第一話
初投稿です。他とくらべだいぶ短いですがよろしくお願いします。
中学でいじめられた私は、不登校になった。6月3日、今日で15歳。何もせず1年が過ぎてしまった。
机の上には使いかけのノートと、ホコリをかぶった教科書が積まれている。
その横に、一枚の切符が置かれていた。
表には見慣れない文字で《異世界行き》と書かれている。裏には小さく注意書きがあった。
「この切符は片道切符である。異世界で死亡した場合、現実に帰還する」
最初はただの冗談かと思った。けれど、部屋にこもってネットで検索しても、どこにもこの切符に関する
情報はなかった。冗談にしてはリアルすぎる。
窓の外を見た。灰色の雲が広がり、どんよりとした空。遠くで子どもたちの笑い声がかすかに聞こえる。私にはもう関係のない世界だ。ふと、切符に手を伸ばした。指先が触れた瞬間、視界が歪む。
まるで水に飛び込んだように、現実が波紋となって揺らぎ、世界が反転した。
気づけば、見知らぬ草原に立っていた。遠くには石造りの城が見える。青々とした空と、草花の香り。肌を撫でる風がやけに生々しい。
「……これが異世界?」
自分の手を見ると、着ていたジャージが見慣れない冒険者風の装いに変わっている。腰には短剣が一本。
ふと視線を落とすと、草むらに同じ切符が落ちていた。
私はその切符を握りしめた。現実で居場所がないなら、ここで何かを掴んでみせる。たとえ命を落とすたびに戻るとしても。