御館様との対談
泣きながらも、言ってくる夜姫、どこか可愛さというかもう手放したくない可愛さがある
「神様を殺した、それが、どうした?神様がもし死んでたらこの世界はもともとねぇよ、だから、神様は死んじゃいねぇ、だから、クヨクヨするなって」
見ているこっちが悲しくなってきた
「お若いのぉ~」
気だるそうな声で参上するのは白髪の男、篝火大和
いつの間にか開いていた襖障子から身を乗り出し、此方を伺っていた。
「(―――全くその存在に気がつかなかった)」
「(……ヒメ)」
「(―――ごめんヒロ。気配そのものが消えていたしこの今の状態では察知不可能だよ)」
「(先手を取られたか)」
「変態?」
「老人に言われても、困るのぉ」
明らかに鼻の下を伸ばしている当主
「弘道、彼女か?」
なにやら、当主のまずい方向の意味で目付きが変わる
「えっ!あぁ、ちょっとまてや!」
「いや、若い男女がイチャイチャしてればそれはもう、彼女としか言いようがないじゃろ」
「・・・(エロジジイ興奮してやがる、早く何とかしないと)」
対策を考えるため無言で黙り込んでしまう俺
「おや、ホントみたいじゃな・・・御二人とも、少し良いかな?」
雰囲気がガラリと変わる、頭首の背中は付いて来いと行っているそのものだった
竹林の囲む中、里の中でも比較的外側に位置し、そこに至る道が一本しかないような目立たない場所、そこには今も昔も住む者もない古式床しい小さな空家がある、しかし、これまで人が住んでいなかったとは思えないほどに家屋や庭も綺麗に整えられていた
「まぁ、入りなさい」
竹林に囲まれたこの場所は、里の中でも周囲の雑音から切り離された静謐な空間だった
こじんまりした小さな空家に連れられ、俺とヒメが隣合せで座りそれに対面するように畳一枚開けて大和が丁度正面で相対するように座布団の上に胡座をかくように座る。服装は先ほどとは変わらぬ着流しだ。
雰囲気がガラリと変わり、緊張した空気に変わる
「頭首、どのようなことで?」
「言わずともとは言い難いが、まずは祝辞からじゃ、御守霊使いになれたこと心よりお祝いしよう、おめでとう道」
「お褒めに預かり、光栄至極でございます御館様」
髭を弄りながら話を続ける頭首
・
・
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「気づかぬとでも思ったか・・・弘道?」
途端、俺の額に冷や汗がたれ落ちる
「その痣、違うとは言わせんぞ」
鋭い目付きでこちらを見る大和、いかにもすぐ殺されそうな雰囲気だ
「契約したんじゃな、厄災のh「ヒメをその名で呼ぶな!」」
俺は声を少し荒らげてしまう
「落ち着くのじゃ、弘道、まだそれが悪いかどうか決まったわけじゃないじゃろ」
「ヒメは、ちゃんとした名前がある「真名を告げてはならぬ」」
俺は当主の声によって静止されられた
「大丈夫じゃ、落ち着け弘道」
そういうと、俺は下の正座に戻る
「ヒメ、と呼んでいる彼女じゃが、お主も分かっているでおろうことじゃ」
「えぇ、それは理解しています」
「しかし・・・」
遠くを見てこういった
「意外に、可愛いのぉ・・・」
場の雰囲気がご本人によって崩された
「真面目にお願いしますよ、御館様」
「まぁ、そんなことじゃ、しかし、お主もすごいのぉ?」
「何がですか?御館様?」
「基本的にシンクロ率が高ければ触れられるではないか」
「えぇ、」
「実体化しているなんて珍しいし、ここまではっきりと見えているのはお主の何かのせいじゃろう、これはあくまで推測じゃがお主の背が止まっていたのもこのためなのかとも思う、それに、15代当主篝火如月も主とおなじような御方だったからのぉ、しかも、感覚が正しければ侵食も止まっておるみたいじゃ、まさにベストカップルじゃな」
「(マジダメだ、頭にエロしかねぇ、このジジイ、ベストカップル、おいおい、頭首公認の仲なんて・・・)えぇ、あぁ・・・」
そう思うと隣に座っていたヒメが
「カップルで~す」
左腕をつかんで自分の体を寄せそういった
「ちょいまてや!STEP!STEP大事にしようね!」
つっこまなければ気が済まないレベル
「おほほ、若きことはいいことよのぉ」
そういうとあるものをこちら向けて投げる
「これは・・・?」
投げられたものは一本の鞘の中に入った刀
刃がもうすでに錆びた刀
「なぁ、錆びてるけど?」
「あぁ、その刀はすこしいわくつきでな」
「んまぁ、ありがたくもらっておきます」何も言わず答える俺
「頑張るのじゃな」
ここにある刀と言えば、ただ一本ある。もし、今の状態でなければ国宝級であった刀で、闇鴉、百鬼丸、封絶の剣、村正、と並ぶもと裏天下五剣であった刀の一つ名前を天斬宗光刃長二尺六寸五分はばき元にて約一寸、横手にて約六分半、重ねニ分。造り込みは鎬造、庵棟。腰反り高く小切先。地鉄は小板目が肌立ちごころとなり、地沸が厚くつき、地斑まじり、地景しきりに入る。刃文は小乱れで、足よく入り、砂流し、金筋入り、匂口深く小沸つく。帽子は小丸ごころに返り、掃き掛ける。茎は生ぶ。先は栗尻。鑢目は切。目釘孔1つ。佩表に「宗光」二字銘を切る。制作は平安時代後期とされた刀、斬れ味に関して、江戸時代に篝火家13代目当主篝火総満という剣豪が、当時、死人が蘇る門の門番で、当時異界より襲ってきた異獣の大軍勢相手に振り下ろしたところ、異獣を切断しただけではなく刃が門の中まで達した、という逸話が残っている、それ以降、厄災を立つ刀と言われていたが、武州歴1600年石山の戦にて使用者がその圧倒的な妖力に取り込まれ戦場を敵味方関係なく血の海に変えたため、、以後厄災の刀と呼ばれた刀一本のみである
「・・・そういや、お主思ったのじゃが?気づいておらんのか?」
「なにがでしょう、御館様」
「フォフォフォッ・・・かわいらしくなったのぉお主」
前々からもそして今も、よく周りの連中から容姿のことでかわいいと言われていた。なぜ、男の俺である俺がかわいいと言われるのか、俺的にはかっこいいのほうが数倍よかったのだが、生憎そんなことは過去16年間一度も言われたことがなかった。
「はぁ?」
俺は今まであった事象全てを考察し始める
そんな中、当主大和が煙のようにその場から去った
「・・・まさか!」
そのとき、俺は頭の違和感に気づいた。俺はそっと自分の髪に触れてみる、恐る恐る髪の行き先をたどっていくと、それは肩まであった。その中の髪を自分の目の前にもっていく。髪は、ガサガサでなくつややかさがあった
そう――俺は今の自分の身体のラインを確認した、どこか男のようで女でないよくわからないライン+ここに来てようやく喉違和感を感じた、それは自分で発声することで始めて現実のものとなった
「・・・ハァ~」
ちょっと、喉を震わせて声を出すとまったく自分の声じゃない女っぽい声が聞こえる
「(よし、落ち着こう)」
そういいながら自分の胸にそっと手を当ててみる
「(なかったことにしよう、そうだそれがいい)」
そういいながら、俺はついさっき起きたことをなかったことにした
そして、俺はある結論に至った
「・・・・女化してる?」
俺は根源を問い詰めるべく
「なぁ、ヒメ?」
俺は終始?無言だった夜姫に話しかけ
「ッ!!」ブシュッ!
俺は壮大に吹き出した、なぜなら先程の和服姿ではなく、なぜか、姉が来ていたであろう服を着こなしていた。
白のTシャツに、ホットパンツに半袖で白のフリースが入った腰までしかない黒のジャケットにより、女らしくもかっこよさが引き立っていた、そして色々な意味で視線が宙に泳いだ、
「(やべぇ、・・・俺より服のセンスいいやん)」
「ねぇ~ヒロ~着てみたよ~」
はしゃいでる夜姫
「おぉ~流石!(直視が悩まれる)」
挑発しているとしか言いようのない?服装、これで街をあるいたらそっこうで絡まれること間違いなしな服装だ
「ねぇ~外行こうよ!」
「ッ!!(速攻かい!)」ブシュッ!
もはや考えると余裕を与えてくれないらしい
「もしかして、私のことで悩殺?されちゃったのかな?初だね~」
そう言いながら俺の周りをまわり、挑発してくる
「俺の頭がお前のことで脳(悩)殺だわ」
「いや~悲しいときは慰めてあげるよ~」
卑猥!卑猥!
「危なそうなので遠慮」
とりあえず断っといた、何されるかたまったもんじゃないからな
「ねぇねぇ~暇だし町行こうよ~」
「あぁ~ここいらへんだとそんなないぜ?」
「ありゃ~」
「ってか、よく知ってるんだな?」
「う~ん、読み取らせてもらったよ」
「俺の脳をか?」
「そゆこと~」
「(筒抜けってわけですか・・・)」
そんな中、あの二人が現れた
「あぁ~いたぁ~」
ちょっとフラフラしてる美雨姉さん
「おい、美雨姉!寝てなきゃ!」
俺は慌てて美雨姉さんの近くに駆け寄り、介抱する
「ごめん、ちょっと頼みたいことがあってね?」
「なんすか?行ってきますけど?」
「うん、申し訳ないんだけど、街に行ってきて買い物してきてくれない?」
「何をですか?」
「とりあえず、これメモだから」
そういうとなにも聞かないでというノリでメモを渡してきた
俺は咄嗟にやるべきことを確信し、部屋まで送っていく
「んじゃ、いってきます」
そういうと使ってはいけない厄災術式で、姉さんたちが俺が留守にしている間何かないように結界を貼っておく
「ヒメ、街行くぞ!」
「うそ!!ヤッター!」
子供のようにはしゃぐ夜姫だった