表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異能と青春  作者: 成海由華
手記争奪編
9/100

9.決戦

 廃墟の二階。


 到極と桜が部屋に入った。

 部屋には机以外ほとんど物がなかった。

 到極が机の上にあった手記を手に取った。


「これが、毒島さんの手記……」


 桜が言った。


 到極が手記をめくり、二人でそれを見る。


「「こ、これは!?」」


 到極と桜はその内容に驚愕した。

 それと同時に。

 何者かが階段を登る足音が聞こえた。


 到極と桜が敵の来襲に備える。

 二人の目の前に辰巳が現れた。


「やっと追いつきましたよ。さぁ、文書をこちらに渡してください」


「こ、ここにはなかった!」


 到極が言った。


「嘘をつくのがヘタですね、バレバレなんですよ!」


 そう言って、辰巳が到極に向かって走ってきた。

 狭い室内で長刀は不利だと判断した様で、到極に対して素手で向かってきた。


「だったら、ちからづくで奪うまで!」


 辰巳と到極が組み合う。

 到極は異能者だが、戦闘のプロではない。

 到極はパンチやキックを繰り出したが、大振りな攻撃は辰巳にダメージを与えるには至らなかった。


 それどころか。

 辰巳が到極と組み合ったまま、窓に向かって走り出した。


(まずい!)


 到極はそう思った。

 バリン! という大きな音と共にガラスが割れる。

 到極と辰巳がそのまま二階から落ちていった。




 ◇ ◇ ◇




 とある山道。

 礼夏、ティア、隼人の三人は両腕を破壊された機械兵士(機兵1)、新たな機械兵士(機兵2)の二体と対峙していた。


「隼人、あんたアイツらを羽交い締めにしなさいよ。私がまとめて撃ち抜いてあげるから」


「俺ごと倒そうとすんな、ラデ○ッツ戦のカカ○ットか俺は!」


 礼夏の提案に隼人がツッコんだ。


「冗談を言っている場合ではないわ。私の異能アークで後から出てきた方の動きを封じるから、礼夏が仕留めて」


「私に指図すんな!」


 ティアの提案に礼夏が文句を言いながら従った。


「じゃあアイツは俺一人で倒せってか?」


 隼人が機兵1としぶしぶ向き合った。


「仕方ねぇ、やってやるよ!」


 そう言うと隼人はアークを発動した。


「無限拳、啄木鳥キツツキッ!」


 隼人が一瞬で機兵1に詰め寄る。

 そして拳を高速で突き出した。


「おりゃあああああっ!」


 拳が何発も打ち出される。

 その全てが機兵1の腹部を捉え続ける。


「これで、終わりだーッ!」


 隼人が機兵1に最後の一撃を与えた。

 機兵1が吹き飛び、後ろの大木にぶつかった。

 バチバチ、という中身の機械が壊れる音と共に、機兵1は動きを停止した。




 一方、ティアは機兵2と向かい合っていた。

 異能アークで幻影の両手を作り出し、機兵2を拘束する。


「くっ、礼夏、早く……っ!」


「私に指図すんなって、言ってんでしょーが!」


 礼夏がアークを発動した。

 紫色のビームが機兵2を撃ち抜いた。

 機兵2は動きを停止した。


「さ、急ぐわよ――って、きゃっ!?」


 礼夏がよろけ、そのまま倒れ込んだ。

 ティアも地面にへたり込んでいた。

 隼人も息を切らし、その場に座っていた。


 アークは生命力や体力を消費して発動される。

 そして感情や集中力に応じて力を増減させる。

 三人は、エネルギー切れを起こしていた。


「はやく、アイツを追わなきゃ……」


 その言葉とは逆に、礼夏たち三人はしばらくその場を動けなかった。




 ◇ ◇ ◇




 廃墟の二階。

 桜が慌てて窓まで走り、窓から下を見た。


「到極さん大丈夫ですか!?」


 地上では到極がうずくまった状態から、なんとか立ち上がろうとしていた。

 桜は到極がとりあえず無事だったことにホッと胸を撫で下ろした。

 そして階段を降りて到極のもとへ向かった。


 地上では到極と辰巳が向かい合っていた。


「二階から落ちてその傷、あんたも異能者か!」


 到極が言った。

 異能で肉体を強化した到極が怪我をしているのに。

 辰巳はほぼ無傷だった。


「えぇ、いかにも。でもどんな異能か分からなければ対策のしようがないでしょう?」


 辰巳はそう言うと、背中に背負っていた長刀を抜き両手で握った。


(どうする! どうすれば良い!?)


 到極が動揺する。

 今の到極の異能アークでは刃物の攻撃を生身で防ぐことはできなかった。

 それに加えて刃物はリーチが長い。

 到極にとって、相性の悪い相手だった。


 辰巳が走る。到極に向かって。

 到極の動揺が加速する。


(やばい! このままじゃ、"死ぬ"!)


 その時だった。


「到極さん、受け取ってください!」


 桜の声だった。

 桜がそう言って何かを投げた。


 異能警棒。

 桜が持ってきていた護身用グッズだった。

 到極は警棒を受け取ると、とっさに異能を込めた。


 ガキン! と金属同士がぶつかる音がした。


 辰巳の一撃を、到極が警棒で受け止めていた。


「よかった……」


 桜の口から安堵の声が漏れた。


 到極が辰巳の刀を振り払う。

 そして今度は到極が警棒で攻撃した。


 何度も何度も、金属のぶつかる音が響く。

 到極の体には浅い切り傷がいくつも出来ていた。


 だが優勢だった辰巳が、次第に劣勢になっていた。


 動揺していた到極が落ち着きを取り戻したことで、アークの力が増大していた。

 到極の攻撃が加速し、次第に辰巳を捉え始めた。

 辰巳も必死でさばくが、徐々にダメージを受け始めていた。

 互いの武器にヒビが入る。

 打ち合うごとにヒビは段々大きくなっていった。


 そして、遂に。


「おりゃあああああ!」


 両者の最大の一撃がぶつかる。

 辰巳の刀と、到極の警棒。

 二つの武器が、同時に砕けた。


「はぁ、はぁ、はぁ……」


 無数の切り傷と打撲によって、到極の身体は多大なダメージを受けていた。


「ここから先は"拳"の勝負になりそうですね」


 辰巳が言った。


 桜は到極の様子を心配そうに見つめていた。

 到極は拳を握り、辰巳に向かって歩き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ