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進路調査 その1

文章はかなり拙いですので、読みづらいかと思いますが、ご了承頂ければ幸いです。

「はい。席ついてー。」

先生の言葉が響き渡る水曜日の午前10時30分。

1時限目の英語を終え、異文化とのコミュニケーションにただただ絶望を感じている紳士・淑女にとっての休み時間(聖域)を何とも思っていない悪魔によって、束の間の天国は地獄に変わるのだった。


「先生ェー。休み時間に休ませないのは労働基準法的にまずいです」

「まずいのはお前の頭の中だって事をまず理解しような」

「僕の頭は何時だって最新OSですよ。アップデートも欠かしません」

「うるせー。お前の脳をフォーマットしてやろうか」


教師とこんなやり取りをしているのは、クラスメイトの吉岡である。頭はおかしいが、校内で一番の人気者である。

以前、仲間内で個人脳内考察予想メーカーで遊んだ時に、脳内が「塩」で埋め尽くされていたという出来事は、未だに伝説として語り継がれている。


「先生。早く用件をお話下さい。次の授業、体育なんですけど。」

「おお、そうだったな。」

「そんな2進数でしか物事を判断出来ない男なんて、相手にするだけ時間の無駄ですよ。」


この吉岡を人類外認定をした女こそクラス副委員長の安海さんである。

安海さんを一言で表現すると、容姿端麗・成績優秀の出来杉くんタイプだ。そんな出来杉くんは、吉岡の事を大層嫌っていらっしゃる。


以前、どうして吉岡の事が嫌いなのか聞いた所、表面上だけで人と接していることが腹立たしいと仰っておりました。人は誰だって表面上で接しているだろうと思ったが、早々に会話を打ち切られた為、何も言えませんでした。


隣の席にいる吉岡に、小声で話しかける俺。

「おい吉岡。お前人類として認められてないぞ。」

「01110001110110000」

親指を立て微笑みながら、こちらを見ている2進数野郎。

そんなグダグダになってきた雰囲気を感じ取ったのか、先生が一言。

「あーじゃあ本題に入るぞー。2時間目の体育は中止だ。今から進路調査を始めるぞ。」


「先生ェー。何でいきなり進路調査何ですか?」

「事前に話しておくと、お前らの場合ふざけるからな。ふざけられないように抜き打ちだ。じゃあ、この用紙を後ろに回してくれ。」

前列に進路調査のプリントを渡しながら、先生は質問に答える。

「制限時間は5分間だ。」

「早くない!?」

「ふざけられないようにと言ってるだろう。今後の自分の人生だ。素直な気持ちで書くように。」

最悪だ…。まさか進路調査(HARD モード)になるとは思わなかった。

しかもボケ禁止ときたものだ。

このままでは真面目な進路を書かないとマズイ雰囲気だ。

隣の席にいる吉岡を見ると、ものすごい勢いで何かを書いている。

まぁ、しょうがない。今回は真面目に書くか。


~5分後~


「終了だ。全員書けたか?書けた奴は手をあげろ。」

教室内にいる9割の人間が手をあげた。しかもほぼ同時に。シンクロ率は200%だ。

「よし分かった。今手を挙げた奴は書いた用紙を破り捨てろ。」

9割「!?」

「いいから破れ。そして書き直せ。時間はたっぷりあるんだからな。」

9割「卑怯だぞ…!」

「分かった。早く真面目に書けば余った時間は自由時間にしてやる。」

9割「!?」

自由時間というあまりにも素敵な言葉に、9割チームあっけなく撃沈。

各々がペンを走らせる。


終業のチャイムが鳴り響く。

「じゃあ、書けなかった奴は放課後に職員室へ持ってくるように。」

時間切れ。英語で言うとタイムアップ。9割チームはもちろんの事、俺も提出出来なかった。


「真面目に書いてたまるかよ。進路なんてサイコロで決めれば良いじゃねぇか。」

人生をなめくさった発言をする吉岡氏。真剣な10代が語り合う国営番組ならば許されるかも知れないが。


「あれ?進路調査出せなかったの?」

「出せなかったよ。お前は?」

「余裕でした。大学進学ってフレーズが最強という説を私は唱えます。」

この、人生をなめくさった発言をする女は杉本。あだ名は普通ちゃん。


「んで、あんた達は何て書くの?」

「マッチョ」「火星人」

吉岡氏と俺の見事な心の繋がりが生み出した奇跡のコラボに、普通ちゃんは感心しているようだった。

「聞いた私がバカだった…。一回死ねばなれるよ。」

遠くでそんな事を言われた様な気がするが、気のせいにしておこう。

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