誘拐DEATH
俺はただ歩き、ただ電車に乗り、家に何も考えず向かっていった
「・・・」
俺は周りを確認する、どうやらこれは夢でも幻想でもなく、ちゃんとした現実である、しかもなんども場所を確かめてもここは俺の家のアパートの前だった
「(怪しすぎだろ・・・)」
俺のアパートの目の前に止まっているのは黒のいかにも怪しい車
「(誘拐、襲撃、昨日の事件と同じ犯人だとしても・・・大胆極まりないしな、絶対めんどくさいな~)」
ものすごく問題しかなかったし、関わりたくなかった
その中から出てくるのは、
黒サングラスで大体はわかるがどんな顔かわからないこんな真夏なのに黒いスーツを着た女二人組、いかにも暑そう、そして、めんどくさそう
「(痛々しい・・・しかも、暑そうだな)」
そんなことを思いながらその二人をスルーしようとする
着実に俺の方に無言で近づいてくる二人組
一人は、肩まである黒く長い髪
もう一人は、口元が緩んでいる
「・・・ヤバくね?」
俺が危機を察知し、自分のカバンを自分の部屋のドアに向けて投げつける、そして、それと同時に右足で加速を付け一気に走り出そうとするが
「(早い・・・!)」
俺は咄嗟に後ろ向きに走り出す、いろいろなものを踏み跳躍重視の疾走を作り、逃げようとするが
そして、
「(右足ボディーブロー!)」
口元が緩んだもう片方の女性がものすごい速度と共にボディーブローを放ってくる
「グフッ!」口元から多少血がでるもののなんとか堪えれる程度のもので、蹴りと同時に飛ばされる
後ろに回り込まれ、手を押さえ込まれる、関節技で半端なく痛い
「(捕まった!)」
そのまま抵抗できぬまま、車に連れ込まれ、自分の家の前から出る
「(誘拐されたー!)」
後ろに見える家がだんだん小さくなっていく、そして、俺の隣にいた女性がサングラスを外したとき、俺はその人物にものすごくがっかりした
そして、隣にいた女性が俺に向けてこういった
「やぁー!ひっさしぶり~!学生生活enjoyしているかい?少年?」
ものすごいレベルでのがっかり、やっぱりじゃないけど、なんとなくそう思った気がするのであった
「少年じゃないでしょ?美雨姉さん」
「いや~久しぶりに呼ばれた気がするわ~」
明るいその女性、しかも運転している方の女性は
「お久しぶりだね~ヒロちゃん」
「あぁ、お久しぶりです、明美姉さん」
そう言いながら運転する女性
二人とも、よく知るというか、もはや家族同然の存在、二人とも小さい頃から世話になった姉妹で彼女たちは本家である、篝火流本家の分家である篝屋家の姉妹で、俺の母親の姉の子でいとこに当たる存在、だがその母親の姉さんはアメリカに行って仕事してて、小さい頃というか、数年前までは俺の家に3人一緒に住んでいたのである。その頃に家事の技術が上がったことは言うまでもないことで、最近では"もうお前ら3姉弟になっちまえよ"と言い出した母親がいた。しかも、羨ましいというかけしからんというかなんというか、二人ともそれなりのスタイルの持ち主で芸能界にスカウトされかけたこともあるくらいの持ち主なのである、しかし、家事ができないという反面を持つ、だから、最近は一週間に一度掃除に向かっているのである、ちなみに年末年始とお盆は基本的に一人暮らしの俺の家で過ごしているのである。
自分でも訳が分からいというくらいの解説を行いながら
俺は周りの風景を見ながら
「で、姉さんたちいきなり俺を捕まえてどうかしたんですか?」
「ちょっと、本家から呼ばれちゃってね?」
「で、例のごとく捕まえに来たと?」
「そゆこと~」
そう言いながらも車は高速道路に乗って本家である東山羽陸地方の火岩という場所に向かって行った
そんな中、車内で
「あっ、そうそう、家が汚くなったっていうか、手に負えないから」
「あぁ、言わなくてもわかってるっすよ、土日に向かいますね」
「ども~役に立つ~」
どうも俺の立場的に週一家政婦?になってる気がする
例えばこういうことがある
クリスマスになれば
「ねぇ~クリスマス~」
「ケーキですね?わかります」
正月になれば
「正月だ~」
「おせちですね・・・」
大晦日になれば
「大晦日~」
「お雑煮ね、今つくる」
夏になれば
「夏だ~!」
「そうめんでいい?」
そんな感じの生活が続いていた、驚くべきは小学校の頃
「えぇ~と・・・」
教師はその場の現状に困り果てた
明らかにそこにいるのは高校生、場違いなほどの高校生、といっても少し大人っぽかったからバレてない?多分本人たちはバレてない、私服だし
「どうも~お迎えにきました~」対応に出るのはこの時高校生であった明美姉さんと期末テストで早く学校が終わったから明美と一緒に来た美雨姉さん
今日は、防災なんとかで親子が迎えに来るのだが、なぜか美雨姉さんと明美姉さんがいた
「ご親戚か何かで?」
「弘道の姉で~す」
「はぁ・・」
言葉につまる先生
そんな中、ランドセルを背負い帰りの支度をしていると
「おい、弘道?あれ、お前の母さん?」
「う~ん、あぁ、姉さんたち」
「・・・」
絶句する少年、彼こそ小学生以来からの友人である小松靖道、この頃から主人公のことを慕っていた
「絶句してどうしたんだ?珍しいことじゃないだろ?」
「珍・し・い・わ!ボケー!大体な、ここいら辺で有名のあのおふたがたがまさかのお迎えなんてしかも一人に!珍しいとしか言いようがねぇよ!」
ものすごい高いテンションレベルでツッコミをいれる靖道、言う通りこの頃から目を付けていた芸能各社が多数いるほど有名だったのであるお二人は
「しかも、使い手だぜ、ここいら辺でも有名な、焔龍と氷龍の使い手なんて見たこともねぇし、聞いたこともねぇ、そんな二人だぜ、テンションが上がらなくてどうするよ?」
ちなみに焔龍を使ってるのが美雨姉さんで氷龍を使っているのが明美姉さんである
ちなみに焔龍の姫と氷龍の女王と呼ばれていたのはこの時、二人とも知らないことである
そんなふうに話していると
「帰るよ~ヒロ~」
明美姉さんが手招きしていた
「OK~」
そういうなりランドセルを担いで靖道に別れを告げて出た
終始、通学路では色々囁かれていた、その翌日学校では、超有名姉妹にまさかの弟?と言う格付けになっていた
「・・・で?明美姉さん、美雨姉さん?」
「「な~に?」」
「お母さんは?」
「仕事?」
「その時って、一人で帰るんじゃないの?」
美雨姉さんが親指をサムズアップして
「大丈夫だ、問題ない」
「(問題しかねぇぇぇ!)」
まったくもって、問題しかなかった
「んで、まぁ、来てくれたのは嬉しいな」
適当にお世辞を言っておく
そういうと、明美姉さんが
「あぁ、そうそう、お母さんなんだけど、仕事でこれないからっていう理由で私たちに委託したわけよ」
「へぇ~(このやろぉぉぉ!)」
とりあえず、問い詰めなければ(色々な意味で)ならないことが増えた気がする
母親は、姉達に似て天真爛漫な性格で、姉達とも仲が非常によい
「(まぁ、いっか)」
そんな感じだった
過去を振り返りながら、窓を眺めていると、東山羽陸地方に入った
周りの景色には山が多い、むしろ山しかない
俺は起きているのに隣の美雨姉さんは俺によりかかるように寝ている
「いや~ヒロ~毎回申し訳ないね~」
「まぁ勉強になりますし?」
「夜の?」
「いいえ、違いますけど」
あまりの言葉に驚愕しながらも毎度のことだと思いサラっと流す
そんな中、車は山の中を進んでいった、ただ一つあるとすれば、姉さんの目付きが真剣になり
「……姉さん?まさかとは思うけど。ここでは………」
「さあて。そろそろ行きましょうかね」
「…どうかお手柔らかに………とは行かないだろうね」
明美姉さんは、都会では最高に安全なドライバー。
そう、都会では
そんななんにも変わらない声と共にものすごい速度で目を覚ます美雨姉さん、そして
「んじゃ、舌噛まないようにしねぇとな」
「えぇ」
山の中に悲鳴がこだました
明美姉さんの車が山道のカーブでをドリフトし始めた、危ないったらきりがない、むしろ危ないとしか言いようがない。運転席では物凄い真剣な顔をした明美姉さんがハンドルとブレーキを颯爽とさばいていた。右に投げ出されると思えば左に投げ出される、まさに地獄
それから、いつもなら高速道路降りてから40分くらいのところを20分くらいで到着してしまった
「ヤベェ・・・吐きそう」
「大丈夫?」
美雨姉さんはなぜか耐えられたみたいだが、俺は久しぶりすぎて耐性が付いていなかった
俺は重苦しいドアを開けていき、中に入っていく
長い廊下を歩いていくと、30疊はある大広間に出る、そこには分家の人や本家の知り合いなどたくさんいた
「おっ、来たきた」
中央の上席にいるテンションが高いこの白髪白ひげの老人こそ、篝火流本家30代目当主篝火大和、俺のおじさんちなみに年齢は80才ぴったし
「おひさしぶりじゃな、ヒロ君?」
俺は正座してその頭首と対面する
「お久しぶりです御館様」
「あぁ、堅苦しい挨拶はなしじゃ、ほれ、皆のもの集まれ」
そういうと中央の当主の直角になるように本家の人と分家の人、もちろん俺も正座その隣に明美姉さんと美雨姉さんが座る
「あぁ、皆も分かってのとおりじゃが、我らが管轄する祠の結界が異常をきたした、そのため、もう一度封印を行う、儀式を行う日は明朝、皆のものそれまで解散じゃ」
広間がものすごい緊張した雰囲気になる、母親によると祠には武州でもそれほど数が少ないとされている封印指定のかかったとてつもないのがおり、それを沈めるのが我々の役割だというらしい
ちなみに、このことは武州政府はしらないことで、これは内密に行わなければならない、そのために実行時にはより一層の警戒が必要とされる
「で、担当なんじゃが」
そういうとなにやらボールペンで書かれた紙を取り出し
「えぇ~と、」黙々と担当を読み上げていく、その間終始退屈な俺、今回の役割はどうやら姉達の補佐らしい
自分の役割を確認したと同時に本家に戻っていく面々
「・・・これだけ?」
「そうよ、これだけ、ちなみに、今日泊まっていけってお母さんから言われてるわよ?」
「んで、部屋は?」
「おばさんの話によると3人一緒らしいよ?」明美姉さんがなぜかわからないが俺の荷物を持っていた
「マジか?(風紀委員!どこかに風紀委員はいないか!?)」
まさかの部屋が3人一緒、しかもこの年齢、犯罪の臭いしかしない、とりあえず文句は言えないので渋々部屋に行く
「んまぁ、ご定番のこの部屋ですか」
毎度おなじみというか、もはや見知った部屋だった
ドアが開く音と共にそこに入ってくるのは
「ヒロ~いるかい~」
美雨姉さんだった
「どうした?美雨姉さん?」
「あぁ~ちょいと来てだって~」
「本家の人が?」
「そう~」
「Ok~」
そういうと美雨姉さんに連れられ本家の大広間に向かうと、既に夕食の用意ができていた
広間には、大量の食事唐揚げから、煮物まで数が豊富だった
「久しぶりだし、今宵は宴じゃ!」
この当主は緊急事態なのに何言ってるんだろうと思いながら俺はご飯にありついた
終始、酒が入り、二人とも俺だけに絡んでくる、とても困る、そうとても困る
俺はそのあと、酔いつぶれた二人を布団に寝かす、そして、俺も布団で寝ようとしたら
「(布団がない・・・だと・・・)」
布団が二枚しかなかった、これはよかったもし、二人が正気状態だったら、絶対俺は布団で寝かされどちらかが俺の後ろまたは前で密着した状態で寝なければならない状態になっていたのである
「んまぁ、結果オーライなのかな?」
とりあえず、誰も部屋には入れないように、少し小細工をかけ、俺は台所にいるおばさんのところに向かう
「あぁ~おばさん?」
「なんだいヒロ君?」
台所ではおばさんが明日の朝食の下準備をしていた
「少し夜風にあたってきます」
「いってらっしゃい」
そういうと身近にあった布をかっさらいむかった
この時、少年は知らなかった、まさか、あんなことになるなんて、思いもよらなかったことを