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異能と青春  作者: 成海由華
ハイウォーカー編
56/100

2.圧倒

 数日後。

 E.D.O本部。


 到極と浜松は1階にいた。

 互いの用事を終え、合流した所だった。


「到極君って、この後予定ある?」


 浜松が聞いた。


「特にないよ」


 到極が言った。


「だったらさ、一緒にお昼食べてかない?」

「行ってみたい所があるんだ」


 浜松が笑顔で提案した。


――。

――――。


 駅前。

 この辺りに新しいお店がオープンしたらしい。


「ほらここだよ、ここ」


 浜松が指をさして言った。


魔法使いのウィザードパスタ』。

 この店が今回の目的地らしい。


「一度来てみたかったんだー」


 浜松がうれしそうに言った。


「さ、行こ行こ」


 浜松が到極を引っぱるように入店した。

 店内に入ると席はほとんど埋まっていた。


 店員に案内され席に着く2人。

 よく見ると若い女性客が多かった。

 少し場違い感を覚えながらメニューを開く到極。


「私はこれ『今月のおすすめ 海老とムール貝のシーフードパスタ』。到極くんは?」


 店の雰囲気を楽しみながら、浜松が言った。


「え、あぁ、これにしようかな『ほうれん草とベーコンの和風パスタ』」


 店の雰囲気に飲まれながら、到極が返した。


――。

――――。


 数分後、商品が運ばれてきた。


「おいしそう! いただきまーす」


 満面の笑みで言う浜松。


「おいしい! 到極くんも一口食べてみなよ、はい」


 小皿に取り分け、到極に渡す浜松。


「来て大正解だね。かなり話題になってたもんね」


 そう言いながら、パスタを頬張る浜松。


(浜松さんがうれしそうでよかった)

(浜松さんと2人で食事って、隼人が知ったら羨むだろうな)


 浜松を見ながら、到極が思った。

 そして。

 今度は到極も、パスタを取り分け浜松に渡した。


「ありがとう、うん、こっちもおいしい」


 浜松が言った。


「ところでさ、一つ聞いてもいい?」


 そう言って、浜松が話題を変えた。


「この前の話【第四艤装】を使えなくていいって話。あれ、どういう事?」


 異能を学び、探究し、成長することに喜びを感じる浜松にとって、到極の考えは理解し難いものだった。


 浜松の問いに、到極が答える。


「僕が異能を使うのは誰かのためだから」


 そう。

 到極が戦うのは、いつも誰かを守るため。


 攻撃もあくまで敵を無力化するためだ。

 相手を破壊したり命を奪うためではない。


 そんな到極に、これ以上の力は不要だった。


「ふーん、そっか」


 浜松が言った。


「変、かな?」


 到極が聞いた。


「ううん、到極君らしくていいと思う」

「そうかな、ありがとう」


 例え真逆の価値観であっても、相手を尊重する。

 それが浜松の魅力の一つかも知れなかった。



「「ごちそうさまでした」」


 食事を終えた2人。

 会計を済ませ、店を出る。

 すると。


「きゃー!」

「助けてくれー!」


 そんな声とともに、大勢の人々が押し寄せてきた。

 何かから逃げている様子だった。


 到極と浜松がアイコンタクトを取る。

 次にとる行動は決まった。


((困っている人たちを助ける!))


 2人が同時に走り出した。




 ◇ ◇ ◇




 逃げ惑う人々の間を縫うように。

 騒動の中心に向かって走る到極と浜松。

 ようやく人混みを抜けた2人。


 そこには。


 道路に倒れる人々の姿があった。


 そして、さらにその向こうから。

 ゆっくりと何者かが歩いてきていた。

 近づいて来る足音。


 到極と浜松が、遂にその姿を捉える。


 白く無機質な肉体。

 表情を読み取れない不気味な顔面。

 身長2mほどの人型の生命体。


 ハイウォーカー。

 そう呼ばれる事になる生物だった。


 2人に向かって、ゆっくりと向かって来る。

 突然の出来事に動揺し、固まる2人。


 だが。

 突如、ハイウォーカーの前に3人の男が現れた。


 動きを止め、男たちと対峙するハイウォーカー。

 ハイウォーカーが標的を男たちに変更した。


 ハイウォーカーと男たちの戦いが始まった。


 男たちは3人とも異能者だった。

 異能を駆使しながらハイウォーカーに立ち向かっていく。


 1人は大学生風の青年。

 アーク名 炎舞。

 身体に炎を纏い、ハイウォーカーと接近戦を繰り広げる。


 もう1人はスーツ姿の会社員の男性。

 アーク名 暴風雨ハリケーン

 風を発生させ、距離をとってハイウォーカーを攻撃していく。


 最後の1人は作業服を着た男性。

 アーク名 筋肉岩マッスルロック

 両腕を岩に変化させ、ハイウォーカーに立ち向かう。


 3人は偶然この場に居合わせたようだった。

 最初はバラバラに戦っていた3人。

 だが徐々に連携して攻撃するようになっていった。


 しかし。


 ハイウォーカーは無傷だった。


 3対1を物ともせず、互角の戦いを繰り広げるハイウォーカー。

 攻撃を受けても苦しむ素振りをみせず。

 攻撃のキレやスピードが落ちる事はなかった。


 このままでは3人が先にやられてしまう。

 到極と浜松はそう思った。


「浜松さん、僕たちも!」

「うん!」


 到極の言葉に浜松が答える。


 到極が走り出した。

 そして大学生風の青年の元へ駆け寄る。


「君は? 早く逃げた方がいい!」


 到極を見るなりすぐ、青年が言った。


「僕も戦います」


 その言ってファイティングポーズをとる到極。

 その両手には異能の力が満ちていた。


「……わかった、一緒に戦おう!」

「はい!」


 到極の考えを受け入れ、共闘を提案する青年。

 到極もそれにすぐに返答する。


 ハイウォーカー打倒を目指す、5人の共闘が始まった。


「僕はこの距離から、アイツに攻撃を続ける」


 スーツ姿の男性が言った。

 男性はこの間も雨と風でハイウォーカーを攻撃し続けていた。


「早く、俺がコイツを押さえている内に!」


 作業服姿の男性が言った。

 男はハイウォーカーを羽交い締めにし、何とか動きを抑え込んでいた。


「行くぞ」

「はい!」


 大学生風の青年のかけ声に答える到極。

 2人でハイウォーカーに向かっていく。


 交互に攻撃を繰り出す2人。

 2人の連続攻撃がハイウォーカーを打つ。


 その間も遠くから攻撃を続けるスーツ姿の男性。

 背後からは作業服の男性も攻撃を喰らわせていた。


 4人の攻撃がハイウォーカーに降り注ぐ。


 そんな3人の後ろ。

 スーツ姿の男性の近くで、力を溜めている浜松。

 そして。


「みんな避けて」


 浜松が言った。

 その言葉を受けてハイウォーカーから離れる3人。


 浜松の右手は光輝いていた。

 自身の異能の力を宿した光だ。


「うおりゃーっ!」


 その光を勢いよくハイウォーカーに向かって飛ばす浜松。


【第二艤装】。

 斬撃を確定する異能。


 これが浜松の全力だった。

 浜松の攻撃が、ハイウォーカーに命中した。

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