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始まりの夜と出会い

ヒュルルルル、夏の夜風が気持ち良い

「(こんな日は、あの場所から星でも眺めようかな?)」

俺はそのまま、山道を進み、いつもというわけではないが夏によく星が見えるちいさな広場まで向かっていった

時間も確認しようと思ったが携帯電話を家においてきたらしい

ここいら周辺は都会の光が入ってこない場所で、山の中だから天気が良いとかなりたくさんの星が見える、まぁ、言ってしまうと田舎だからよく星が見えたといったところだ


ペガサスに、オリオン、それに北十字、北極星、金星、火星、天の川、俺の視界すべての星が綺麗で幻想的だった。


ここは俺も知らない祠、今回早朝に行く祠は、これよりもうちょっと山の上にあるはず、ちなみに俺は、その祠の近くの石がちょうど良い枕と同じ高さだったので持ってきた布を石を上にかけ枕替わりとして横たわり、星をしばらく見て物思いに耽ったあと、少し目を閉じた




それから数時間後、俺の感覚が正しければ深夜2時位だろう、草木も眠る丑三つ時

ふわりとした感覚の後、俺はふと目を覚ます


目を覚まして俺に膝枕している少女に驚いた、星明かりで照らされる中、その女の子はいた

「・・・どうも」

なぜ、こんな言葉が出たのかわからない、なぜだろ、自分自身に問い詰めてもわからなかった、頭にはたしかに温もりがあった。そして、その子はニッコリと笑った。

年齢的に見て俺と同じくらいだった。瞳の色は透き通って曇りひとつない黒で明美姉さんや美雨姉さんに負けないくらいの可愛い顔立ち、黒く長い髪に経帷子キョウカタビラを着ていて、華奢な腕が俺の頭やおでこあたりを優しく撫でていた。

「(あれ、俺いつのまに寝たんだ?)」

相変わらず、笑顔で俺のことを撫でてくるその女の子





すると不意に「ちょっと我慢しててね?」と声がした。だが彼女がしゃべった様子は無い。


「(何を?)」そう思った瞬間、ぬくもりと共に金縛り状態になる

四肢がまるで満足に動かせなくなる

それと同時に女の子の右腕に現れた赤い玉に、物凄い量の言が何かの術式を組み込むようにその赤い玉の中に収束されていき、それはやがて赤い光となり

その光が俺の体の中に入っていくと同時に


イナズマのように激痛が走る、それと同時に激痛が体の中を貫いた、それは拒否反応と言えるべきことだった、しかしやがて痛みは引いていく、そのたびになぜか背中と左腕が虫が背中にははいったように痒かった

そして、俺の意識は瞬間的に途切れ、闇に落ちた


気づいたら周りは火の海、燃え盛る火の中、逃げ惑う人々、

そんな中に、ひとりの影、なかなか顔が見えない、顔にはとげとげしい赤い痣見るだけでも痛々しい、金色の刺繍が入った黒い和服、赤と紫の帯、その姿にはどこか艶やかな姿、ただどこかに悲しみがある


「キャアー!厄災の姫よ!」

「皆のもの逃げよ!」

なにやら逃げている人々、刃が、紅く妖しく光った刀をもった影は刀を振り上げたそれを振り下ろした瞬間直後大地を切り裂いた



それと同時に、俺の意識は飛んだ


「......ぶ!」

「......だいじ......!」


かすかに声が聞こえてくる、それはやがてはっきりとしたものになり

「ねぇ、大丈夫?」

初めてその子の声が耳で聞こえた、かわいらしくて聴きやすい

「あっ、うん」

何がなんだかわからない、ただ、目の前の子を泣かせちゃダメだとは思った

「痛くなかった?」

「少し痛くて、怖かったかな?」

額からは大量の汗が吹きこぼれていた

そんな俺をみて、再び頭を撫でてくる


「もしかして怖かった?」

「正直言うとな、まぁこの世がこの世だしね」

「かわいいね」

「そりゃどうも」

彼女は可愛いといったが彼女も十分可愛かった

「お名前は?」

「う~ん」

少し考え込んだあと

紅花あかはな夜姫よるひめ

俺は驚愕した、目の前にというか膝枕しているのが、赤き夜の厄災の姫、そう自分の家系で最も恐れられており、早朝封印しようとしていたものだったということだ

そして、驚愕したのが、これほどまでに美しい人だとは思わなかった


「なんか知ってるの?」

「うん、あぁ・・・」少し怖がってしまう

「怖いの?」

「いいや、怖くねぇな」

「…どう、して…?」

「ばっかばかしい。理由なんていらねえだろうが、別に特別なことなんざ何もねーよ。 俺の本能がたった一言、この俺に向けて言っただけだ

こいつを助けて、守ってやれってな」


「そんなこと、どこで言えるの?私、厄災の姫って呼ばれてたんだよ」

少し涙をながしそうになる夜姫よるひめ

「どこって、そりゃあ決まってますよ

 ―――心に、決まってんだろ」

俺は夜姫に対してそういった、途端

ドサッ!夜姫が俺に覆いかぶさるように倒れてきた

「あなたを信じていい?」

「もちのろんだ」


その途端、花のように綺麗な赤い光が二人の周りを包み込んだ

それは、二人が固い絆で結ばれた証だった

そして、夜姫の服が経帷子キョウカタビラからあの夢で見た金色の刺繍が入った黒い和服、赤と紫の帯になった

夢の中で見るより何倍も艶やかさが強調されていた


「いくよ」

「あぁ、もうひとね寝させてくれ」


ズテンッ!壮大に夜姫がコケた

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