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異能と青春  作者: 成海由華
生徒会長編
90/100

4.犯人探し

 東京都贈ヶ丘中学校。

 1年生の教室の前。


「あの、もう結構ですから……」


 一人の女子が言った。

 そんな女子に必死に食い下がる一人の男。


「頼むよ、見捨てないで。お願い!」


 隼人だった。

 これまで20人以上に勧誘を断られ、対象の幅を後輩にまで広げていた。それでも断られ続けていたが。

 そんな時だった。


「その子を離しなさい!」


 教室の方からそんな声が聞こえた。

 続いてこうも聞こえた。


「悪質な勧誘は校則違反のはずです」

「あんまりしつこいようなら風紀委員に突き出しますよ」


 と。

 慌てて女子を離す隼人。

 女子は逃げるようにその場から去っていった。


「ひぃ、すいません」


 向かってくる声の方に向かって謝る隼人。

 隼人の前に現れる声の主。


「あなたねぇ……って、松島先輩?」


 だが声の主は驚いたようにそんな声をあげた。

 そう言われて隼人が声の主を見る。


「お前は、神崎!」


 そこにはボーイッシュな美少女。

 到極縁のいとこ、神崎煉がいた。


「何してるんですか、こんなところで」


 神崎が聞いた。


「あぁ、実は――」


 隼人は説明した。

 ここ数日の出来事を。



――。

――――。



「呆れました。あなた本当に先輩ですか?」


 隼人の説明を聞いての神崎の第一声だった。


「そうだよ、悪かったな」


 不貞腐れる隼人。


「どうする、風紀委員に突き出すか?」


 隼人が言った。


「いえ、今回だけは見逃してあげます」


「そ、そうか。じゃあ俺は行くわ」


 そう言って立ち去ろうとする隼人。


「待ってください」


 そんな隼人を神崎が引き止めた。

 恐る恐る振り返る隼人。

 神崎が言う。


「あの、手伝ってあげてもいいですよ。部活の勧誘」


 意外だった。

 少なくとも隼人はそう思った。


「へっ…………、本当か?」


「勘違いしないでくださいね。放っておいたらまたさっきみたいな事が起きると思ったので。仕方なくですからね」


 そう言われて両手で神崎の手を握って喜ぶ隼人。


「うんうん。わかったありがとう神崎」


「本当にわかってるのかな、この人」


 神崎は心配になりながらもとりあえずは隼人に協力することにした。




 ◇ ◇ ◇




 一方その頃、到極は。


「この日、生徒会室の近くで怪しい人を見ませんでしたか?」

「この日、いつもと変わったことはありませんでしたか?」

「どんな些細なことでもいいんです」


 生徒会脅迫事件の犯人探しを行なっていた。

 だが。


「いや、見てないなぁ」

「特になかったけど」

「ごめん、いま忙しいの。後にしてくれない?」


 そう言って去っていく人々。

 到極の犯人探しは難航していた。




 ◇ ◇ ◇




 1階の廊下。


「どうだった、神崎」


 隼人が言った。


 あれから隼人と神崎はしばらくは2人で行動していた。だが事あるごとに神崎に注意されるので、隼人が手分けして探すことを提案した。


 隼人は2、3年生、神崎は1年生を当たった。


 そして今、待ち合わせの場所で合流したところだった。


「えぇ、一人入ってくれそうな人がいましたよ」

「本当か!?」


「はい。こちら、望月ふとし君です」


 そう言って神崎が隣にいた男子を紹介した。


「神崎、ちょっと」


 隼人がすぐに神崎を手招きした。

 望月に背中を向けて話す2人。


「俺言ったよね、俺はハーレムを作りたいの! なんで男を連れて来ちゃうの!」


「確かに松島先輩はそう言いました。でもこうも言いした、まずは部活の設立を第一に考えると」


「そうは言ったがあれはないだろあれは!」


 そう言って松島が望月を見る。


 恰幅のよい身体、隼人よりも大きな背丈。

 隼人が想像していた部員像とはまさに逆だった。


「そうですか? 良い人そうだと思いますけど」


 神崎が言った。

 2人が揉めていると望月が近づいてきた。


「あのー、なにかありました?」


 望月が言った。


「いえ全く。ね、松島先輩?」


「あ、あぁ。望月くん、君を部員として検討しよう。詳しい話はまた後で」


「はい、ありがとうございます」


 隼人の言葉に望月が純粋に返した。




 ◇ ◇ ◇




 帰宅後。

 チームLのシェアハウス。

 リビングで到極と礼夏が過ごしていた。


(どうして証拠が見つからないんだろう?)

(犯人は一体どんなトリックを使ったんだろう?)

(もしかして移動系の異能者が関わってるとか?)


 事件について考え込む到極。


「ねぇ、到極。お茶淹れてくれない?」


 そんな到極に向かって礼夏が言った。


「うーん」


 空返事で答える到極。


「ねぇ、到極。おーい」


 そう言って到極の目の前で手を振る礼夏。


「うーん」


 だが到極は相変わらず空返事だった。

 そんな到極の態度にむっとする礼夏。

 すかさず到極の両頬を摘んだ。


「と、う、ご、く〜っ!」


「うわっ、礼夏、痛いよ〜」


 そこまでされてようやく礼夏に意識が向く到極。


「私を無視しようだなんて、いい度胸じゃない」


「無視? えっと、何のこと?」


「全くあんたは。また周りが見えなくなるまで一人で考え込んで、相変わらずなんだから」


 半分呆れたように、半分心配そうに言う礼夏。


「どれ、私に話してみなさい。相談にのってあげるわよ」


「うん。ありがとう、礼夏。実はね――」



――。

――――。



「生徒会で色々あったとは聞いてたけど、そんな事になってたとはね」


 ひと通り話を聞いて、礼夏が言った。


「でもそれってさ――」


 そう礼夏が言いかけた時だった。

 同時に到極も話し始めていた。


「僕さ、絶対に真相を明らかにしたいんだ」


「到極……」


「だって平田さんが可哀想じゃない。平田さん、今もきっと怯えながら過ごしてると思うんだ。そして、それを解消するには犯人を捕まえるしかないと思うから」


 真剣な眼差しで言う到極。

 そんな到極を見て、礼夏は先ほど言おうとした言葉を心の奥に引っ込めた。

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