シーン2.クライス家はこんなヤツ等!!
「・・・・・・・焼き魚ってまるで人生みたい」
「あぁっ!?」
「・・・・・・・相変わらず怖いよナツ・・・・」
ボロい家を綺麗にしようと雑巾片手に走り回ってる俺をよそ目にふとそんなことを言ってきやがるのはソファに座ってぽけーっとしている黒い長髪の女こと俺の姉貴。アキ
思わず雑巾がけしている手を止めて姉貴を見てしまった
「姉貴、何が言いたい?」
雑巾をバケツに入れ水を絞りながら聞く
「・・・つまりね、焼き魚は美味しいよって」
「さっきと言ってる事ちがくねぇか?」
「そゆとこ気にするの・・・・ナツの悪い癖」
相変わらずに何を考えているのか察しにくい表情を俺に向けてくる
これが姉貴だと思うと頭が痛くなるのはしょっちゅうだ
「それでね、何が言いたいかというと・・・・焼き魚って作るのに手間かかるよね?」
「まぁ俺は作らないから知らないけどそうなんじゃないか?兄貴に聞け」
「うん。でね」
「・・・・・・」
長い話になりそうだと察した俺は雑巾がけを再び開始する
床はやったから今度は窓だな・・・毎度だけどなんで俺が掃除してんだ?
「焼き加減間違ったら黒焦げや生焼け・・・人生もそうでしょ?燃え尽きるか不完全燃焼か」
「あぁ、うん。きっとそうなんじゃないか?」
「・・・・ちょっと塩を加えようとしても間違えて砂糖かけたり、塩振りすぎたり・・・加減を間違うと人生の本質を失うよね・・・・」
言ってる事はよくわかんねぇけど、とりあえず難しいこといってるのは確かだ
姉貴に言われるとやけにむかつく感じるのはきっと気のせい
「で、結局はなんなんだ・・・・?」
「うん。最終的に人生って誰かに食べられちゃうんだよね」
「さりげなく酷いこと言うな・・・・なんか軽く鬱になってきたぞ・・・・」
「ふふふ・・・・・」
そういや今兄貴が魚釣ってんだっけか・・・今日は魚食いたくねぇなぁ・・・・
「って、前街に言った時誰かが言ってた・・・・」
「誰かって誰だよ?」
「・・・・誰かは誰か」
「はっきりと他人って言いやがれよっ!?」
「・・・・だから怖いよ、ナツ」
はぁ・・・たまにいるんだよな
なまじ変な本を読みまくって世界を判った気になって薀蓄を語るやつってよ
んで、偉そうかつ、的を得ているような事を言ってるんだろうけど、殆どが本人の自己満か戯言ってなぁ
「でぇ・・・・姉貴はその誰かの言葉を借りて何が言いたいわけだ?」
「・・・・・使ってみたかっただけ」
「語尾にオンプやらハートやらつけても姉貴だと威力無いぞ・・・・」
「よー、たっだいまー」
「ただいまだよーナツ君アキ君!」
勢いよく扉が開いて入ってきたのは我が家の調理係とお昼寝係の兄貴&妹だ
「あれ・・・兄貴、竿は?」
「あー・・・・・・魚に奪われた」
「ハル・・・・・・今日のご飯は・・・・?」
「猪狩ってきたから、これ食おう?」
「猪ー!ハル君凄いんだよー!こうやって猪をズバーン!ドーン!って!」
こうして4人そろうとうるさくなるのが我が家だ
さて、俺も掃除やめて料理の手伝いに移るか
・・・・魚じゃなくてよかったなんて言えないしな