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異能と青春  作者: 成海由華
生徒会長編
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1.織田統華

更新再開しました。

 2065年9月。

 現在のチームLのメンバーは。

 到極、ティア、桜、隼人、光、礼夏の6人。

 なのだが……。


「それじゃあ、そろそろ行くね」


 シェアハウスの玄関で光が言った。

 帽子を被り上着を羽織った光。

 その横にはキャリーケースがあった。


 今日は光が別任務に出発する日だった。


「忘れ物ないですか? 着替えとか歯みがきセットとか」


 桜が言った。


「大丈夫、全部持ったよ」


 光が桜に返した。


「これ、もしよかったら移動中に食べて」


 そう言って光にお菓子を渡すティア。


「光ならきっと大丈夫、気をつけてね」


 到極が言った。


「ありがとう、2人とも」


 光が言った。

 そして桜を見て続けた。


「私がいない間、みんなのご飯をお願いね」


「はい、任せてください♪」


 桜が胸を張って答えた。

 それを聞いて安心した様子の光。


「じゃあ、いってきます」


 そう言って光は玄関の扉を開けた。

 こうして光は別の任務へと出発していった。




【第14章 生徒会長編】




 東京都贈ヶ丘中学校。

 休み時間。

 到極、ティア、桜、礼夏の4人は廊下を歩いていた。


 他愛のない話をしながら廊下を進む4人。

 そんな時だった。


 廊下の先に一人の女子生徒が見えた。

 その女子もこちらを認識したようだった。

 そして、その中に到極を発見するなり。



「君は!」


 そう言って到極目掛けてずんずんと向かってきた。

 そのまま到極にハグする女子。


「むぐっ」


 その女子は4人よりも大きかった。

 結果、その女子に包まれたような体勢になる到極。


「んー、んー!」


 女子に覆い被さられながら悶える到極。


「はわわ……///」

「……ずるい」

「な、ななな何なのよこれ!」


 桜、ティア、礼夏が言った。

 だがそんな3人のリアクションなど気にせず。


「君は最近学校を休みがちだったからな、心配していたのだぞ」


 そう言いながら、その女子は到極を抱きしめ続けていた。


「とにかく離れて。は、な、れ、な、さ、い、よ!」


 強引に2人を引き離す礼夏。


「ぷはっ!」


 顔が露わになり、数秒ぶりにしっかりと息を吸った到極。危うく窒息するところだった。


「すまない。つい嬉しくてな、悪かった」


 女子が言った。

 謝罪は真剣でふざけた感じはなかった。


「い、いえ。ちょっとびっくりしましたけど」


 その様子を見て、到極がそう返した。

 だがその横で。

 礼夏だけはまだ怒りをおさめていなかった。


「そもそも何なのよアンタは!」


 女子につっかかる礼夏。

 だが。


「って、あれ?」


 礼夏が何かに気付いた。

 その女子の顔に見覚えがあったのだ。


 礼夏が転校してきたのは夏休み明け。

 まだ1ヶ月ほどしか経っていないのに。


 そう思い、記憶を遡ろうとした時だった。


「会長ーっ!」


 そんな声と共に一人の女子がこちらに向かって来た。


「え? 会長?」


 礼夏が思わず言った。

 それに答えるように目の前の女子が言う。


「いかにも。私は東京都贈ヶ丘中学校第99代生徒会長、織田統華(おだとうか)だ」


 織田統華(おだとうか)

 黒髪ロングヘアーの中学3年生。

 この学園の生徒会長だった。


「探しましたよ、会長」


 先ほどこちらに向かっていたもう一人の女子。

 その女子が織田の隣に来て言った。


「すまない澄怜すみれちゃん」


 織田が言った。


 平田澄怜(ひらたすみれ)

 前髪ぱっつんヘアーの中学2年生。

 こちらは生徒会副会長だった。


「それで、さっきのはどういう事ですか!」


 礼夏が織田に言った。


「ん?」


「だからその、到極こいつのこと、抱きしめたりなんかして……」


 もじもじしながら言う礼夏。


「ああ、あれは本当に嬉しい気持ちがあふれてしまってな。驚かせてしまってすまなかった」


 織田が言った。

 それから詳しい理由を話すに当たって到極に確認をとった。


 この場で話していいか。

 ティアたちに聞かれていいか。

 もし途中で嫌になったら止めてくれ、と。


 到極は別に構わないと答えた。


 というか、到極も知りたかった。

 今までほとんど接点のなかった生徒会長が、なぜ急に自分に接触してきたのか。


 到極の答えを受けて、織田は話し始めた。


「君が1年生の頃、何度か君を見かけたことがあった。その時の君は目に光がない感じがしたんだ」


 織田の感覚は当たっていた。

 当時の到極は番莉奈つがいりなを救えなかった心の傷が今よりも癒えていなかった。


 まるで今にもどこかに消えてしまいそう。

 織田はその時の到極にそんな危うさを感じていた。


「そんな君が2年生になって明るさを取り戻したかと思えば、今度は遅刻や欠席が増えたと聞いていたからな」


 確かに、と到極は思った。

 4月、ティアとの出会いから自分は少しずつ変わっていった気がする。そして最近は日に日に激しさを増す異能バトルのせいで学校を休みがちになっていた。


 織田はそんな到極を心配し、再び元気な姿を見られたことを喜んだ。という事だった。


「……詳しいんですね、到極君のこと」


 ティアが言った。


「到極君だけじゃないさ。私は生徒会長だからな。この学園の生徒のことは色々と気にして見ているさ」


 織田が答えた。


「知らず知らずのうちにご心配をおかけしていたんですね。すみません。僕はもう大丈夫ですから」


 そう言って拳を握り、元気さを表現する到極。


「あぁ、そのようだね」


 織田がしみじみと言った。




「会長、ティアさんの件ですが」


 到極と織田の話がひと段落したところで、平田が口を開いた。


「あぁ、そうだったね」


 そう言って今度はティアの方を向く織田。

 そして続けた。


「ティアさん。もし可能なら、少しのあいだ生徒会を手伝ってもらえないだろうか」


「私が、ですか?」


 聞き返すティア。

 そんなティアに平田が説明する。


「ティアさん。あなたはこの半年間、数々の優秀な成績を修めました。あなた以上に生徒会に相応しい人材はいません。力を貸していただけませんか?」


 少し考えるティア。

 そして到極の方を向いた。

 到極に意見を求めていた。


 到極は「ティアの好きにしていいんだよ」という意味を込めて頷いた。

 それを受けてティアが口を開く。


「私は、構いません」


「ありがとう、ティアさん」

「ありがとうございます」


 織田、平田が言った。


「早速ですが、可能なら今日の放課後からお願いできますか?」


 そんな平田の問いかけにティアがこくりと頷いた。

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