4.再戦
E.D.O(異能者研究開発機構)本部。
本部に到着した到極と浜松。
すぐにティア、桜と合流した。
本部はいつもより人が少なかった。
今も町で暴れているハイウォーカーと戦うため、何人もの異能者たちが出動していたからだ。
その後、遅れて隼人と光も合流した。
2人とも包帯や絆創膏をしていたが、到極ほど大きな怪我ではなかった。
なんとか上手く逃げ切れたらしい。
お互いが無事でホッとする6人。
そんな中、本部の職員から「これからあの"謎の生物"に関する会議が行われる」という話が伝えられた。
到極たちは会議室へと向かった。
会議室には到極たちチームLのメンバーの他にも多くの人がいた。
他のチームのメンバー。
本部の職員、研究員。
その中にはオペレーターの本崎もいた。
「現在判明している事を説明します」
本崎が言った。
「あの生物の名は"ハイウォーカー"。」
通称ですが。と付け加えながら本崎が言った。
だが実際のところ。
E.D.O本部もハイウォーカーについて、まだほとんど分かっていなかった。
わかっているのはいくつかの特徴だけだ。
その内の一つ。
「彼らの最大の特徴は、異能の影響をほとんど受けないその体質です」
本崎が言った。
会議室の正面にあるプロジェクター。
そこにハイウォーカーに関する情報を映しながら。
「それで、具体的にどれくらい異能が効きにくいんだ?」
別チームの一人が言った。
「普段の異能を100とした場合、ハイウォーカーに届くのはその内のおよそ5%」
本崎が言った。
「たった5%だって! それじゃあ普段通りの戦いをしようと思ったら、いつもの20倍の異能の力が必要ってことじゃねぇか!」
別チームの男が言った。
彼だけではない。
会議室内がざわつく。
この場にいる多くの異能者が動揺していた。
そんな中、一人の女性が言った。
「異能を使わない攻撃なら、効果を期待できませんか?」
確かに、ハイウォーカーの一番の強みは異能に対する頑丈さだ。
なら、それ以外の方法で攻撃すればいい。
だが。
「先ほどハイウォーカーと警官が交戦した際、警官が拳銃を発砲。しかし銃弾は貫通することなく弾き返された。との記録があります」
本崎が資料を見ながら言った。
「異能もダメ、異能以外もダメ。それじゃあ一体どうしたらいいんだ!」
別チームの男が言った。
彼以外の異能者たちも思い思いの言葉を喋り始めた。
別の方法を提案する者。
諦めたような言葉を発する者。
会議室が騒がしくなってきた。
そんな喧騒の中で、到極は考えていた。
(普段の20倍の異能か、拳銃以上の武器。か……)
そんな中、会議室に連絡が入った。
「交戦中だった異能者や警官らが敗北、突破を許したそうです」
連絡の内容を本崎が読みあげた。
「そんな……」
本崎の言葉を聞き、会議室は再びざわついた。
「まずいな、このままだとどんどん被害が大きく……」
誰かがそんな事を言った時だった。
突然、到極が立ち上がった。
「到極さん!?」
思わず桜が言った。
到極がティアや桜の方を向く。
そして。
「僕、行ってくるよ」
そう言った。
そう言って走り出そうとする到極。
だがそんな到極を誰かが掴んで引き止めた。
振り返るとそれは隼人だった。
「ちょっと待て。お前だけに行かせるかよ」
隼人が言った。
隼人だけではない。
その周りでティア、桜、光、浜松も頷いていた。
「よし、みんなで行こう」
「「おー!」」
到極の言葉にチームLの皆が返した。
6人が会議室の扉へと向かう。
扉の前に来たところで、到極がふと立ち止まった。
そして聞いた。
「本崎さん。その、アイツの正体って……」
到極が本崎に尋ねた。
異能者は、異能が暴走する事がある。
暴走のパターンは様々だが、その一つに『見た目が変化する場合』がある。
到極は、ハイウォーカーが"実は暴走してしまった異能者"ではないか。という可能性を心配していた。
そんな不安を含んだ言葉に対して、本崎が答える。
「詳しい内容は現在調査中です。ですが現在判明している情報によると、ハイウォーカーの遺伝子は人間とは異なる部分が多いそうです。人間とは別の生物と考えられます」
それを聞いて、到極の心が少し晴れた。
「分かりました、いってきます!」
到極が言った。
6人が会議室を出る。
そして皆がハイウォーカーのいる地点へ向かおうとする中。
「ちょっと先に行ってて、すぐ追いかけるから」
本部の曲がり角で、到極が言った。
その言葉を受けて、先に目的地に向かうティアたち。
そして一人、到極だけが反対方向『桂木の研究室』へと向かって行った。




