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大器晩成な魔物使い  作者: ミケスケ
2/2

最後の探索の開始

<2話>


翌日。


陽が昇ると同時に待ち合わせ場所である街の中央にある碑石前に行くと、ケイジの姿が見えた。


「お、早いじゃねぇか」


「最後になるかもしれないんだから、気合入るだろ」


「ははっ、まぁ力入れすぎないように行こうぜ!」


軽口をたたきながら足を進めていたが、昼頃には目的の遺跡に到着した。


「村には寄らねぇのか?」


「・・・別に挨拶もしないよ、今更。俺は野宿するつもりだから、探索中村に泊まるなら一人でいってくれよ」


「まぁ寄りづれぇのはわかるけどよ。」


村には一日で帰れる距離ではあるが、結局家を飛び出してから一度も帰っていない。


家を継ぐ期待を裏切って勝手に出て行ったんだから、今更どの面下げて帰れるかってんだ。


ハンター辞めたとしても、帰るかどうかは別問題だな。


「そんなことより、こんな遺跡群が村の近くにあったなんて全然知らなかったよ。かなり広いだろ。なんで今まで見つからなかったんだ?」


「お前も知ってるだろ?あの村からこっち側は、カイエン帝国と国境も近いからな。好んで近づくやつもいなかったし、間にある森の魔物もやっかいだから、分からなかったみたいだぜ。?


「まぁ、確かに村でも森の方には行かないよう言われていたし、そっちに向かう奴が少ないのも分かるけど、それにしても分からないか?この規模だぞ?」


村から森を抜けてきたが、抜けた先の山間の洞窟を超えるとすぐに遺跡群はあった。見る限り、それなりの街くらいの規模はありそうだ。


「まぁもっと早く見つかっててもおかしくはないけどよ。帝国との関係もあんまりよくないみてぇだし、その辺が関係してるんじゃねぇか?ちょうど兵士は森の東西に配置されてて軍も入ってなかったようだぜ?」


なんか杜撰な気がするんだけどな。


「まぁ、ハンターからすりゃ探索できる場所が見つかって良かったじゃねぇか!魔物もそうだが、お宝とかも可能性あるだろ!」


「そりゃそうだけどな。まぁ、とりあえず入ってみるか。」


「おう!あんま細かいこと気にしてもしゃーないだろ。で、昨日も行ったが、一番でかいところはお国の管轄だから入れねぇぜ。俺らは他の小さいところな。」


ここから見て、正面に見えるのがケイジがいってる国の管轄になる遺跡だろう。確かにでかい。この一つの遺跡だけで街くらい大きい。


とはいえ、他の遺跡もどうやら平坦な構造じゃなさそうで、上も下もありそうなのでそれなりに時間がかかりそうだ。


「じゃあ右のほうから順に行ってみるか?」


数が多いし、どこからでもいいだろう。


「いくつかの遺跡はもう他のハンターが入ってるんだよ。他のハンター入った後だと、面白味も減るだろ。まだ入ってない所選んで入ってこうぜ。」


どうやら、探索開始した遺跡、終了した遺跡などは国のほうで管理しているようで、目印のような旗が立っている。


「正面のでかいやつの近くが、規模もでかそうだしそこから探してみようぜ。」


「んじゃそうするか。今日はどうする?」


「もちろん今から行くんだよ!明日にしたらまた他のハンターが来るかの知れねぇだろ?」


それは面白くないな。出来るだけ今日探索した方が良さそうだ。


「じゃあ早速行ってみようか。」


そういって、ケイジとどこから始めるか探していると、他の遺跡とは雰囲気の違う入口があった。


「あれ?これも遺跡の1つだよな?」


他の遺跡が割と人工っぽい作りをしていて、彫刻とか絵が見えるのに、そこはほとんど装飾もされておらず、ひっそりとしていた。


「なんだよ。えらく地味なところ選ぶんだな。一応遺跡扱いみたいだぜ?横穴の壁になんか彫られてるし。ま、そんな広くもなさそうだし、とりあえずこっから行ってみるか?」


「そうだな。一応注意して進もうか。」


横穴は並んで二人が歩ける程度には広かったが、ケイジが前衛、俺が後ろを警戒して前に進んだが、30分ほど進んだところで行き止まりだった。


「なんだよ。横道もなく行き止まりだぜ?こりゃ祭壇か?」


道中、魔物とも出くわさず、一本道で最深部らしきところについてしまった。奥は少し広い空間になっており、箱のようなものがある。


「あっさり着いちゃったな。ちょっと調べてみよう。」


箱の前面に文字らしきものが彫られているが、エリシオンで使われている言葉でもなく、見たこともない文字だ。象形文字のような形で、何を表しているのかさっぱり分からない。


「何か書いてはいるけど、これが何かは全然分からないな。」


「外から見たらもうちょっと広そうだったけどな。ここはハズレだったな。」


「そう言うなって。1つずつ潰していくしかないんだから。ここなら魔物も来ないだろうし、一息入れていこう。」


と、ケイジに声をかけて祭壇横の台に腰かけたところ、


・・・ガコン。


「?!」


「おいっ!!」


腰を下ろしたとたんに台がなくなった!


台のあった地面も穴が開いて、すぐに落下が始まる。あぁ、周りがすごいゆっくり動いて見えるな。走馬灯ってこんな感じかーー。


ってところでゴロゴロと7,8メートルほど落ちてしまった。落ちたところで穴もふさがり、ケイジの声も聞こえなくなる。


なんだ?だいぶ古そうな遺跡なのに、えらく高度な仕掛けだな。。


松明も一緒に落ちてきたので、拾い上げて周囲を見渡してみると、先ほどの祭壇より二回りほど大きな祭壇があった。


さっきとは全然雰囲気が違うな。上の祭壇は祭壇かどうかも分からなかったけど、こっちは明らかに何かを祀っている。


警戒しながら一歩、二歩と祭壇に近づいてみる。


・・・ザザ・・・


ん?おかしな気配がする。


・・・もう・・・近く・・・


何だ?胸に下げている黒い宝珠がうっすらと光っている。


「えっ?!なんだこの現象?どうなってる?」


助けられたハンターに貰ってから、お守り替わりにしていたが今までこんなことは一度もなかった。それが今、何か光出している。


祭壇のほうも反応するように気配が立ち込めており、宝珠も気になるが剣を抜いて警戒する。


また一歩、二歩とジリジリと祭壇に近づくと、突如祭壇の上に黒い煙が立ち上り、大きな塊に集まりだした。


突然の出来事で何も行動することができず、剣を握りしめていると、


・・・これ・・は・・・・竜の核・・・


音飛びしているような声が聞こえてきたかと思うと、黒い大きな塊は、俺目掛けて飛んできて、胸の宝珠に入っていった。


「なんだ?何が起こった?」


塊が宝珠に吸い込まれ、さっきまであったおかしな気配も完全に消え失せた。


祭壇も急に風化したように崩れ、先ほどまでの雰囲気もなくなり上と同じような状態のようだ。


黒い宝珠も特段変わったようには見えないようなので、とりあえずケイジと合流しようとあたりを見ると、祭壇の後ろ側に階段のようなものがあり、どうやら上に出られるようになっているみたいだ。


階段を上がると、祭壇の後ろ側に出口があり、ちょうどケイジが祭壇を破壊しようとしていたところに出くわした。


「おぉっ!無事だったか!急に下に落ちるから心配したぜ!何があった?」


どうやらだいぶんと心配してくれたようで、俺の落ちた台の周囲もボロボロになっており、次は祭壇まで破壊しようとしていたようだ。


「ごめんごめん。とりあえずは何ともないよ。台がスイッチになっていたみたいだね。」


出来事自体は10分程度で起こったことだったらしい。穴に落ちてからの経緯をケイジに説明すると、


「ほんとかよ!お前が落ちたと思ったら穴はなくなるし、次は開かなくなるし、どうしようかと思ってたぜ。」


「えらく高度な技術だよな?どんな原理で穴が消えたのかもよく分からないな。」


「俺も目の前で消えてないと信じられねぇよ。で、その宝珠に何か吸い込まれたって話だが、なんともないのか?」


突拍子もないことだが、話自体はケイジは信じてくれたようだ。


「あぁ、今のところ特には。」


「そうか。とりあえず、気味が悪いし、一先ずここから出ようぜ。」


そういってケイジと来た道を戻ると、出口付近に魔物がいた。ジャイアントバットとポイズンピードだ。


雑魚だったが、なんか剣が重く感じると思いつつ倒したところ、体にマナが大きく溜まる感触があった。


「えっ!?」


「どうした?怪我したようには見えなかったが?」


「・・・レベルが上がってる・・・ってあれ!?レベルが2になってる!?」


マナが全然溜まらない体質だったのが、急に溜まることを実感すると同時に、20年かけて上げたレベルが初期化されてしまっていた。


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