1.挑戦状
2065年8月。
現在のチームLのメンバーは。
到極、ティア、桜、隼人、光の5人。
夏休みが始まって1週間ほど経過した頃。
E.D.O本部では、いつも通り検査が行われていた。
【第7章 チーム対抗編】
E.D.O本部。
異能の検査を終え、到極たちは更衣室にいた。
「ふぅ、疲れた」
到極が言った。
そしてロッカーからタオルを取り出した。
タオルで体の汗を拭く到極。
そんな到極に近寄る一人の少女。
「はい、これ。どうぞ」
そう言ってスポーツドリンクを差し出す少女。
桜波姫だった。
「ありがとう、桜」
「いえいえ」
到極がお礼を言い、桜がそれに返した。
笑顔の二人。
そんな二人の横では隼人が着替えていた。
◇ ◇ ◇
更衣室を出ると、言い争う声が聞こえて来た。
廊下を進む3人。
徐々にその姿が見えてきた。
手前にはティアと光。
先に着替えを終えていた二人。
どうやら女子更衣室から出た所で絡まれた様子だった。
そして奥には。
自信に満ちた表情の男。
どっしりとした雰囲気の男。
勝ち気な態度の女。
合計3人の男女。
彼らが絡んできた張本人だった。
慌てて駆け寄る到極たち3人。
「光、こいつらは?」
隼人が光に聞いた。
「チームKのみんな、立花君に金城君に黒木さん」
光が言った。
チームK。
到極たちより1階級上のチーム。
立花たちはそのチームの一員だった。
立花尊也。14歳。
チームKのリーダー。
チームメンバーは全員ライバルという考えを持つ。
メンバー同士で助け合う事を良しとせず、メンバー同士が競い合うチームを目指している。
金城隆二。16歳。
がっしりとした体格の男子。
多くを語らないタイプ。
チームKのナンバー2。
黒木円歌。16歳。
スタイルの良い女性。
黒髪のロングヘアーをしている。
そして。
チームKは花咲光が4月まで所属していたチームでもあった。
メンバー同士で蹴落とし合う気風が自分に合わず、花咲は4月でチームKを辞めた。
「光に何の用だ」
隼人が立花に詰め寄る。
「別に、ただの世間話さ。
Kから脱落した光がどうしているか気になってね。
でもLでは楽しくやっているみたいで安心したよ」
立花が言った。
「癪に触る言い方だな」
言い返す隼人。
「僕はただ、弱い異能者同士、気が合うんだなと思っただけさ」
軽い感じで返す立花。
「光は弱くねぇよ。それから俺達もな」
隼人が立花を睨んで言った。
「へぇ、じゃあ試してみるかい?」
立花が言った。
「やってやるよ!」
隼人がそれに応えるように言った。
◇ ◇ ◇
チームLのシェアハウス。
あの後、到極たちはシェアハウスに帰宅した。
「それで、どうするんですか?」
桜が隼人に聞いた。
「え、何が?」
キョトンとした態度の隼人。
「チームKに勝つための作戦ですよ?」
桜が聞く。
「そんなもんねぇよ、俺はただ立花をぶっ飛ばすだけだ」
隼人が拳を握って言った。
その様子を見て。
「えぇ……。考えてなかったんですか……」
桜ががっかりした様子で言った。
「ま、まぁ、その気持ちは嬉しいから」
そう言って光が隼人をフォローした。
「そ、それに、作戦はこれから考えれば良いんだし」
光がそう続けた。
隼人と立花の言い争いの後。
正式にチーム対抗の試合が決まった。
数日後に最大で3回行われる。
先に2勝したチームの勝利だ。
対戦の内容も決まっていた。
一回戦 陸上ステージ 200m走
二回戦 森林ステージ 団体戦
三回戦 本部ステージ 個人戦
「みんなはどこで戦いたいとかある?」
光が聞いた。
「俺はどこでも良いぜ」
隼人が答えた。
ティア、桜、光も特にこだわりはなかった。
「僕は、出来れば戦いたくないな」
到極が小さな声で言った。
到極はこういった争いを好まないタイプだった。
「到極君はそうだよね」
光もそれは分かっていた。
だから。
「わかった、到極君は三回戦にしておくから」
光がそう提案した。
これならば、光たちが先に2勝すれば、到極の出番は無くなる。
そんな理由から、到極の出番は最後に予定された。
「ありがとう、助かるよ」
到極が光に感謝した。
「次は相手の異能とその対策についてだね――」
光が言った。
外は暗く、夜になっていた。
チームLの作戦会議はこの後も続いた。
◇ ◇ ◇
それから数時間後。
作戦会議を終え、みんなが寝静まった後。
到極はリビングから物音がすることに気づいた。
自分の部屋からリビングへ向かう到極。
そこには。
「光?」
花咲光がいた。
手には携帯電話を持っていた。
「ごめんね、到極君。起こしちゃった?」
光が言った。
「ううん、大丈夫。光は?」
「私も、もう寝るとこ」
「ねぇ、光。それって」
到極が光の携帯に目を向けて聞いた。
「これ? 内緒、ふふっ」
光が複雑そうな笑みを浮かべて言った。
内緒の内容。
到極にはすぐに分かった。
光が内緒にするのは"彼女の姉"に関する時だ。
花咲光の姉。
E.D.O本部の研究員をしている。
忙しいらしく、中々連絡が取れないらしい。
今回も、繋がらなかったのだろう。
到極には、光の笑顔が少し悲しそうに見えた。




