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異能と青春  作者: 成海由華
生徒会長編
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3.部員集め

「澄怜ちゃん!」


 織田が言った。

 織田は救急箱を手にとり、急いで平田に駆け寄った。

 平田の止血の処置を開始する織田。


 他の生徒会役員たちも心配そうに見守る。

 数分後。


「ありがとうございます、会長」


 平田が言った。


 平田の指には包帯が綺麗に巻かれていた。

 織田の迅速な対応のおかげだった。


「あくまでも応急処置だから、保健室に行ってきた方がいい」


「はい」


 織田の言葉に平田が返した。


 差出人不明の封筒。

 その中にはカミソリの刃と一緒に一枚の紙が入っていた。


――生徒会選挙を中止しろ


 そう書かれた紙が。


「一体誰がこんなことを」


 役員の一人が言った。

 それに続いて、他の役員たちもそれぞれ不安を口にし始めた。


 そんな様子を見て。

 到極は静かに拳を握っていた。


(なんて酷いことを……)


 そして誓った。


(犯人は、僕が絶対捕まえる!)


 と。




 ◇ ◇ ◇




 翌日。

 東京都贈ヶ丘中学校。

 職員室。


「監視カメラの映像を見せてほしい?」


 水沢先生が言った。


「はい、お願いします」


 そう言って到極は水沢先生に頭を下げた。


 昨日、差出人不明の封筒が生徒会室に置かれていた事件。

 その犯人を探すためだ。


 騒動の事は教師たちも知っていた。

 先生と交渉し、映像の一部を見せてもらえることになった到極。


 監視カメラの映像に目を通す。

 だが。


「そんな……!」


 その映像に、怪しい人物は誰一人として映っていなかった。




 ◇ ◇ ◇




 帰宅後。

 チームLのシェアハウス。

 到極と隼人がリビングで過ごしていた。


「うわぁああん! 到極、助けてくれぇ!」


「うわっ、どうした隼人」


「駄目だった、駄目だったんだよ! 新部活の設立!」


「あぁ……。まぁ、あの内容じゃなぁ」


 申請書は到極も見せてもらっていた。

 その内容を思い出し、到極が言った。


「何とかしてくれ到極、俺の夢のために!」


「うーん、そうだなぁ……。そういえば隼人、校則は読んだ?」


「校則?」


「うん。ほら、生徒手帳に書いてあるやつ」


 そう言って到極は生徒手帳を取り出し、隼人に見せた。


「ほらここ。新部活動の設立に関するルールも細かく決まってるんだ」


 到極が校則の一部を指差した。


・部員が5人以上いること。

・部室があること。

・顧問がいること。


「これらを満たさない限り、新しい部活は認められない。一応、これを満たさなかった場合でも、同好会なら設立できるみたいだけど」


 到極が言った。

 だが同好会は部活と違って部費が出ない。


(このままではお茶やお菓子、ボードゲームやカードゲーム、プールや温泉。それらを楽しむという俺の夢が……)


「うーん、悩ましいな」


 悩む隼人。

 そんな隼人に到極が提案した。


「じゃあ、せめて部活名を《ボランティア部》にするのはどう? これは去年まで実際にあった部活だからゼロから作るよりも申請が通りやすいと思う」


「なるほど」


「ただ、ボランティア部として申請する以上、毎月慈善活動をすることにはなると思う」


 それを聞いて渋い顔になる隼人。


「それくらいやったら? まず部活を設立すること、それを第一に考えるならね。ずるい考え方かも知れないけど、それ以外の日は自由に活動できるんだし」


 到極が言った。


「確かに、そうだな。迷っててもしょうがねぇ。まずは部員の勧誘だ!」


 隼人が言った。

 明日からの予定は決まったようだった。




 ◇ ◇ ◇




 翌日。

 東京都贈ヶ丘中学校。

 2年3組の教室。


「何かな、話って」


 一人の美少女が言った。

 その少女の向かいには松島隼人が立っていた。


椛島かばしまさん、俺と一緒に青春しませんか?」

「へっ?」


 隼人の言葉に思わず困惑した表情を見せる正統派美少女、椛島。

 構わず隼人が続けた。


「俺の作った新しい部活に入ってください、お願いします!」

「え、えーと、ごめんなさい」


 椛島が言った。

 隼人は撃沈した。




 2年5組の教室。


「なんですの、わたくしに話だなんて」


 一人の美少女が言った。


高円寺こうえんじさん、俺の作る新部活に入りませんか? ぜひお願いします!」


「お断りしますわ。わたくし、すでにいくつもの部活を掛け持ちしてますの。これ以上は」


 隼人の言葉にお嬢様風美少女、高円寺が返した。


「そこをなんとか……」

「しつこい。結構ですわ!」


 高円寺が言った。

 隼人は撃沈した。




 2年2組の教室。


「新しい部活?」


 一人の美少女が言った。


「はい、清水しみずさん。もし良かったら、本当にもし良かったらで良いんですけど、新しい部活に……」


「気持ちはうれしいんだけど、私いま色々と忙しくてさ」


 隼人の言葉にモデル風美少女、清水が答えた。


「そ、そうですよねぇ……」

「せっかく誘ってくれたのに、わるいな。ごめん」


 清水が言った。

 隼人は撃沈した。




 その後も隼人の勧誘失敗は続いた。




 ◇ ◇ ◇




 帰宅後。

 チームLのシェアハウス。


「よし、できた……!」


 大きな鍋の中身をお玉でかき混ぜながら、桜が言った。


「皆さーん、晩ごはんが出来ましたよー。一緒に食べましょう」


 桜が食卓に皆を呼ぶ。

 続々と集まるメンバー。


 食卓には人数分のカレーライスが用意されていた。


「今日は隼人君の好物のカレーにしてみたんです」


 桜が言った。


「わぁ、美味しそう」


 到極が言った。

 だが、当の隼人は。


(今日だけで10人に断られてるぞ、どうする)


 新部活のことで頭がいっぱいで、それどころではないようだった。


「「いただきます」」


 食事が始まっても。


「いかがでしょう?」


 桜が隼人に聞く。


「え? あー、うまいうまい」


 隼人は空返事だった。


「ごちそうさま。じゃあ俺は部屋に戻ってるから」


 そして一杯食べるとそそくさと自分の部屋に帰っていった。


(光さんが作った時はいつもおかわりするのに)

(あまり口に合わなかったのかな……?)


「あんまり、美味しくないですか?」


 桜が到極たちに聞いた。


「そんなことないよ、おいしいよ。ね?」

「えぇ、とてもおいしいわ」

「いつも通りだと思うけど?」


 フォローする到極、ティア、礼夏。


「う〜ん……?」


 何かいけなかったのか、と。

 桜はしばらく自分の作ったカレーを見つめていた。

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