表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異能と青春  作者: 成海由華
アークイーター編
94/100

1.捕食者

 2065年10月。

 現在シェアハウスのメンバーは。

 到極、ティア、桜、隼人、礼夏の5人。


 先日、ある騒動があった。


 E.D.O本部が攻撃を受けたのだ。


 騒動は終息したものの、本部は半壊。

 現在もまだ修復中だった。




【第17章 アークイーター編】




 チームLのシェアハウス。

 リビングで到極とティアが過ごしていた。

 ソファーに座り、考え込む到極。


「……どうかした?」


 ティアが聞いた。


「うん、ちょっとね」


「この間のこと?」


「うん」


 ティアの問いかけに到極が頷いた。

 到極は思い出していた。

 数日前、自分たちが遭遇したある人物のことを。




 ◇ ◇ ◇




 数日前。

 到極とティアは本部近くの道を歩いていた。

 E.D.O本部からシェアハウスに帰る途中だった。


 そんな時。

 向こうからひと組みの男女が近づいてきた。


 到極と男、ティアと女の目が合う。

 互いに足を止める4人。


 数秒間の静寂。


 先に話し始めたのは男の方だった。


「――ティア、それと君が到極縁か」

「……っ!」


 その言葉を聞いて男を警戒する到極とティア。

 だが男は。


「そんな警戒しなくて良いって」


 そんな風に軽い口調で言った。

 スタイルのいい高校生くらいの青年だった。


「私たちのこと、知っているの?」


 ティアが聞いた。


「そりゃあ知ってるよ、君は有名人だからね」


 飄々と答える青年。

 だがただ軽いだけではない。

 その奥には何か底知れないものを感じた。


「何者なんですか、あなた達」

「俺か、俺は――」


 到極の問いに答えようとする青年。

 だがそんな青年を女が制した。


「ごほん、本日の任務はすでに終了しています。これ以上、安易な接触は控えるべきでは?」


 赤いふちの眼鏡をかけた、高校生くらいの女子だった。


「はぁ、わかったよ」


 その言葉を聞き、到極への回答を止める青年。


「わりぃ、そろそろ行かなきゃ。また今度な」


 そう言って歩き出す青年。

 引き止めようと手を伸ばす到極。


「ちょっと待って」


 到極のその言葉を聞き、青年が振り返る。


「なに、またすぐに会えるさ」


 そう言って去っていく青年。


「失礼します」


 女子も2人に一礼すると、青年の後を追い去っていった。

 到極とティアだけが、しばらくその場に残っていた。




 ◇ ◇ ◇




「誰だったんだろう、あの人」


 考え込む到極に桜の声が聞こえてきた。


「皆さん、お茶が入りましたよ」


 そう言って皆にお茶を配りはじめる桜。


「はい、到極さん」

「ありがとう、桜」


「はい、ティアさん」

「……ありがとう」


 桜にもらったお茶を一口飲む到極。


「うん、おいしい」

「ふふ、ありがとうございます」


 自分の淹れたお茶を褒められてうれしそうな桜。


「何か、あったんですか?」


 桜が聞いた。


「うん、大したことじゃないんだけどね」


 そう言って到極は桜に数日前のことを話し始めた。



――。

――――。



「そうだったんですね、そんなことが」


 桜が言った。

 そして少し考えてから続けた。


「あの、私にできる事があったら言ってくださいね」


「桜?」


「私、力になりますから。その、大したことは出来ませんけど……」


 5人の中で一番非力な桜。

 そんな自分が回復役以外でどう役に立てるかは分からない。


 だがもしも、そんな自分にも到極の憂いを晴らすためにできる何かがあるなら、それを精一杯したい。

 と桜は思った。


「ありがとう、桜。頼りにしてる」


 到極が言った。


「はい!」


 そんな到極の言葉に桜は嬉しそうに頷いた。




 ◇ ◇ ◇




 ある日の放課後。

 買い出しに出かけた到極たち5人。

 スーパーで買い物を済ませた帰り道。


「いっぱい買いましたね」


「これくらいいるって。そろそろ光も帰って来る頃だしな」


 そんな話をしながら歩く5人。

 辺りはすっかり暗くなっていた。


 そんな時だった。


「なんだ、あれ」


 ふと、隼人が何かを見つけて言った。

 隼人の視線の先に注目する到極たち。


 確かに何かがある気がしたがここからではよく分からない。小走りで近づく到極たち。


 そして気付いた。

 その何かを認識した。

 そして、戦慄した。


 血を流して倒れている人間。


 アスファルト上に小さな血溜まりができていた。

 だがそれだけではない。


 くちゃくちゃくちゃ。


 そんな音を立てながら人間をむさぼる白い獣。


「何なのよ、コイツ……!」


 礼夏が言った。

 ギロッ、とこちらを向く白い獣。


「ひっ!?」


 思わず後ずさる桜。

 ゆっくりとこちらに向かってくる白い獣。

 特徴的な目に大きな口。無機質な白い肌。


 2mくらいの獣が四足歩行で迫ってくる。

 だが。



――――!



 何かを察知し動きを止める獣。

 辺りを見回す。

 そして。



――ダッ!



 急に進行方向を変え、どこかに駆け出していった。


 呆気にとられる到極たち。

 だがすぐに。


「わ、私あの人を助けてきます」


 桜が言った。


「わかった。僕は距離をとってアイツの跡をつけてみる」


 到極が言った。

 あの獣によって他にも被害が出るなら、それは到極には見過ごせないことだった。


「私は桜さんに付いてる」


 ティアが言った。


「お願い」


 そう言って駆け出す到極。

 隼人と礼夏も到極の後に続いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ