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異能と青春  作者: 成海由華
不良少女編
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5.集会

 今は使われていない工場。

 そこでは不良たちが集会を行なっていた。


 番が集会に参加するのは、この日が初めてだった。


『暗木さんならお前の苦しみを理解し、解決してくれる』


 そんな犬山の言葉を、信じての参加だった。


 番の場合。

 彼女は不良っぽい見た目をしているが、不良行為を行なっている訳ではなかった。

 番にとって不良の格好は、自分を守るための鎧。

 あくまでもファッションとしての意味合いが強かった。


 飲酒や喫煙、暴走行為などをする事など無く。

 薬物の乱用などもってのほかだった。


 番はいたって健全な少女だった。


 そんな番の元に一人の男が近づいて来た。


「莉奈、挨拶しろ」


 犬山が言った。


「こ、こんにちは。番です」


 番が男に挨拶した。


暗木くらきです。よろしく番さん」


 男が言った。


 彼が暗木くらきという男だった。

 年齢は10代後半から20代前半くらい。

 身体は細く、顔はけていた。


 暗木は番に挨拶すると、すぐに別の人間に挨拶しに向かった。


 この集会には、暗木を慕う不良たちが15人ほど集まっていた。


 集まった不良たちの前に立って暗木が言う。


「――それじゃあ、楽しんでいってくれ」


 暗木の一言で集会、もとい宴会が幕を開けた。




 ◇ ◇ ◇




 E.D.O本部。

 桂木天の研究室。


 到極は桂木の元を訪れていた。


「私の発明品をいくつか貸して欲しいだって?」


「はい。お願いします」


 桂木の言葉に到極が答えた。


「君は今、異能の力を失っているんだろう? そんなタイミングで、誰かのために行動すること無いと思うけどね、私は」


 桂木は到極が異能の力を失った事を知る、数少ない人物の内の一人だった。


「そんなタイミングだからこそ、博士の発明品が必要なんです!」


 到極が桂木の目を見て言った。

 そう言われて、桂木は考える。

 そして。


「……仕方ないな。こっちに来たまえ」


 桂木が到極の要求を受け入れた。


 それから桂木は到極を発明品置き場まで案内した。

 そこには桂木の発明品が山積みになっていた。


 桂木の許可を得て、到極が発明品を物色する。


 だが発明品の多くは"異能の力"を必要とする物で、今の到極が扱える品物は少なかった。


 そんな中。


「これは何ですか?」


 到極が聞いた。

 黒い棒のような物だった。


「これはスタンバトン。スタンガンの機能が付いた、棒状の護身アイテムって所かな」


 桂木が説明した。


(なるほど。これなら使えそうだ)


 到極は思った。


「じゃあ、これは?」


 到極が言った。

 次は大きな筒のような物だった。


「これかい? これは捕縛砲。引金を引くと紐が飛び出して狙った相手を拘束するっていう代物さ」


 桂木が説明した。


(これは使える、いい物を見つけたぞ)


 到極はそう思った。


「これとこれを借りても良いですか?」


 到極が聞いた。


「別に構わないよ」


 桂木が言った。


「ありがとうございます。これがあれば、何とかなりそうです」


 到極が桂木にお礼を言った。


「そうかい? 本当は反対なんだけどね、君が戦いに行くの。でも例え止めたとしても行くんだろう?」


 桂木が到極を心配して言った。


「すみません。今回だけはどうしても行きたい理由があって」


「そっか。でもくれぐれも無茶な真似はしないでくれよ」


「ありがとうございます。失礼しました!」


 到極はそう言って桂木のラボを後にした。




 ◇ ◇ ◇




 使われていない工場。


 集会が終わる頃。

 他の不良たちは帰り始めていた。


 残っているのは犬山と手下二人。

 それと暗木。


 番も帰ろうと準備をしていた。


 工場の奥では。


「どうしますか、暗木さん?」


 犬山たちと暗木と話していた。

 番には聞こえないように。


「決まりましたか?」


 犬山が言った。


 暗木はこの集会に参加した者の中から、とある目的のため一人を選ぼうとしていた。


 犬山の言葉に、暗木が指をさしながら答える。


「あぁ、あいつに決めた」


 暗木の指は、遠くの番をさしていた。

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