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異能と青春  作者: 成海由華
チーム対抗編
47/100

4.大将戦へ

 森林ステージ。


 桜は一人、森の中を歩いていた。


「どうしよう、はぐれちゃった……」


 他の2人と離れ離れになり、不安を感じる桜。


 そんな中で。

 桜は対戦前の事を思い出していた。



――。


――――。


――――――。



 団体戦の直前。

 3人は今回の会場、森の中に入った。

 落ちた葉や枝を踏みながら森を進む3人。


 すると。


『きゃっ!』


『危ない!』


 桜が足を踏み外しかけたのを、光が助けた。

 桜の足元には巨大な穴が開いていた。


『あ、ありがとうございます』


『どういたしまして』


 桜のお礼に光が返した。

 改めて周りを見ると、巨大な穴はいくつもあった。


 ここはE.D.Oの所有する土地。

 普段から訓練や模擬戦によく使用されている。


『先日、チームB対チームEの対抗戦があったらしい。その影響』


 ティアが言った。

 どうやらこの穴は先日の対抗戦の名残りらしい。


『そうだったんですね。確かにチームBの全員が力を合わせたら、これくらい巨大な穴を開ける事も出来ちゃうのかも』


 桜は納得した。

 だが。


『違う』


 ティアが言った。


『え?』


 桜が思わず聞き返した。


 ティアは言う。


『Bじゃない。この穴を開けたのはチームEの方。それもたった一人の異能の力で』


 森にいくつもの巨大な穴を開けてしまう威力。

 そんな力を持った異能者がこの組織には沢山いる。

 それもAやBといった最上位のチーム以外にも。


 その事実を聞いて桜は足がすくんだ。



――――――。


――――。


――。



 そして今も。


 桜は恐怖に怯えている。


「と、とにかく、2人を探さないと」


 桜は再び2人を探しに駆け出した。




 ◇ ◇ ◇




 一方その頃。


 光は金城と対戦していた。


「ギブアップしろ。お前では俺に勝てない」


「はぁはぁ、まだだよ。まだ負けてない!」


 金城は余裕そうで、光は満身創痍だった。


 対戦は一方的だった。

 金城の攻撃を、光が耐える時間が続いた。




 ◇ ◇ ◇




 さらに別の場所では。

 ティアと桐島が戦っていた。


「はっ! ふっ!」


 ティアの異能による攻撃。

 だがそれを。

 桐島が抜群の運動神経でかわした。


 それどころか。

 攻撃を掻い潜りながら、ティアに反撃を与えた。


「うぐっ!?」


 打撃を受け、怯むティア。


(異能を使わずにこの実力。彼が異能を発動したら、私は勝てないかも知れない)


 ティアがそう思った時。


 ガサガサ、と。


 遠くの方で人の歩く音がした。


 それを聞いて。

 桐島はティアとの戦いを中断した。

 そして音の聞こえた方に向かって走って行った。


「待って」


 そう言って、ティアも桐島を追いかけようとした。

 だが。


「うっ……」


 身体が痛み、ティアはその場にうずくまった。


(もし音の正体が桜さんだったら……)

(早く追いかけないと)


 そう思いながらも、ティアは痛みからすぐには動き出せなかった。




 ◇ ◇ ◇




 森の中を一人で歩く桜。

 そんな桜の前に一人の青年が現れた。

 桐島だった。


「フッフッフッ」


 桐島が不敵に笑う。


 恐怖に耐え、身構える桜。


「俺の異能を試すには、ちょうどいい相手かも知れないっすねぇ」


 桐島が言った。

 そして。


「はあああああーっ!」


 遂に桐島が異能を発動した。


 アーク名 隔壁透過ブレイクスルー

 壁や相手の攻撃をすり抜ける能力。

 なのだが……。




 ――ヒュン! という音と風と共に。




 桐島が()()()()()()()()()()()

 そして。


『チームK、桐島。場外に出た為、失格』


 電子音声がアナウンスした。


「……えっ?」


 桜の口から声が漏れた。

 桜は一瞬、何が起きたのか分からなかった。


 対抗戦には脱落のルールがある。

 それは降参するか戦闘不能になる事。

 定められたフィールドの外に出る事。


 そして、フィールドは平面ではない。

 上空にも地下にも範囲は存在する。


 今回、桐島は地面をすり抜け、フィールドの外に出てしまっていた。


「全く、だから異能は使うなって言ってるのに」


 桜の後ろから声が聞こえた。

 声の主は水谷だった。


 どうやら桐島は異能を上手く使えなかったらしい。


 これはラッキーだった。

 桜はそう思った。


 そう思いながら振り返ろうとした時だった。


「アーク、発動」


 水谷が言った。

 そして。


 桜はその場に倒れた。


 アーク名 眠れる子羊スリープシープ

 相手を眠らせる能力。

 これが水谷の異能アークだった。

 だがこの能力は体力を非常に消耗するらしく。


「あとは任せたよ、金城……」


 そう言って、水谷もその場に倒れた。


『チームL、桜。戦闘不能により、脱落』

『チームK、水谷。戦闘不能により、脱落』


 電子音声がアナウンスした。

 残りはあと3人。

 決着の時はもうすぐだった。




 ◇ ◇ ◇




 一方で。

 光と金城の戦いは続いていた。


「そんな、桜ちゃんが脱落……」


 光が言った。

 二人の元にもアナウンスは届いていた。


「他人の心配をしてる場合か?」


 金城がそう言いながら攻撃を続ける。

 それを光が"異能の盾"で防ぐ。


 だがその"異能の盾"には亀裂が入っていた。


「そろそろ限界なんじゃないか?」


 金城が言った。


「私、チームLに来てから色々な事を学んだの」


 光が語り始めた。

 光が続ける。


「その成果を今、見せてあげるよ!」


 そう言った瞬間。


 ()()()()()()()()()()()()


「何っ!」


 一瞬、混乱する金城。

 だがすぐに理解した。


 数日前、ここでチームB対チームEの対戦があった。

 その結果、至るところに巨大な穴があいていた。


 今、金城が落ちようとしているのはその穴だ。


(花咲のやつ、俺に気付かれないように地面の穴を

 "異能の盾"で塞いでいたのか!)


 そして、金城が穴の真上に立った時、異能を一瞬で解除したのだった。


 そのカラクリに気付いた金城。

 だが、気付いた時にはもう遅かった。


「ティアちゃん、お願い!」


 光が叫んだ。

 すると茂みからティアが飛び出してきた。


(この瞬間を待っていたのか!)


 穴に落ちながら、金城は思った。


 ティアが異能アークを発動する。


 巨大な拳が現れ、金城に襲いかかった。


 いくら攻撃力の高い金城でも。

 落下中の状態では全身で踏ん張ることが出来ない。

 光が金城の反撃を封殺していた。


「はあああああーっ!」


 ドーン! という爆音が鳴った。

 ティアの"異能の拳"が金城を直撃した。


『チームK、金城。戦闘不能により、脱落』

『よって、チームLの勝利』


 アナウンスが鳴った。

 二回戦はチームLの勝利で幕を閉じた。

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