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ご近所様は人じゃない!?  作者: 春夏秋冬
6/14

シーン5.両方一緒でいいじゃない?

「こんばんわー」


俺とフユ、アキ姉が夕食を食べていると、そんなのんびりとした声と共にボロい扉がドンドンと叩かれる音がした

ちなみにナツは毎度の如く夜遊びだ

全く困った弟だ・・・今くらいの時期を反抗期とか言うんだろうなぁ


「こーんばんわー?」


隣のテルの声だな


「はいはい、テルどしたんさ?」

「あ、ハルさん。実はカレー作りすぎておすそ分けをですね」


おお、これはよき田舎の伝統じゃないか。

最近は全然食べてなかったからこれは嬉しいおすそ分けだ


「救援物資でありますか、たいちょー」


後ろからフユが嬉しそうに言ってくるのが聞こえる

どうでもいいけど子供が漢字を並べると妙に感心してしまうのはいささか子供のことを侮りすぎなんだろうかね?


「あややー?もう夕飯食べちゃいましたかー」


俺らの様子をみて言ってるのだろう。テルがやけに残念そうに言った

だが、心配することなかれ


「いや、実は明日任務分の金が入るんでして」

「あやー」

「お金を下ろすなら明日、と思ってたら予想以上に残ってなくて」

「あややー」

「今日は納豆ご飯しか無いのです」


悲しいかな

これが本当に今日の夕食のメニューなのである


「そうです、ひもじいのです・・・・」


と、フユも乗ってくる


「・・・・・紐爺?」


またこの姉貴は何を・・・・

紐で爺さんとかある意味最悪だと思うぞ?


「てわけで、今途方にくれてたわけでして」

「納豆おいしい訳でして」

「・・・・・カレー頂戴」


アキ姉ちょっと率直過ぎやしませんか?


「だからこそ、今カレーという栄養たっぷり、かつカプサイシンで身体もホットになるすっばらしいアイテムが来て下さって感謝感激アメあられ状態なんです」

「・・・アメあられでも、ヒメあられはあんまりおいしくない・・・・・」

「それは私も同感ですー」

「えー、あたしは結構好きなのですー」


なんだこの会話?


「と、言うわけで涙流しながらも受け取りたいと思います」

「あややー。そうです、たしかうちに卵も余ってたと思うんですけど、使いますかー?」

「あー・・・カレーに卵ね。いいね、そうしようかな」

「ちょぉっとまったぁあああああああああ!!」


突然雄たけびを上げながら現れたのは、なんと夜遊び大好きのナツ君だ

なんとも近所迷惑な叫び声



「カレーに卵は邪道の極!! カレーにはカツだ!!」


ずびしっ! と挑戦的にテルに向かい指を突きつけながら我が弟は叫ぶ

行き成り現れた失礼極まりないヤツ相手にもテルはあくまでにこやかに


「あやややー?カレーには卵ですよー。完全栄養食とも呼ばれる卵と、血行を良くしてくれる香辛料。素晴らしい組み合わせだと思いませんかぁー?」


「いいや、絶対にカツだね。うま辛いルーと分厚い肉から染み出る肉汁が絡んだときのハーモニー・・・・・・・野生を感じる!これぞ身体を元気に鍛える特効薬だ!」


「カレーの卵とやわらかさが生み出すまろやかな食感・・・・・・強弱を付け合いながらもせめぎあう卵の甘みとカレーの辛味・・・・」


「カレーの染み込んださっくさくの衣を味わいながら肉と米の熱さを噛み締める・・・・っ!」

「カレーと卵こそ最高ですー」

「いや、カレーとカツこそ最強だ」


なにやら玄関前で熱く語った後ににらみ合う二人・・・なんかある意味息が合ってるのかな?

よくよく見ればわざわざナツはカツを買ってきたらしく袋を手に持っている

今日の夕飯はカレーだなんて一言も言ってないのに、コイツはエスパーか?


「ねぇ、二人ともー」

「あや?なんですかぁ?」

「なんだ妹?」


睨み合う目を逸らさずに声だけで反応する二人

バカ同士の争いなぞ歯牙にもかけず、フユはあっさりと言った


「両方入れて食べればいいじゃん」


すると二人はなんとも可哀想な感じの顔になった


「やや、で、でもですねー」

「こ、これはな?勝負で・・・」

「つべこべ言わない。おいしけりゃいいでしょ?」

「あ、あの・・・・」

「いや、だからな?」

「うるさいよ!?今あたしはお腹減ってるの。わかる?あんたら食うよ?卵みたいに割るよ?カツみたいに揚げるよ?でも食べないで捨てるよ?そして腐っちゃえ」

「あ、あやや・・・ごめんなさい」

「なんか、スイマセンっした」

「うん、わかればよろしい」


お腹減ってた妹さんの一人勝ちだとさ


自分の分と気づいたらナツとテルの会話を見ていた俺の分の納豆ご飯と、怒鳴ってたフユの納豆ご飯を一人で平らげさらにカレーを食った姉貴

ある意味一人勝ち


見えないとこでちゃっかりしてるんだよね・・・





「うぬ?、我は・・・・?」

はい、魔王様完全に一人ぼっちです。ごめんなさい

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