何度目かのため息をこぼす。
「ほんと、5時間も連れ回されて、その上子供の世話をさせられるなんて・・・」
「大変ねぇ、あなたも」
変に同情されてしまった。なんか悔しい。
「・・・ところで、魔理沙さんは、そのキノコにどんな効果があるか判って食べたんでしょうか?」
不意に、妖夢が質問を投げかける。
「・・・確かに、いくらあの子でも確認くらいは取るわよね」
幻想郷一のキノコ好きで通る魔理沙なら、恐らく半分くらいなら何のキノコなのか覚えているだろう。
残り半分の見たことないキノコを見つけた場合も、普通は色々調査、実験をして安全か否かを判別してからでないと食べたりはしないはずなのだが。
「・・・確か、似たようなの食べて大丈夫だった、とかなんとか・・・」
アリスが魔理沙から言われたことをそのまま言うと、咲夜は頭に手を当てて空を仰ぎ見た。
ようは呆れているのである。
「はぁ・・・そういうのが一番危ないっていうのは判りきってるはずでしょうに」
「ごめんなさい、魔理沙が戻ったらキツく言っておくわ・・・」
「―――あのー」
再び妖夢。
だが今度は、若干顔が引きつっているように見える。
「どうしたの?」
「いえ、あのですね、ふと思ったのですが」
ここで一度区切って、続ける。
「この症状、何時になったら治るんですか?」
******
場所は移り変わって、永遠亭。
今、永遠亭で薬師をしている八意永琳に、キノコの残りを渡して検査してもらっているところである。
「・・・失念してたわ。キノコの具体的種類が判らないってことは、症状が何時まで続くのかも判らないってことを。すっかり忘れてた」
またまたため息を吐き、頭を膝に付けるアリス。
しかし普段のアリスならそのあたりにすぐ気付くものだろう。恐らく振り回されて疲れていた、だけではないだろう。
「まさか妖夢に気付かされるなんてね」
「咲夜さん、ヒドいです」
冗談よ、と小さく笑って妖夢をからかう咲夜を、妖夢は若干頬を膨らませて睨む。
そのやりとりに、アリスは少しだけ気が楽になった気がした。
その時。
「待たせたわね。出たわよ、結果」
実験室から、永琳が出てきた。
すぐに3人は立ち上がり、永琳のもとへ近寄る。
「どう?」
「うちに来て正解ね。これは『カイキダケ』といって、文字通り食べた人の肉体や精神の年齢を『回帰』させるみたいね」
「なんともまあ、面妖なキノコですね」
「で、問題は、この症状、自然治癒しないのよ。今は元に戻す薬を作ったから治るけど、放置してたらいつまでもちみっこいまんまよ」
といって、アリスに小さな袋を2つ渡す。
中身は錠剤だった。
「治療薬よ。飲ませれば治るわ」
「・・・ありがとう」
素直に頭を下げるアリスに習って、妖夢と咲夜も頭を下げる。
「いいってことよ。面白いもの持ってきてくれたわけだし」
そう言って、永琳は別れの挨拶をしながらその場を離れる。
いつまでもここに居るわけにはいかないので、3人もすぐに神社へ向かった。
そして。
「いやー助かったぜ!」
「酷い目にあったわ・・・」
無事薬を飲むことで、霊夢と魔理沙は元に戻ることが出来たのである。
「全く、迷惑かけさせないで頂戴」
「心配しましたよ」
咲夜と妖夢がそれぞれ魔理沙に一言言って帰っていった。
「はぁ・・・」
「迷惑かけたわね」
「どっかのバカのせいでね」
「なぬ」
「口答え禁止!あんたは今日から一週間神社の掃除係よ!」
「げぇー・・・」
ほら早くやれ!と魔理沙に怒鳴り散らす霊夢を視界の隅に見ながら、アリスはふと
(妖怪である私があれを食べたら、どこまでちっちゃくなるのかしら?)
そう考えたけれども。
「ま、面倒なことになるからやらないけどね」
そう言ってアリスは、ふっ、と笑うのだった。
改めまして、作者のもやしです。
先述の通り、ノリと勢いで小説投稿したあほんだらです。
救いようが無いです。ええほんと(笑)
さて、作品はいかがでしたでしょうか?
別のところで物書きやってはいますが所詮素人の作品ですので色々至らぬところは多いですが、楽しんでいただけたら幸いです。
自分、当面は忙しいのであまりぽんぽん続き書けないと思いますが、もし一人でもこの続きが読みたい、自分の作品を読みたいという方が現れてくださったら、少しでも早く続きを書けるよう努力いたしまする。
それじゃ、次は誰で書こうかな・・・(笑)