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異能と青春  作者: 成海由華
ハイウォーカー編
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1.襲来

 2065年。夏休み。

 到極、ティア、桜、隼人、光、浜松。

 現在シェアハウスには6人が暮らしていた。


 まだ礼夏と出会う前の今日。

 到極は浜松と共に本部を訪れていた。




【間章 ハイウォーカー編】




 E.D.O本部。


 資料室。

 部屋には本棚がいくつもあり、中には大量の書類が並んでいた。

 パソコンも何台も置かれていた。


 到極と浜松はこの部屋にいた。


 今日は浜松の提案で、異能に関する資料を閲覧しに来ていた。

 自分たちの異能についてより深く知ることで、今後に活かそうという狙いだった。


 それから、2人以外にもう1人。


 本崎早紀ほんざきさき

 E.D.Oのオペレーターの少女。

 彼女もこの場にいた。


 本崎がパソコンの前に座り、操作する。

 2人は本崎の後ろから画面を見つめていた。


「これです」


 本崎がそう言って画面を見せた。


「これが、到極くんの異能の可能性……」


 浜松が言った。

 現在3人は到極の異能『解放因子(アークマター)』について調べている所だった。


 見ていた資料は《異能図鑑アーカイブ》。

 現在確認されているすべての異能が記録されているネット上のページだ。

 異能省の公式サイトから見る事ができた。


 それによると。


解放因子アークマターの【第三艤装】を使える異能者は現在70名ほど」


 本崎が資料を読み上げた。


「意外といるんですね」


 到極が言った。


「それが【第四艤装】になると、たったの3名」


 本崎が次のページを読んだ。


「一気に減りましたね……」


 到極が言った。


「それでどんな能力なんですか? その【第四艤装】って」


 浜松が聞いた。



 それを受け本崎が説明する。


「おさらいになりますが【第三艤装】は自分の全身にある異能の力を一点に集める能力です」


「それに対して【第四艤装】は周りにいる他者の異能の力まで全部自分へ集めてしまう能力のようですね」


「それも単なる足し算ではなく掛け算。自分とは別の力が混ざり合う事で威力は倍々に、指数関数的に増加するようです」


【第三艤装】が到極にとっての必殺技なら。

【第四艤装】は超必殺技になり得るものだった。



 それを聞いて。

 浜松が高揚しながら言う。


「すごいよ、【第四艤装】を使えるようになったら、到極君はもっと強く――」


 だが。


「僕には必要ないかな」


 到極はそう答えた。

 それは浜松の想定していた回答とは違った。

 そんな到極を、浜松は不思議そうに見つめていた。



ーーーーーー。


ーーーー。


ーー。



 調べ物を終え、3人は資料室を出た。


「また知りたい事があれば聞いてください」

「はい、ありがとうございました。本崎さん」


 本崎の言葉に到極が返した。

 そうして、到極たち3人は資料室を後にした。




 ◇ ◇ ◇




 桂木天の研究室。


 その入口に到極はいた。

 先日、桂木からここに来るように言われていた。

 到極が扉の前に立っていると。


「やー到極くん、来てくれたんだね」


 研究室の中から桂木の声が聞こえてきた。


「さあ、入って入って」


 桂木の言葉と共に扉が開いた。


「おじゃまします」


 そう言いながら研究室に入る到極。


「何ですか、博士。僕に頼みたいことって」


 研究室に入ってすぐ到極が言った。

 すると奥から桂木が歩いてきた。


「これこれ、今日はこれを試して欲しかったんだ」


 そう言って手に持っていた物を見せる桂木。

 それは"金属製のグローブ"のような物だった。


「何ですか、これ?」


 到極が聞いた。


「これは《属性付与(マテリアルギア)》といってね――」


 そう言って桂木は説明を始めた。


 《属性付与(マテリアルギア)》。

 それは異能にまつわる新技術。

 異能の力に別の要素を加えることが出来る。

 だがまだ開発中で完成には至っていないらしい。


 この技術が実現すれば。

 到極の異能+炎の力。

 浜松の異能+氷の力。

 など、様々な応用が可能になる。


「へぇ。そんなにすごい物なんですね、これ」


 到極がグローブを眺めながら言った。


「それじゃあ始めるね。到極くん、右手を出して」


 桂木が言った。

 指示通り右手を前に出す到極。

 出された手に桂木が《属性付与》を取り付ける。


「いくよ」


 桂木が言った。

 それに頷く到極。


 桂木がスイッチを入れた。

 勢いよく作動する《属性付与》。


「これが、新しい力……!」


 今から目撃することになるであろう新技術に期待を膨らませる2人。


 だが。

 プシュー! という音を立て《属性付与》は動作を停止した。


「またダメかー」


 桂木が言った。

 やはり新技術の実現はそう簡単にはいかないらしい。

 すぐに《属性付与》のデータを撮り、分析する桂木。


「原因は分かった、私は作業に戻るよ」


 桂木が《属性付与》を取り外しながら言った。


「ありがとう。君のおかげで貴重なデータが取れたよ」


 そう言うと桂木は《属性付与》を持って小走りで部屋の奥に消えていった。


(研究熱心だな、博士は)

(《属性付与》か、またすごい物が誕生しそうだな)


 そんな風に思いながら、到極は研究室を後にした。




 ◇ ◇ ◇




 一方その頃。

 はるか上空、雲よりも高い場所。


 4体の人型の生物が存在していた。


 "ハイウォーカー"。

 のちにそう呼ばれる事になる生物。

 全身は白く無機質だった。


 4体は向き合うように立っていた。

 無言のまま見つめあうハイウォーカーたち。

 そして、それが終わると。


 4体が一斉に動き出した。


 地上に向かって4体が一気に飛び出した。

 空気の抵抗を受けながらゆっくりと降下していく。

 そして、静かに地上へと降り立った。


 地上に降りるとすぐ。

 ハイウォーカーは破壊活動を開始した。

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