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異能と青春  作者: 成海由華
王女護衛編
76/100

1.リゾート

 ヴァルデリア王国。

 ヨーロッパに位置するこの国が今回の舞台だった。


 美しい海岸、可愛らしい街並み、温暖な気候。

 豊富な海産物や西洋野菜を使った名物料理。

 日本に次いで平和といわれる治安の良さ。


 旅行先としても大変人気の国だった。


 そんな国で。

 到極たちはリゾートを満喫していた。




【第6章 王女護衛編】




「海だー!」


 そう叫んで海に飛び込む隼人。

 浮き輪に乗ってプカプカと浮かぶティア。

 日焼け止めを塗っている光。


 ティアはビキニスタイルの水着を着用していた。

 上がキャミソールの形状をしているタイプだった。

 光は逆に少し大人っぽいデザインの水着だった。


 そんな3人を浜辺から見守る到極。


「楽しそうだなー」


 パラソルの下で到極が呟いた。

 白い砂浜の先に、青い海がどこまでも続いていた。


 ここは王族のプライベートビーチ。

 本来、一般人の立ち入りは許されていない。


 ではなぜ到極たちがこの場所にいるのか。

 その答えは1ヶ月前にあった。




 ◇ ◇ ◇




 2065年7月。

 到極たちはシェアハウスに集められていた。


「今回の任務はヴァルデリア王国王女の護衛だ」


 到極たちを集めた本部の職員が言った。


 名は花咲影美はなさきかげみ

 E.D.O本部の研究員で、花咲光の姉だった。

 影美は今回の任務の説明に来ていた。


「王女の護衛、ですか……」


 到極が言った。


「王女様なら護衛はすでにいると思うんですけど」

「その話がなんで日本の俺たちに?」


 桜と隼人が聞いた。


「無論、王室には大勢の護衛がいる。だがその中でも『異能を使える護衛』は少ない」


 影美が言った。


 さらに、国王と王妃にはこれから外交のため外国を訪問する予定があるらしい。そうなれば『異能を使える護衛』は2人に同行する。


 その間、国内には王女を守るための『異能を使える護衛』が居なくなる。という事らしい。


 ゆえに王室は日本に協力を求めた。

 普段から様々な分野で協力し、友好関係にある日本に。


 このような流れで。

 1ヶ月後、到極たちは王国に向かう事になった。


 用件を伝えると、影美はすぐに帰ってしまった。


「………………」


 そんな姉の後ろ姿を、光は寂しそうに見つめていた。




 ◇ ◇ ◇




 王国内のプライベートビーチ。


 ビーチの開放は、護衛を引き受けた到極たちに対する王女からの御礼だった。


 座ってみんなの様子を眺めている到極。

 そんな到極を覗き込むように、桜が声をかけた。


「到極さんは海、入らないんですか?」


 桜も水着姿だった。

 ビキニスタイルで、下がショートパンツの形状をしているタイプだった。


「うん。僕、泳げないから」


 到極が言った。


「あ、そういえばそうでしたね」


 桜が言った。

 桜は少し考えて、改めて口を開いた。


「では、あちらはどうです?」


 桜が指を差す。

 そこは浅く波も穏やかなエリアだった。

 沖の手前に岩があり、流される心配もない。


「あそこなら一緒に遊べませんか? もちろん、無理にとは言いませんけど」


 桜が提案した。


(こんな綺麗な海に入れる機会なんて滅多にない)

(あそこなら溺れる心配もない……はず)

(この機会に入ってみようかな?)


 そんな風に到極が迷っていた時だった。


「なんだ桜、あっち行くのか?」


 隼人が声をかけてきた。


「はい、あそこなら到極さんも一緒に遊べるかと思って」


 桜が言った。


「そういう事か。なら、さっさと行こうぜ」


 そう言って隼人が到極の手を掴んだ。


「ちょ、ちょっと待ってよ、隼人ー!」


 隼人に引っ張られ、砂浜を歩き出す到極。


「えー、わたしを置いてかないでくださいよー」


 そんな2人を後ろから追いかける桜。

 隼人に強い力で引かれながら。


(まったく強引だな、隼人は)


 到極が心の中で呟いた。

 だが不思議と、悪い気はしなかった。



――。

――――。



 それから、到極は膝の辺りまでの深さの水に入り、海の生き物を見つけたりして遊んだ。

 泳げる者は競争したりもした。

 そのあとは5人全員でビーチバレー。


 到極たち以外に、このビーチに一般人はいない。

 居るのは離れた場所で警備しているSPだけだ。


 SPの厳重な警備の間を堂々と通り、一人の老紳士が到極たちの元にやって来た。


「チームLの皆様。お車が到着いたしました」


 老紳士は王室の執事だった。


 いよいよこれから、今回の任務が始まろうとしていた。


 シャワーを浴び、着替える到極たち。

 その後、車に乗り宮殿へと向かった。


 車は黒塗りの高級車だった。

 車内は特別な仕様で、冷蔵庫などが付いていた。

 はしゃぐ隼人。反対に、到極は何だか落ち着かなかった。




 ヴァルデリア王国。

 その王族が住む宮殿に車が到着した。


 雄大で煌びやかな造り。

 敷地内には石像や噴水が配置され。

 広大な庭園には花々が咲き誇っていた。


 そんな宮殿の扉の前に、到極たちは降り立った。


 数羽の綺麗な鳥たちが上空を飛んでいた。

 まるで到極たちを歓迎してくれているようだった。


 今日はいつもの私服姿ではない。

 到極と隼人はスーツ。

 ティア、桜、光はドレス姿だった。


 巨大な扉が開く。

 老執事に促され、宮殿に足を踏み入れる。




――――――。


――――。


――。




 そこにいたのは、一人の美しい少女だった。

 ヴァルデリア王国の王女。


 王女はドレス姿だった。

 頭にはティアラ、首にはネックレス。

 そのどちらにも大きな宝石が輝いていた。


 王女が到極たちに近づく。


「シルヴィア=ケツァール=ヴァルデリウスと申します。皆さんを歓迎しますわ。ようこそ、ヴァルデリア王国へ」


 王女が到極たちを歓迎した。

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