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異能と青春  作者: 成海由華
出会い編1'
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5.迎撃

 校庭。

 到極と宇野がグラウンドで戦っていた。


 怒りに任せて拳を振るう宇野。

 先ほどまでと違い、打撃メインの戦い方だった。


 もちろん、異能も温存はしない。

 不意を突き、異能を発射する宇野。


 宇野に主導権を握られ、思うように戦えない到極。

 戦況は宇野の優勢だった。


 到極が光線をかわす度、光線が木や物置きを破壊していく。

 折れた木や学校の備品が、辺りに散らばる。


 遂に宇野の攻撃が、到極を追いつめる。

 光線をかわし、体勢が崩れた所を狙われた到極。

 宇野の拳と蹴りが到極に命中した。


「ぐあああぁっ」


 吹き飛ばされ、地面を転がる到極。

 その結果、到極はティアのいる場所のすぐ近くまで戻ってきていた。


 ティアが到極に駆け寄る。

 ティアに支えられ、到極が立ち上がる。


 到極を追って、宇野が歩いてくる。


 途中で宇野の足が止まった。

 倒れている藤原に気づいたからだった。


「お前が倒したのか」


 宇野がティアを見て言った。


「お前、中々やるな」


 ティアの強さを認めた様子の宇野。


「でも私はどうかな。こいつの様に行くかな」


 宇野が藤原をチラッと見ながら言った。


 宇野が異能を発動する。

 宇野の頭上に宇宙が広がる。


「宇宙は未知の力、お前らごときに敵うはずがない!」


 宇野の言葉が響いた。

 その言葉を聞いて、到極が考える。


(そうか、これなら――)


 到極が動く。

 足元に散らばった物の中から、ボールを用意する。

 そして。


 到極がそのボールを勢いよく投げた。


「馬鹿め、どこを狙っている!」


 だがボールは宇野ではなく、明後日の方向に飛んでいった。


 一方、頭上の宇宙では星が輝き始めていた。

 到極もティアも、かなり消耗していた。


 次の一撃を受けて耐え切れるのか。

 確率は五分五分だった。


「今度こそ、これで終わりだ」


 宇野が言った。

 だが。


 宇野が異能を発射する、まさにその時。




 宇野の頭上の宇宙が割れ、消滅した。




「何っ!?」


 予想外の出来事に動揺する宇野。

 何故こんなことが起きたのか。

 宇野には分からなかった。


「貴様、一体何をした!」


 宇野が叫んだ。

 宇野に答えたのは到極だった。


「ボールですよ」


 到極が言った。

 そして続ける。


「さっきのボールであなたの宇宙を壊したんです」

「馬鹿な、一体どうやって――」


 到極の言葉に宇野が返した。


「あなた言いましたよね、宇宙は未知の力だって」


 到極が説明する。



 異能はイメージによって発現する。


 炎を想像した者が炎を出し。

 時の流れをイメージできた者が時を操れる。


 だが、宇野は宇宙を未知だと言った。


 それは宇野が、彼女の異能の中に想像できていない部分、つまり空白の部分があることを意味していた。


 到極はそこにボールを当て、宇野の宇宙を壊した。

 壁にボールを当て、裏側から。


 先ほどまでの戦いで、前と横は確認済みだった。

 弱点があるとすれば、裏側だと推測できた。



「おのれ、許さん!」


 到極の説明を聞いて、逆情する宇野。

 再び異能を発動させ、宇宙を造り始める。


 だが、それより早く。

 到極が宇野に迫る。


 到極が宇野の懐に飛び込む。

 そして。


「うおりゃー!」


 到極が拳を振り抜く。

 まだこの時点では技名の決まってない一撃。

 爆拳(バグパンチ)と呼ぶことになる一撃を、到極が放った。


「がはっ!」


 宇野が吹き飛び、地面を転がった。


 今度こそ、到極は宇野に勝利した。




 ◇ ◇ ◇




 戦いを終え、ひと息つく到極。


「さっきは助かったよ、ティア」


 到極が先ほどのお礼を言った。

 到極のお礼にティアが小さく頷いた。


「でも驚いたなぁ。ティアが戦いに参戦するなんて」


「……到極くんの事、助けたいって思ったから」


 到極の言葉にティアが返した。


「そっか、ありがとう」

「……どういたしまして」


 そんな2人の元に。

 教師たちが走ってきた。


「ちょっと、何ですかこれは!」


 土埃で汚れた到極の制服。

 穴だらけになった校舎から校門までの道。

 散乱する備品や折れた樹木。


 そして、倒れている見知らぬ男女。


 それらを見て、教師の一人が言った。


 到極とティアが、教師たちに事情を説明した。


 ――。

 ――――。


 ひと通り説明を聞き終えた教師たち。

 ひとまず、警察を呼ぶことにした。


 警察が来るまでの間。

 散乱する備品を片付ける教師たち。


「君たちは休んでなさい」


 その言葉に従い、到極とティアは休憩していた。


 少しして警察が到着した。

 警察に宇野、藤原の身柄を引き渡す。

 その様子を並んで見つめる到極とティア。


「詳しいことは、あの人たちが回復してからだね」


 到極が言った。

 到極の隣で、ティアが小さく頷いた。


 何故、ティアが狙われたのか。

 それを指示した者は一体誰なのか。

 ティアの記憶に、何か関係があるのか。


 それらが明らかになるのは、もう少し先になりそうだった。




【第1章 出会い編 中盤戦 完】

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