心の中の葛藤と怒り
「・・・」
それと共に、俺の体から、気が抜けどっと、汗が噴き出した、それと共に、体から何かが離れた感覚がする
それと同時に、人を殺してしまったという罪の意識が生まれたが
「(正当防衛・・・ってことでいいよな)」
弘道は心の中で踏ん切りをつけた
「ふぅ・・・」
片膝をつきながら自分の意識が疲れで飛ばされないように必死につなぎとめる
「なんとかなったかな?」
「さすがね」
隣に夜姫が現れる
「そりゃどうも」
ゆっくりと立ちながら俺は二人の姉に応急処置を施す
「あらら、私たちやられちゃった・・」
美雨姉さんが少し疲れた声でそういう
「ヒロ、聞きたいことは山ほどあるけど、申し訳ないけど運んでくれる?」
二人とも少し一人ではうごけそうにない
どうやら儀式は滞りなく行われたそうだ、俺は完遂されたことを確認し二人をいっぺんに運ぶ
美雨姉さんを背中に、明美姉さんをお姫様抱っこする
「さてと」
ちょいと疲れていたが日々の努力もあって、そんなんではなかった
姉さんを本家に運び、俺らの寝部屋に寝かす
「ふぅ…やっぱり落ち着くわね」
そういいながらゆっくりと目をつぶる二人
「少し、休んでろ」
「えっ?うん」
少し赤らめた顔になる二人
「ヒメ」
「なに?」
ヒメが相変わらずの和服姿で現れた
「この二人頼めるか?」
「見張ってればいいの?」
「あぁ、少しおじさんのところに行ってくる」
そういうと、真剣な顔をして
「死なないでよね?」
「おいおい、話し合いの場で死人がでるなんて世も末だな」
「ふふっ・・・」
そういいながら俺は大広間に向かった
「・・・」
「・・・」
「・・・」
広間は厳かな沈黙に包まれていた
その中で一言口をあける頭首
「篝屋3姉弟がけがを負った」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
相変わらず沈黙する
「なぁ、御館様、少しいいか?」
頭首から少し遠くにいた分家の男性がいう
「篝屋家は姉妹のはずだが?」
「あぁ、その件についてじゃが・・・」
少し口を濁しながらバツの悪そうにこういった
「めんどくさいから3姉弟にした、だって、もと一緒んでたんじゃろ?だからじゃ」
その途端、その場にいた全員が納得した
「(おいおいおいおいおい!)」
一人ものすごく納得していなかったが、それはスルーするとして
「それと」
一気に広間の雰囲気が変わる
「これはあくまで、私が感じたんじゃが、術を行う時に手ごたえがなかった、意味わかるなじゃろ?」
広間がよりいっそう、重くなる
「御館様、解き放たれたということは?」
「無きにしも非ずじゃ、もしくは消滅したか」
「ですが、もし解放されたとしたら、ここいら辺一帯になにか起こっているのでは?」
「その可能性はおおい、可能性として篝屋姉妹が襲われたのが例の件に関連が無きにしもあらずじゃ」
「もし、解き放たれ、この一族にその使い手がいたとしたら」
広間がざわめき立つ、それもそうだ、武州でも珍しい、怪異調伏を得意とする戦闘系御守霊集団である篝火流、ある日、とある当主が死ぬ気で封印したとされる妖怪とされてる、それが解き放たれたとすれば篝火流を根本から揺るがすであろう
「そんなものがいれば、この本家の敷居を跨ぐとは考えられません、そんな奴がいれば里の恥です!」
言葉の礫が俺に間接的に飛んでくる
「力あれど、人間にはあらずだ!」
「我ら1000年の歴史を汚すことだ!」
「そんなもん処罰当然ものだ!」
「そやつは正統を汚すも者、破門以外にありえん!」
もし、それが本当ならいろいろな勢力にとっても目障りになってしまう
聞くに耐えない罵詈雑言が、俺の耳に入る、俺は彼らの聞くに耐えない言葉の数々を耳にして憤りを抑えるのが精一杯な状態だった。奥歯を噛み締めながら、俺は静かに聞く
そして、広間が不意に静かになる
「まぁ、可能性の話じゃからな、各自警戒を怠らぬように、散会」
そういうと各自、与えられた部屋に戻っていった。